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ストローク編

Vol.1 ミスを減らすための練習法 ストローク編 上巻

「練習はいつも一所懸命やっているのに、試合になるとミスが多いんだよなあ……」。そんな悩みを持つあなた、もしかしたら練習のやり方が良くないのかもしれません。ミスを減らすには、ミスを減らすための練習をしなくてはいけないのです。それは、いったいどんな練習なのか、一緒に深く考えていきましょう。

大前提 自分自身でミスの原因を分析しよう

試合でミスが多い人には、何が足りないのだろうか? これは、簡単に答えを出せるような問題ではない。ミスの要因には、じつにさまざまなものがあるし、それらが複合して多くのミスを生んでいるからだ。

本特集でも、「これですべて解決!」などと大それたことを言うつもりはない。だが、少なくとも練習の心がけや方法を少し変えるだけで、大幅にミスを減らせることは間違いない。今回の特集では、そうした視点から「ミスを減らす」というテーマに迫っていきたい。

ミスの原因を自分自身で考えていない人が意外に多い

先に、ミスが多い人に足りないものを一言で表わすことはできないと書いたが、そういう人たちに共通することが、少なくともひとつある。それは、自分がミスした原因を、後からしっかり分析していないということだ。たとえイージーミスでも、その原因はいろいろあるので、それを自分自身で整理・分析し、対策を立てられなければ、何度も同じ失敗を繰り返すことになる。当然といえば当然のことだが、それができていない人が多いのも事実だ。ここでは、代表的なミスの原因を4つ示したが(イラスト参照)、自分のミスにはどのパターンが多いのかということを、この機会にぜひじっくり考えてみてほしい。

技術的に明らかな欠点があるために、ミスが多くなってしまうというのは、初中級者に多い問題だ。たとえば、フォアのテイクバックで面が上を向いてしまうクセなどは、その代表例と言える。これに関しても、まずは本人の自覚がなければ修正できないので、周囲のアドバイスも受けながら自分の状況をしっかりと認識し、じっくりと矯正していこう。

習熟度というのは、同じことをどれだけ同じように正確に繰り返せるかということ。たとえフォームに明らかな欠点がなくても、打つたびに打点がバラバラであれば「習熟度が足りない」ことによるミスが多くなる。ボールの威力が同等でも、それを5球しか続けられない人と、50球ノーミスで続けられる人では大きな差があるのだ。そしてこの差は、練習の量と質の両方を高めることでしか埋めることはできない。

メンタルの問題でミスが多いというのは、よく「ビビリ」などとも言われるが、ようは試合になると普段通りのプレイができなくなってしまうということ。だが、これは習熟度(自分の技術に対する自信)の問題とも深く関わっており、一朝一夕で解決できるものではない。次ページで解説しているように、練習でも試合と同様のプレッシャーをかけていくというのは、かなり効果的だ。

判断のミスとは、プレイの選択を間違うことや、判断が遅れることによって起こるミスのこと。とくに、できないことをやろうとして失敗するケースが初中級者ではかなり多い。ポイントは、自分の中であらかじめ選択肢を整理しておくこと。試合では迷わずに打てるように、練習で十分にシミュレーションしておくことが大切だ。

レベルが上がってくれば戦術的な問題も出てくる

また、その4つの原因以外にも、プレイヤーのレベルが上がってくれば、戦術的な問題によるミスの増加という事態も起こってくる。たとえば、相手とのプレイスタイルの相性の問題でわざわざ不利な戦い方をしてしまったり、試合の流れを読み違えて自滅したりといった問題だ。イージーミスが減ってきたら、その面についても考えてみよう。
プロはあらゆる面でミスの原因を少なくしている
トッププロの場合、長年の練習で技術的な問題というのは当然クリアされており、習熟度も十分。判断の遅れやミスも少なく、多くの場数を踏むことでメンタル面も鍛えられている。身体的にも、下半身が非常に安定していて土台が崩れない。つまり、あらゆる面でミスの原因をつぶしていることが、イージーミスの少なさにつながっているのだ。

「効果的な練習をするための4つの掟」 >>

(テニスジャーナル 2004年3月号)
© SKI Journal Publisher Inc.

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