国際テニス連盟のITF公式サイトは23日、男子テニスで世界ランク3位の
D・ティーム(オーストリア)のコーチを務める
N・マス(チリ)氏のインタビューを掲載。元世界ランク9位でシングルスタイトルを6つ獲得した自身のテニス人生とともに、キャリアを振り返った。
>>PS5で錦織 圭、フェデラー、ナダルら登場の【テニス ワールドツアー 2】やってみた<<現在41歳のマス氏は2004年のアテネオリンピックで単複金メダルに輝くなど活躍。昨年2月ごろからはティームのチームに合流し、BNPパリバ・オープン(アメリカ/ インディアンウェルズ、ハード、ATP1000)や全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)の制覇に貢献した。
まずマス氏は、テニスにおけるメンタルの重要性を指摘した。
「テニスは個人のスポーツであり、精神的に自分の力で勝負しなければならない。僕は幼い頃からアカデミーでトレーニングをしていたから、コーチからストレスへの対処法を教わった。その結果、強い性格で、常に試合の最後まで戦うことができている。ハードワークして夢を見れば、達成することができる。僕ら南米人は、地元の大会があまりない。家からも家族からも遠く離れた場所に行かなければならないんだ。でも、若い頃からポジティブでいようとしていたし、ライバルよりも精神的にタフでいようとしていた。常に勝ちたいと思っていたよ」
自身の考えるメンタルの重要性は、母方の祖父母が第二次世界大戦を生き残り戦い続けたことにあるとも明かした。
「彼らは第二次世界大戦中、アウシュビッツにいて、戦後チリに移住したんだ。僕がテニスを始めたのは祖父の影響だった。 彼は何年もの間、僕をサポートしクラブへの送り迎えをしてくれた。そして、祖母は94歳で、彼女はまだ手首に強制収容所の番号の入れ墨が入っている。これまで生き抜いてきたことを丁寧に説明してくれたから、僕は彼らからそのエネルギーをもらっている。彼らがあの時代を生き抜いてきたのに、僕がテニスを生業にしているとき後ろ向きな気持ちになるはずがないよ」
また、自身のキャリアにはコーチの教えも多く影響していることも語った。
「いつも前向きなコーチにも恵まれた。コーチが何を伝えているのか、その中のメッセージを理解する必要がある。最初のコーチは、いつも『コートの反対側にミスなくボールを放つ必要がある』と言ってくれた。僕は自分の長所と短所を知っている。常に向上するように努力したんだ」
マス氏は2004年のアテネオリンピックで単複金メダルを獲得。それは現在でも変わらず「キャリアの中で最高の2週間だった」と話した。
「いつもこのスポーツで歴史を作りたいと思っていた。1984年には5歳の時にロサンゼルスでオリンピックを観戦し、2000年のシドニーではチリ代表の旗を掲げた。それでも、4年後に2つの金メダルを獲得することになるとは思ってなかった。オリンピックの出場資格を得るのは難しいし、メダルを獲得するのはとても大変なことだったよ」
2013年の現役引退後は国別対抗戦のデビスカップのキャプテンなどを歴任。チリの首都サンティアゴでアカデミーを開設し、2019年2月からティームとともに仕事を始めた。
「(ティームの)目標の1つはハードコートでの成績を上げることだったけど、今ではクレーとハードのどちらが良い成績を残しているのかは分からないくらいだね。彼(ティーム)は両方のサーフェスで素晴らしいレベルを持っている。そもそも彼は才能のある選手だし、とても努力家だ。とても若いから、明るい未来が待っていると思う。彼はもっと勝てることを知っているよ。新シーズンも彼が堅実なテニスを続けてくれることを願っている」
「コーチを務める選手を成功に導くには選手の近くにいなければならない。僕らは互いに尊敬し合っているし、彼が必要としているときには改善に取り組んでいる。最初の頃はもちろん知らなかったけど、たくさん話してすぐに適応したよ。一緒にツアーに行ったり、テニスについての考え方が似ているんだ。彼と一緒に仕事を始める前に何度も見ていた。そして、僕がコーチを始めた時には、ハードコートではちょっとした微調整を加えれば上達するだろうと思っていたんだ」
「彼は非常に包容力があり、常に向上しようとしている。とても良い人で、すべての子どもたちの手本になる。僕は今、自分がやっていることが大好きでやる気に満ち溢れている。今でもテニスに夢中なんだ」
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