女子テニス協会のWTAは21日に公式サイトで、2018年の番狂わせの試合を紹介。第3位には、
大坂なおみが元世界ランク1位の
S・ウィリアムズ(アメリカ)を下して日本人初の四大大会優勝を飾った全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)決勝がランクインした。
2018年最後のグランドスラム決勝は、女子プロテニス界のレジェンドとも言えるセリーナと、有望視された大坂の対戦という興味深いものになった。それは、23度のグランドスラム優勝を誇り出産とそれに伴う病を乗り越えて復活途中にいるセリーナと、初めてのグランドスラムの決勝の舞台に立つ高い才能を評価された未来のスターである大坂の激突だった。
当時20歳の大坂は日本人として初めてグランドスラムのシングルスでのタイトルを獲得。23度のグランドスラム優勝を誇るセリーナをストレートで下すドラマチックな戦いを制した。
元女王のセリーナは、これまでグランドスラムでは30回(全米オープンだけでも8回)もの決勝戦を経験していることから、大きなアドバンテージを持って決勝へ臨んでいた。今年7月のウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)でも決勝へ進出していた。
一方、当時世界ランク19位の大坂は、それまでグランドスラム4回戦の壁を超えたことがなかった。それだけではなく、セリーナとの決勝までツアー優勝もわずか1度だけだった。その優勝は今年3月のBNPパリバ・オープン(アメリカ/インディアンウェルズ、ハード、プレミア・マンダトリー)で、続くマイアミ・オープン(アメリカ/マイアミ、ハード、プレミア・マンダトリー)1回戦ではセリーナに勝利していた。
日本のライジング・スターである大坂は輝かしいストロークと素晴らしいサービスで、セリーナから第1セットを先取。第2セットは先にブレークを許す展開から、驚異的な冷静さを維持し、興奮状態だったセリーナの勢いを封じ込めるものだった。
その後は大坂の真価が問われたが、最後は強烈なサービスを決めると6-2, 6-4で締めくくった。
大坂は「集中し続けなければいけないと思っていた。彼女(セリーナ)は素晴らしいチャンピオンで、いつどんなポイントからも挽回してくるのは分かっていたから」と会見で語っていた。
大坂は会見の席で涙ながらに語り始めた。
「彼女が24度目のグランドスラム優勝を本当に欲しがっていたのは知っている。誰もが知っていた。それはテレビのCMだったり、あちこちにあった。コートに立った時は自分が違う人間になった気分だった。もうセリーナのファンではない。1人のテニス選手と対戦している単なるテニス選手。でも最後にネットで彼女とバグをしたら・・・また子どもの頃に戻った気持ちだった」
セリーナは「前向きになるように努力するだけ。素晴らしいことやいいことに目を向け、それを考えながら前へ進むだけ」とコメントした。
「いつも最後まで戦っているし、どんな状況であれいつも挽回しようと努めている。でも大坂も本当に本当にいいプレーをした。彼女はどんどん打ってきた。とても集中していた。ブレークポイントを握ると、彼女は素晴らしいサービスを打ってきた。正直、この試合で彼女から学ぶものがたくさんあった」
その2週間後の東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント2018(東 京/立川、ハード、プレミア)で大坂は決勝へ進出したが
Ka・プリスコバ(チェコ)に敗れ、全米オープンから続いていた連勝は10でストップした。
セリーナは全米オープンの準優勝で今シーズンの活動を終了させたが、世界ランク1位の
S・ハレプ(ルーマニア)に並び今シーズン2度グランドスラムで決勝進出を果たした選手となった。
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