テニスのグランドスラムである全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード)は、大会初日に公にされた八百長に関する疑惑のレポートが、その後も大会に大きな影を落とし続けている。
>>全豪オープン対戦表<<大会初日の第1試合が始まる数時間前に、BBCとバズフィード・ニュースが、グランドスラム優勝者を含むトップ50にいた16名の選手に対して、異常な賭けが行われた疑いのため、テニス関係機関が注意を与えた試合に関与していたとするレポートを公にしていた。
レポートには、調査員がその選手に対して何も調査を行わなかったとも語られていた。その選手の中には現在行われている全豪オープンに出場している選手もいるとのこと。
それはすぐにニュースとなり、世界中の注目を集める引き金となった。そして、テニス関係機関の上層部がその疑惑を否定する緊急会合を設ける事態となっていた。
八百長の疑いはその後も長く尾を引いていたが、大会が終盤へと近付くにつれて、世間の注目は徐々に大会で行われている試合へと戻っていった。
全豪オープン運営委員会のC・タイリー委員長は「確かに八百長疑惑は多くの見出しとして取り扱われてはいたが、大会運営委員会である我々はテニス界全体の反応に喜びも感じていた。それは疑いもないものだし、一致団結している証拠でもある。」
シーズンの始めでもあり、オーストラリアと言うこともあって、この大会は通常リラックスした雰囲気を持ち、選手からはその雰囲気と手厚いもてなしから「ハッピー・スラム」とも呼ばれていた。
タイリー委員長は、観客の動員数も増え、視聴率から見ても大会が八百長疑惑のレポートによって妨げられてはいないということを証明していると語っていた。
「最も説得力のある答えは、その数字が物語っている。」とタイリー委員長。「観客動員数も記録を更新する見込みで、その他色々な現場での数字を見てもとても納得できるものとなっている。」
主要なテニス関係者は、全豪オープン初日に公にされたレポートに対する新たな証拠などは出てきていないと語っている。
N・ジョコビッチ(セルビア)や
A・マレー(英国)、
R・フェデラー(スイス)、
R・ナダル(スペイン)らを含むトップ選手達は、誰もがその初戦を終えた記者会見の席で八百長疑惑に関しての質問を浴びせられていた。
誰もがトップレベルにおいては全く問題はないとしていたが、もしこの問題が重大なものだとしたら、テニス界は迅速な対応が必要だという意見に賛同していた。
大会も2週目に入り最初の波が終息へ向かおうとしていた時に第2の波が沸き起こった。それはニューヨーク・タイムズ紙が、今大会で行われたミックスダブルスの試合の1つに八百長の疑いがかけられたと報じたことがきっかけだった。
男子プロテニス協会のC・カーモード会長は「全豪オープンにとって、とても辛い状況となっているのは疑いもない。正統性や世間からの信頼を取り戻すことに取り組まなければならない。我々は隠すことなど何もない。」と、テニス腐敗防止委員会が独自の調査をすると発表した時に語っていた。
テニス腐敗防止委員会の幹部でありウィンブルドン運営委員会のP・ブルック委員長は、新しい証拠は何も出てきてはいないとしながら、そのレポートは大会の環境を変えてしまったと認識しているとコメントしていた。
28日に行われた男子シングルス準決勝でジョコビッチに敗退したフェデラーは、大会初戦後のインタビューで、もしこの八百長への疑惑が本当であれば、とてつもなく重大なことだと表していた。
「それは一体誰なのか、何なのか。簡単に広められていた。誰なのか名前を知りたい。少なくともしっかりとした確証もね。それは選手なのか、サポートチームなのか、誰だったのか、それはいつのことだったのか。ダブルス選手なのかシングルス選手なのか。どの大会なのか。あちこちで噂されている。単なる憶測だけの物事に対して答えるなんてナンセンスさ。」と、数日前に語っていた。
24日にニューヨーク・タイムズ紙は、選手の個人名をあげていた。報道によると、全豪オープンで行われたミックスダブルスの試合に予期せぬ賭け金が投じられたことで、その試合が始まる数時間前に、試合への賭けは無効とする処置がとられていた。
その試合に関わった全ての選手は全員、八百長疑惑に対して否定していた。勝ったチームは、テニス腐敗防止委員会からインタビューを受けたことを認めていた。
同じ日、元トップ200にいた27歳の選手が、2013年に出場したツアー下部大会のフューチャーズ大会で八百長に関与したとする容疑に関する裁判が、シドニーの裁判所で行われた。
N・リンダール(オーストラリア)は当時、友人に試合で八百長をすると伝えていた。そしてリンダールは「なぜなら、自分のベストの状態ではない時は、テニス選手はそうするものだ。」とも語っていたという。リンダールは再び4月に裁判所へ出頭する。
テニス関係者は、少なくとも68の賭けが試合へ行われていることを認識している。毎年世界各地で何千という試合が行われており、1人の選手の八百長で結果が左右されるため、不法な賭けの対象となってしまっているのかもしれない。
厳しい監視がなされているグランドスラムでさえ、選手が最善を尽くさなかったプレーをしたとして、主審や大会主催者から罰金などの処分を下されるケースが見られる。
2008年に八百長を防止するために設立されたテニス腐敗防止委員会が新たに行う独自の調査には、締め切りや資金などは特に定めることはないが、その調査の結果は公にされることが決まっている。
(STATS - AP)
>>WOWOWで全豪オープン実況中!吉崎仁康氏による現地レポート<<
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