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男子テニスツアーのマレーシア・オープン(マレーシア/クアラルンプール、賞金総額85万ドル、インドアハード)は27日、シングルス2回戦残り6試合が行われ、第3シードの錦織圭(日本)が今大会の初戦となる2回戦に登場。A・ラモス(スペイン)を6-7 (5-7), 6-2, 6-1の逆転で下すなど、ベスト8が顔を揃えた。
ラモスのサービスゲームで始まったこの試合。サウスポーから繰り出すサーブに錦織はリターンで苦しみ、このセットは1度もブレークポイントさえ握れなかった。しかし、自身のサービスゲームでも70パーセントの確率でポイントを獲得した錦織もラモスにブレークポイントを握らせず、このセットはタイブレークへ。
そのタイブレークの1ポイント目は、29回もの長いラリーを取れなかった錦織は、続く自身のサーブである2本を落としてしまい0ー3とリードされてしまった。錦織はその後も逆転する事が出来ず、最後はラモスにスマッシュを叩き込まれ61分で第1セットを失ってしまった。
第2セットも両者サービスキープからの第3ゲームで、錦織は自身のサービスゲームでは15ー40とこの試合両者通じて初めてのブレークポイントを握られてしまう。次のポイントで錦織のバックハンドがアウトとなると、最初のブレークを許してしまいゲームカウント1-2とリードされてしまった。
しかし、そこから錦織の猛攻が始まる。続くラモスのサーブでも、15ー40と錦織がこの試合初めてラモスからブレークポイントを握ると、ラモスのボレーがネット。すかせずブレークバックに成功した錦織は、ゲームカウント2ー2へと戻した。
続くサーブをしっかりキープした錦織は、第6ゲームのラモスのサーブでは0ー40とブレークポイントを握ると、鮮やかなパッシングショットを決めるとラブゲームでブレークし、ゲームカウント4ー2とリードを広げた。
ゲームカウント5ー2からのラモスのサーブでは、30ー40と錦織がブレークポイントとなるセットポイントを握ると、バックハンドのウィナーで決め、36分で第2セットを奪い返した。
勝敗を決める第3セットでも勢いそのままに錦織は、第2ゲームのラモスのサーブでアドバンテージとなるブレークポイントを握ると、長いラリーでコート中を走り回り、最後はバックハンドのパッシングショットを決めブレーク。続く自身のサービスゲームをラブゲームでキープすると一気に3-0とリードを奪った。
自身のサービスゲームでなかなかポイントが奪えなくなったラモスは、第4ゲームでも15-40とまたしてもブレークポイントを錦織に握られ、ラモスの放ったバックハンドがアウト。錦織はゲームカウント4-0と大きくリードを広げた。
続く錦織のサーブでは15-40とこのセット初めてのピンチに立たされた錦織だったが、デュースに持ち込み、続くポイントでダブルフォルトを犯す嫌な流れで再びブレークポイントを握られた。その後も何度もデュースが繰り返されたが、実力と経験を身に付けた錦織は何とかキープに成功しゲームカウント5-0と勝利に王手かけた。
第6ゲームでラモスは最後の踏ん張りを見せラブゲームでサービスキープし、このセット初めてゲームを取る事に成功した。
ゲームカウント5-1として錦織のサービング・フォー・ザ・マッチでは40-0と3本のマッチポイントを握った錦織は、次のポイントを落としたものの2度目のマッチポイントでは、センターに鮮やかなサービスエースを叩き込みゲームセット。
出だしこそ硬さが見えた錦織だったが、第2セット以降はラモスに自身のテニスをさせなかった。第2セットの第4ゲームから第3セットの第5ゲームまで実に10ゲーム連取して試合の主導権を握った錦織は、2時間12分の逆転で今季7大会目のベスト8進出を決めた。
試合後のコート上でのインタビューで錦織は「この大会の初戦で最初はちょっと緊張してしまって、動きも硬くなってしまった。ボールが短くなってしまってラモスに良い形でショットを打たれていて出だしは接戦になってしまいました。でも、ファンからの応援の大きさに驚きました。日本でプレーしているかのようでした。明日も応援よろしくお願いします。」と、詰め掛けたファンの声援に喜びを表していた。
錦織は昨年の今大会では準々決勝でN・アルマグロ(スペイン)を下しベスト4入りしており、その準決勝ではJ・ティプサレビッチ(セルビア)に敗れていた。2年連続となるベスト4入りをかけて2009年の今大会覇者であるN・ダビデンコ(ロシア)と準々決勝を行う。
そのダビデンコとの対戦について聞かれると「今日の彼の試合を見ていました。彼はとても良いプレーをしていましたね。過去にこの大会で優勝した経験もある選手ですし、厳しい試合になるでしょう。」と対戦に気を引き締めていた。
そのダビデンコに勝つためにはと聞かれた錦織は「彼は今日も安定したストロークを打っていました。彼のペースにならないように、色々なショットを混ぜながらペースを変えて行かなければならないでしょう。そして今日はサーブの調子が良くなかったので、それを取り戻す事と、自分のベストのプレーをする必要がある。」と戦略も加えていた。
錦織は昨年、今大会でベスト4入りして、翌週の楽天ジャパン・オープンでは初戦でD・フェレール(スペイン)に敗れていたが、その後の上海マスターズでベスト4、スイスのバーゼル大会で準優勝と今後は失うポイントが高いだけに、これからの試合がランキングを確保するために重要になって来る。
そのダビデンコはこの日、D・イストミン(ウズベキスタン)を7-5, 6-4のストレートで下しての勝ち上がり。
1時間41分で勝利した31歳のダビデンコは試合直後に、準々決勝の対戦を聞かれ「錦織もラモスもどちらも素晴らしいベースラインプレーヤー。オリンピックで錦織に敗れているので、また彼と対戦したい。」と語っており、その想いが叶った。
またこの日は、第1シードのD・フェレールがA・ボゴモロフJR(ロシア)を6-4, 6-2で、第2シードのJ・モナコ(アルゼンチン)が主催者推薦のワン・ユーツオ(台湾)(台湾)を6-4, 7-5と、いずれもストレートで下し順当な勝ち上がりを見せた。
今大会は上位4シード選手は1回戦を免除されているため、フェレールもモナコもこの日の2回戦が今大会の初戦だった。
フェレールは第1サーブは50パーセントしか入らず若干の硬さが見られたが、第2サーブでも76パーセントの確率でポイントを獲得し、終始試合の主導権を握りボゴモロフJRから4度のブレークに成功しストレート勝利を飾った。
「大会の初戦は難しいもの。第1セットは接戦になったけど、それを取ってからプレーもより良くなったし、より安定したテニスが出来た。」と試合を振り返っていた。
準々決勝でフェレールは第5シードのF・ロペス(スペイン)を7-6 (7-0), 7-6 (7-2)で下す金星を飾ったI・セイスリン(オランダ)と対戦する。「彼(セイスリン)とはこれまでも何度か対戦していて、全米オープンでも戦って勝ったものの苦しい試合を強いられた。明日の彼との対戦も良いテニスをする必要がある。」と対戦に気を引き締めていた。
28歳で世界ランク11位のモナコは「この試合がインドアでの初めての試合だったと言う事を考えると、まあまあの出来だと思う。こうしてストレートで試合を終えられた事には嬉しい気持ちでいる。」と、満足したプレーではないものの勝利には素直に喜びを感じていた。
準々決勝でモナコはV・ポスピシル(カナダ)と対戦する。両者は先月行われたトロントでのマスターズ大会で対戦しており、モナコに軍配が上がっていた。「彼は失う物がない気持ちでぶつかってくるなずなので、難しい試合になるでしょう。先月のトロントの試合もタフな試合を強いられたからね。」と次の試合への気持ちを語っていた。
この日に登場した上位シードで唯一、勝利に恵まれなかったのが第4シードのA・ドルゴポロフ(ウクライナ)だった。シードダウンを演じたのはA・ファリャ(コロンビア)で、ドルゴポロフを6-3, 3-6, 6-3のフルセットで倒した。
世界ランク20位のドルゴポロフは得意のフォアハンドにミスが目立った。「出だしは最悪でミスを連発してしまった。第2セットを何とか取り返したけど、それを維持出来ずアップダウンの激しい展開になってしまった。全く満足の行くプレーではなかった。」と自身のプレーに落胆していた。
同ランク61位のファリャは、トップ20選手から今回で10回目となる勝利を飾り、大物食いをする選手として知られていた。ベスト4進出を懸けてファリャは、J・ベネトー(フランス)と準々決勝を行う。
この日の試合結果は以下の通り。
D・フェレール (1) ○-× A・ボゴモロフJR, 6-4, 6-2
J・モナコ (2) ○-× ワン・ユーツオ, 6-4, 7-5
錦織圭 (3) ○-× A・ラモス, 6-7 (5-7), 6-2, 6-1
A・ファリャ ○-× A・ドルゴポロフ (4), 6-3, 3-6, 6-3
I・セイスリン ○-× F・ロペス (5), 7-6 (7-0), 7-6 (7-2)
N・ダビデンコ ○-× D・イストミン, 7-5, 6-4
今大会の優勝賞金は15万3400ドル。
(翻訳/弓削忠則)
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