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男子テニスで今年9月に自己最高位の30位を記録し、今季を世界ランク32位で終えるなど、キャリアベストのシーズンを送ったJ・シャーディ(フランス)だが、彼が好調なシーズンを送れた要因に、元世界女王のM・ヒンギス(スイス)の指導があったとシャーディ本人が語った。
25歳のシャーディはジュニア時代、2005年のウィンブルドン・ジュニアで優勝、その後の全米オープン・ジュニアでも準優勝を飾るなど、ジュニアランキングでは最高4位を記録し、期待されつつ同年にプロ転向を果たした。
2009年7月にはドイツはシュトゥットガルトでATPツアー初優勝を飾ると、その年の11月に当時の自己最高位である31位を記録。しかし、以降はその年を越える活躍がみせられないばかりか、2011年10月には133位にまでランキングが下がり、昨シーズンは103位でシーズンを終えていた。
そんな彼は、祖国フランスはパリ郊外にあるパトリック・ムラトグルー・テニス・アカデミーでジュニア時代から練習とトレーニングを行ってきた。
ヒンギスは昨年の秋から、そのアカデミーのアドバイザリー・コーチとして、同アカデミーに所属しているジュニアを中心に指導を始めており、その事からシャーディへもアドバイスや指導を行なうようになったという。
「プロとしての専門分野で世界の頂点に立った事があった人こそ自分に必要な人物だったんだ。彼女は物事をしっかり理解する能力や違ったものの見方が出来る人。彼女とは常にテニスの話をしているんだ。練習やトレーニングの仕方から、持っている不安などを彼女に質問していたんだ。彼女のテニスというスポーツへの考え方や戦略などは、本当に素晴らしいものだった。」
とシャーディは、ヒンギス自身の物の見方や考え方に刺激や影響を受けた事を明かしていた。
ヒンギスはジュニア時代から天才少女と呼ばれ、1994年に若干13歳でプロ転向。その後も着実に実力を付けた彼女は、1997年の全豪オープンでオープン化以降グランドスラム最年少優勝となる16歳3ヶ月26日で優勝。その後は、最年少での世界ランク1位の座に16歳6ヶ月1日で登り詰めた。
シングルスに加えてダブルスの上手さでも有名だったヒンギスは、ダブルスランキングでも世界ランク1位となり、シングルスとダブルスで同時に1位になった数少ない選手の一人。ヒンギスの他にはM・ナブラチロワ(アメリカ)、L・ダベンポート(アメリカ)、A・サンチェス=ビカリオ(スペイン)、K・クレイステルス(ベルギー)の4人しか達成していない。
2002年5月に左足首の手術を受け、2003年、2004年、2005年とほぼ活動しておらず、一時引退。しかし、2006年シーズンに見事な復帰を果たし世界ランク6位までランキングを戻すも、2007年に受けた検査でコカインの陽性反応が出る騒ぎになった。
真っ向から否定していたヒンギスだったが、27歳になるヒンギスは時間を費やして身の潔白を晴らす事はせずに2度目の引退を選択し、プロ人生に幕を降ろした。
そんなヒンギスの経験と才能を若手選手の育成に生かそうと、アカデミー創設者であり名コーチのパトリック・ムラトグルー氏が彼のフランスのアカデミーへ力を貸して欲しいとオファーを出し、快く受けたヒンギスがそのアカデミーでの活動を昨年から始めていた。
シャーディの活躍はヒンギス効果とコメントしている。今後も同アカデミーからヒンギスの指導の下、世界の舞台で活躍する選手が出てくる事を予感させる。
(翻訳/弓削忠則)
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