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男子テニスで、オーストラリア期待の若手であるB・トミック(オーストラリア)20歳が、来年2月に行われる男子国別対抗戦デビスカップのオーストラリア代表から外されたことが現地水曜日のメディアで伝えられた。そのデビスカップでオーストラリアは、グループ1のアジア・オセアニア・ゾーン1回戦で台湾と対戦することになっている。
元世界ランク1位でオーストラリア代表チームの監督を務めるP・ラフター(オーストラリア)が、トミックを代表チームから外す決断を下した。
オーストラリア・テニス協会のテニス・オーストラリア会長であるクレイグ・タイリー氏は「パトリック(ラフター)がトミックを来年最初のデビスカップの試合のメンバーに選出しないという決断を下した。」と、このことについてコメントを始めた。
「チームとして、我々は選手達がテニスというスポーツへ常に全力を尽くしてくれること、最大の努力をして国のために戦ってくれることを願っている。トミックがコートに向かう時、常により一層のモチベーションにつながれば、そして試合への準備だけではなく試合中や試合後の彼のプロとしての姿勢の向上につながればと願っている。それは彼がオーストラリア人ナンバー1だろうと、100位だろうと、ジュニアだろうと関係ないこと。」
2011年のウィンブルドンで、当時ほぼ無名だったトミックが予選を勝ち上がりベスト8入りする大活躍をみせ、その後は今年の10月までオーストラリア人男子ナンバー1の座につき、祖国オーストラリア・テニス界の大きな期待を背負っていたトミックだった。しかし、今回の決断に加え、経済的な援助も減額されることも同時に発表されていた。
トミックは今年の全豪オープンでは4回戦進出。その4回戦でR・フェデラー(スイス)に敗れた直後に、自身のスポーツカーを運転中にいくつかの交通違反を犯しパトカーに追跡され、自宅までそのまま運転を続けるなどの違反を犯したことに対し、先月1000豪ドル(約83万円)の罰金刑という実刑が科されたばかりだった。
加えて先月は、友人の高級マンションの屋上でのプールパーティの席上で、知人と口論になり、その後激しい喧嘩を起こし警察を呼ばれる騒ぎも起こしていた。
また、今年のウィンブルドン1回戦で敗退したトミックは、その試合中にサーフェースである芝を故意に傷つけたとして大会側から注意を受けた。全米オープン2回戦でも、同大会で引退したA・ロディック(アメリカ)にストレート負けを喫した試合でも、第3セットは1ゲームも奪えず、やる気のない試合を行いラフターから「大変不名誉な試合」と、非難されていた。
加えて、10月の上海マスターズ1回戦でF・マイヤー(ドイツ)に敗れたトミックは、その試合でも試合スケジュールが過密過ぎることやテニス・ツアーからのプレッシャーでやる気を大きく欠いているなどを理由にあげて「85パーセントの力しか出せなかった」と、全力で戦わなかったことを明かしていた。
L・ヒューイット(オーストラリア)のコーチであるジェイソン・ストルテンバーグ氏は「トミックがどんな経験をしこれからどんな経験をするかはわからないが、彼はまだ20歳。他の選手達を比べるとまだ子供。だから私達まわりの人間が教えなければならない。本当は良い人間だし、彼が良いプレーをしているのを見ていたい。ラフターのように、経験や知識のある人達がいることを信じて欲しいし、時には今回のような厳しい愛情表現だってあるけど、それは全く悪いことではないんだ。」と、トミックについて語っていた。
「自分はもちろんラフターの決断を支持するよ。彼はその渦中にいる人間だし、オーストラリアのテニス文化を守るべき存在の人間。それにこれまでもとても良い仕事をしてきているからね。」と、ラフターに全面的な信頼を持っていた。
今年6月に自己最高位の27位を記録したトミック。現在は52位にまで落としているが、今シーズンの序盤ではブリスベン国際でのベスト4や全豪オープンでの4回戦進出と、来年は守らなければならないポイントも多い。そのプレッシャーを跳ね除け、祖国オーストラリアの期待に応えるには、人間的な成長が不可欠。その願いを込めたラフターの決断をトミックはしっかり受け止められるかは、彼はテニスでの活躍で示すしかない。
(翻訳/弓削忠則)
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