男子テニスの国別対抗戦デビスカップ決勝(フランス/ リール、インドアクレー)、スイスとフランスの対戦は2日目の22日、ダブルスが行われ、
R・フェデラー(スイス)/
S・ワウリンカ(スイス)組が
J・ベネトー(フランス)/
R・ガスケ(フランス)組を6-3, 7-5, 6-4のストレートで下し、スイスは2勝1敗と初優勝に王手をかけた。
最終日に行われるリバース・シングルスの第1試合でフェデラーが
JW・ツォンガ(フランス)を下すと、その時点でスイスの初優勝が決まる。もしフェデラーが敗れると、続いて行われるワウリンカと
G・モンフィス(フランス)の一戦で勝敗が決まる。
17回のグランドスラム優勝を誇るフェデラーは、初日に行われたシングルスでは腰の怪我が心配される中モンフィスとの試合に登場するもストレートで敗退。しかしこの日もフェデラー自身もまだ手にしていないデビスカップのタイトル獲得のためにダブルスに急遽出場し、フランス・ペア相手に最高のプレーを披露していた。
「今はもう大丈夫。」と現状を語るフェデラーは、先週行われたATPワールドツアー・ファイナルズのワウリンカとの壮絶な準決勝の試合中に腰を負傷し、翌日の決勝戦を棄権するほどの怪我を負っていた。
「腰の状態を知りたいのはよく分かる。でも自分もみんなと同じくらい分かっているんだ。これまでも何も隠さず正直に話している。自分にとっては今が大切で、どう感じているかに関わらず、今の自分が100パーセントだと感じているし、全てを出しきるつもりでいる。」
2008年の北京オリンピックで金メダルを取っていたフェデラーとワウリンカだったが、デビスカップではこのペアでここまで4試合連続で勝利を飾れていなかった。この日はこのペアで約3年ぶりの勝利を飾ると同時にクレーコートでの初勝利を決めていた。
「今回のダブルスへ向けての精神的な準備の仕方がこれまでとは違ったんだと思う。良いプレーさえ出来れば必ず勝てると信じて臨んでいたんだ。」と、ワウリンカが試合へは勝利への高い意識で臨んでいた事を明かした。
会場となった新しく改修されたピエール・モーロワ・スタジアムはドラムやベルや声援で溢れる中、フェデラーとワウリンカは1度もブレークを許さず、第2セットでは相手ペアに握られたピンチを切り抜けると、大切なポイントでは主導権を握る展開を披露していた。
今年の全仏オープンで地元優勝を飾ったベネトーは「彼等はとても安定したプレーをしていた。ロジャー(フェデラー)はとてもサービスが良かったし、スタン(ワウリンカ)と共にサービスの次のショットがとても有効的に打ってきていた。ほとんどミスをしなかった。いや、全くと言うほどだった。」と、親指を上げて相手のプレーを称賛していた。
そして「ネットではスタンがミスも少なく本当に良かった。今日自分達は、二人の信じられないビッグ・サーバーと対戦したようなものだった。」と、完敗を認めていた。
当初スイスは、
M・キウディネッリ(スイス)とM・ランマー(スイス)をダブルスに起用する予定だった。しかしスイス監督のスヴリン・ルッチ氏は、フェデラー自身に十分戦える状態である事を確認した上で、ワウリンカとのペアでのダブルスへと試合直前に変更した。
一方のフランス監督である
A・クレマン(フランス)氏は、予定通りベネトーとガスケのペアで試合に臨んでいた。この決勝戦前はガスケとツォンガのペアでダブルスの練習をしていたが、ツォンガではなくベネトーを起用した事で、もしかしたらツォンガが怪我をしているために、シングルスへ向けて休養させているのではないかと憶測が飛んでいた。
しかしクレマン氏は「もし何かあったと想像してみてくれ。そうだったら、これ以上何も言わないよ。もちろん今日は、ジョー(ツォンガ)をとある理由から休養させた。でも明日のシングルスには全く問題はないさ。」と、そんな憶測を一蹴していた。
しかし後に、フランス・テニス協会会長のジャン・ガシャサン氏は地元フランスのテレビのインタビューに、ツォンガが肘に痛みがあるために、日曜日のシングルスに出場するかが微妙であるとコメントしていた。
フェデラーがダブルスでは更に良いプレーが出来るだろうとする予測は正しかった。彼はサービスもフットワークも前日のシングルスより更に良くなっていた。スイス・ペアは第1セットと第6ゲームでこの日初めてのブレークを奪うと、そのままサービスをキープしそのセットを先取した。
しかし第2セットでは、徐々にフランス・ペアのリターンが良くなり、5回のブレークポイントを握った。しかし好調なプレーを続けるスイス・ペアがその全てを切り抜けると、フェデラーは難しいロブをスマッシュで決めるなど、腰の不安を感じさせないプレーでそのセットの終盤でブレークに成功しそのセットも奪い、詰め掛けたスイス・ファンは歓喜に包まれた。
第3セットもフランス・チームは先にブレークポイントを握られる苦しい展開を強いられたがそれを退けるも、第5ゲームで握られたブレークポイントでは、ワウリンカが鮮やかなパッシング・ショットを決め貴重なブレークを奪い勝利を引き寄せた。
「我々はそのポイントを取りにコートに向かったんだ。終止攻撃的なプレーをし、何をしなければならないかも分かっていたし、その全てが出来たと思う。お互いの事を十分に知っているから、良いコンビでプレーが出来た。」とワウリンカはこの日の試合を振り返り、勝利の喜びを味わっていた。
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