テニス界で今、騒がれている八百長疑惑の件について、現在行われているグランドスラムの全豪オープン(オーストラリア/ メルボルン、ハード)に第1シードで出場している
N・ジョコビッチ(セルビア)や第2シードの
A・マレー(英国)ら、世界トップ選手が八百長疑惑についてそれぞれの見解を述べた。
>>全豪オープン対戦表<<八百長撲滅とギャンブル会社をスポンサーにするという2つの事柄は別のものではあるが、今年の全豪オープンではそれがどちらも表れている。大会2日目の全豪オープンでは、テニス界で八百長が調査されずにいたという疑いが広がり、その話題で持ちきりとなっていた。
大会初日の18日、BBCとバズフィード・ニュースによって、プロテニスを統括する機関がこの10年間でトップ50にいる16人の選手が八百長に関与したとする証拠を黙認してきた疑いがあるというレポートを発表し、この論争に火がついた。
レポートでは、その選手の半分が今年の全豪オープンにエントリーしているというものだが、選手の名前は明らかにされていない。
プロテニス統括組織は、その主張を否定することで統一戦線の形をとっており、2008年に設立されたテニス腐敗防止委員会による調査の結果、5人の選手と1人の関係者がテニス界から追放されているという事実を強調していた。
世界ランク2位のマレーと、
R・フェデラー(スイス)やジョコビッチなどのトップ選手は、プロテニス統括組織がその問題に対してより戦うべきだったと主張している。選手達はその問題が存在することを知っていたが、トップ選手が関与していたのは疑わしいと語っていた。
マレーは、テニスというスポーツはウィリアム・ヒルという賭博会社を全豪オープンのスポンサーにして、3つのアリーナに広告を掲げているのを許していることが複雑な意味をかもし出していると語った。
大会会場であるメルボルン・パークにはロッド・レーバー・アリーナ、マーガレット・コート・アリーナ、ハイセンス・アリーナの3つのアリーナがあり、試合の合間に初めて電工掲示板で広告を掲げている。
今大会過去4度の準優勝があるマレーは「ちょっと偽善者的だと思う。なぜなら、選手は賭博会社をスポンサーにすることを許されてはいないと信じているから。でも、大会はそうしている。なぜそんなことが起きているか理解出来ない。それがちょっと不思議でならない。」と、想いを語っていた。
前日には「境界線」だと表現していたジョコビッチ。「容認出来る範囲ではないか。正直、それは境界線だと言えるかもしれない。賭博会社を大きな大会のスポンサーにするかしないかについては、何が良くて何が悪いのかを語るのはとても難しいこと。」と加えていた。
男子プロテニス協会のC・カーモード会長は、スポーツへの賭け事は「許されている娯楽」であると語りながら、それは八百長などのようなスポーツを腐敗されるようなものと混同してはならないと語っていた。
そして「説明を加えるとするなら、賭け事自体は不法な娯楽ではなく、多くの人達がスポーツの賭け事を行っている。ここで話していることは、スポーツを腐敗させると言うこと。」と、18日に開かれた会見で語り、八百長に関する証拠を隠したり調査しなかったりという疑いを否定していた。
カーモード会長は、法律で許されている賭博会社は、プロテニス統括組織を汚職のターゲットになることを避ける助けにもなっていると加えていた。不法なギャンブルを根絶することは彼等の利益にもなっているからだとしている。
今大会最大の番狂わせを演出した
F・ベルダスコ(スペイン)。19日に行われた男子シングルス1回戦では、同胞で第5シードの
R・ナダル(スペイン)をフルセットの死闘の末に下していた。そんなベルダスコもこの話題に加わった。
世界ランク45位のベルダスコは、14度のグランドスラム優勝を持つナダルからの勝利に酔いしれていた中で行われた試合後の記者会見で八百長疑惑について問われた。
テニスの試合への賭け事には賛同しないとしながら「賭け事は排除したいが自分ではそれが出来ない。それに対して戦わなければならない。」と語っていた。
19日に行われた1回戦でストレート勝利を飾った第13シードの
M・ラオニチ(カナダ)は、賭け事に話題が集中している現状を喜ばしくない妨げだと感じている。「テニスは素晴らしいスポーツ。今季最初のグランドスラムの話題が、全豪オープンよりギャンブルに置かれているのはとても残念なこと。」と、今の気持ちを語っていた。
(STATS - AP)
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