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男子テニスのツアー最終戦であるATPワールド・ツアー・ファイナルズ(イギリス/ロンドン、ハード)は29日、シングルス決勝が行われ、第6シードのN・ダビデンコ(ロシア)が、第5シードのJ・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)を6-3, 6-4のストレートで下し、キャリア初となるビッグタイトルを獲得した。
準決勝で世界ランク1位のR・フェデラー(スイス)を破っていたダビデンコは、自らのサービスゲームでわずか13ポイントしか失わない安定したプレーで、今年のUSオープン覇者であるデル=ポトロを寄せ付けなかった。
過去4度のグランドスラム準決勝に進出があるものの、いまだ決勝には進出したことがないダビデンコは「多分、良く集中していたと思う。驚いているよ。最初のポイントから100%集中していた。今日のこの試合では、それが重要だったと思うよ。」と自らのパフォーマンスについて語った。
この試合で3度のブレークチャンスを得たデル=ポトロであったが、ダビデンコの堅実なプレーの前にチャンスを活かせなかった。「彼はとても速かった。彼のプレーはまるでPlayStationみたいだったね。彼はどこにでも走るから、ウィナーを決めるのがとても難しかった。」
この日の試合でダビデンコは、25本のウィナーを決めつつも凡ミスはわずかに15本であった。一方のデル=ポトロは、20本のウィナーを決めたものの19本もの凡ミスを犯していた。
第1セット第4ゲームでブレークに成功し3-1とリードしたダビデンコは、続くゲームをキープして4-1とリードを広げる。デル=ポトロのサービスゲームで迎えた第6ゲーム、赤ちゃんの泣き声の中でプレーを続けたデル=ポトロであったが、そのポイントを落とし40-15とすると、会場から赤ちゃんが連れ出されるまで次のポイントを始めなかった。
このポイントについてデル=ポトロは「多分、僕らの試合を見ているのが退屈だったんじゃないかな。」とジョークを飛ばしている。
第2セットでは、それはダビデンコの身にも起きている。第2セット第6ゲーム、ダビデンコがサービスキープする前に赤ちゃんが泣きやむまで待つ必要があった。
第2セット第9ゲームでこの試合2度目のブレークに成功したダビデンコは、続く第10ゲームでマッチポイントを迎える。デル=ポトロのリターンが浅くなったところをフォアハンドで叩きネットに詰めたダビデンコは、返球されたロブをスマッシュ、デル=ポトロの返球はネットにつかまりゲームセットとなった。勝利の瞬間、ダビデンコは両腕を天に突き上げ、喜びを全身で表した。
今季前半をかかとの怪我のために棒に振っていたダビデンコは、4月にツアーに復帰すると全仏オープンでベスト8に進出、USオープン後に行われた上海マスターズでタイトルを獲得し、最終戦への出場権を獲得していた。
今大会では、初戦でディフェンディング・チャンピオンのN・ジョコビッチ(セルビア)に敗れたものの、ラウンドロビン2戦目で今年の全豪オープン覇者であるR・ナダル(スペイン)からも勝利、さらに全仏オープン準優勝者のR・ソデルリング(スウェーデン)も破り、決勝トーナメントに進出していた。
準決勝では、13度目の対戦となるフェデラーから初勝利を挙げ2年連続の決勝進出を果たしていたダビデンコは、今大会で今年のグランドスラム覇者全てを破ってのタイトル獲得となった。
世界ランク5位のデル=ポトロに「彼は素晴らしいチャンピオンだ。どうやったら彼に勝てるのか、誰も分からないよ。」と言わしめたダビデンコ。一時は世界ランク3位まで登り詰めるも、ビッグタイトルに縁がなかったダビデンコが最高の結果で今シーズンを終えた。
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