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テニスのグランドスラムである全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード)は大会最終日の31日、男子シングルス決勝が行なわれ、第1シードのR・フェデラー(スイス)が第5シードのA・マレー(英国)を6-3, 6-4, 7-6 (13-11)のストレートで破り、通算16個目となるグランドスラムタイトルと共に、優勝賞金210万豪ドルを手に入れた。
昨年の決勝でフェデラーはR・ナダル(スペイン)とのフルセットの接戦の末に敗れ、当時P・サンプラス(アメリカ)が保持していたグランドスラム最多勝記録である14勝に並ぶチャンスを逃し、表彰式で涙を流していた。
しかし、その後の全仏オープンで初優勝を飾りサンプラスの記録に並ぶと共に生涯グランドスラムを達成すると、続くウィンブルドンでも優勝し歴代1位となるグランドスラム15勝目を獲得していた。さらにその後、双子の父親にもなっている。
今回の決勝では、1936年以来となる英国人チャンピオンになるチャンスを逃したマレーが無念の涙を飲むこととなった。
通算22度目となるグランドスラム決勝進出を果たし、メジャー16勝目をあげたフェデラーは、「似ている感じだよ。不意に全てが終わって、押し寄せてくるんだ。感情のローラーコースターさ。マッチポイントが終わったとき、“何てことだ、勝ったんだ。すごい。”って感じだったよ。」と、今回の優勝と昨年のウィンブルドンでの優勝を比較した。
一方のマレーは話し始める前に深く息を吸い込むと「まずは、おめでとうロジャー、あなたがテニスで達成したことは信じられないことです。今夜の彼は、僕よりとても優れたプレーをしていました。」と勝者を称えた。
続けてマレーは「出来るならば、いつかここに戻ってタイトルを取りたいです。この数週間、素晴らしいサポートを受けてきました。今夜は君達のために勝てなくてごめんよ、だけど」と言ったところで涙をこらえ切れず、「ありがとう」とだけ続けてスピーチを打ち切った。
このことについてマレーは「ロジャーのように泣く事はできるけど、彼のようにプレーできないから恥ずかしかったんだ。」と述べている。
そのときの観衆とフェデラーは、マレーの感情をしっかりと受け止めていた。「見るのも辛いことだけど、テニスのことを考える選手を見ることは好きだよ。とても良い事だよ。だから彼のために出来ることは、ベストを祈るだけなのさ。」
さらにフェデラーは「素晴らしい大会を良くやりました。君のプレーはファンタスティックでした。君はグランドスラムを勝ってない選手としては良すぎるから、心配することはないよ。」と、マレーにエールを送った。
また、この試合で46本のウィナーを決め、マレーに2度しかブレークを許さなかったフェデラーは「またここで勝てて、とても嬉しいよ。この2週間は、僕のキャリアの中でもベストのテニスが出来ました。」と大会を通して最高のパフォーマンスが出来たことを喜んだ。
第3セットのタイブレークで5本のセットポイントをしのいだフェデラーは、2本のマッチポイントを無駄にしたものの、3本目でマレーがバックハンドをネットにかけると、両腕を天に突き上げ喜びを表した。
フェデラーを相手に2セットダウンとなりながらも、マレーは第3セット第6ゲームでこの試合2度目となるブレークに成功すると、続く自らのサービスゲームをキープ、ゲームカウント5-2とリードしていた。しかし、そこからフェデラーに逆転を許し、2時間41分で力尽きていた。
「とても良い気分じゃないよ。試合の終わり方以上だと思う。明らかに感情的な終わりだったけどね。もしこれが、完敗に近かったらあんな風にはならなかっただろうね。だけど、僕には試合をひっくり返すチャンスがあった。それで感情的になったと思う。」
フェデラーは2008年のUSオープン決勝でも、マレーからストレート勝ちを収めていた。両者がグランドスラムで対戦するのは、今回が2度目のこと。
22歳のマレーは、ツアーでも数少ないフェデラーに勝ち越している選手の一人で、その通算戦績は6勝5敗でリードしているものの、直近の対戦では3連敗を喫している。
昨年のウィンブルドン後に父親になっているフェデラーは、USオープンで決勝に進出したものの、J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)に敗れており、父親としてグランドスラムを制するチャンスを逃していたが、今大会の優勝によりA・アガシ(アメリカ)以来となる父親としてのメジャー制覇となった。
「父親として最初のグランドスラム優勝は、とても特別なものです。」とチャンピオン・スピーチで語ったフェデラーを、妻であるミルカさんは笑顔でスタンドから見守っていた。
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