テニスの全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード、グランドスラム)は1月29日、男子シングルス決勝が行われ、完全復活を遂げた第17シードの
R・フェデラー(スイス)が第9シードの
R・ナダル(スペイン)をフルセットを下して7年ぶりに優勝し、幕が下りた。
2016年はフェデラーにとって試練の年となった。怪我の影響でシーズン後半の大会を欠場し、2000年以来16年ぶりとなる無冠のシーズンを送った。
その影響で世界ランキングを下げ、第17シードで全豪オープンへ出場した35歳のフェデラーは、第2シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)と第1シードの
A・マレー(英国)が敗退する大波乱が起きる中、3回戦で第10シードの
T・ベルディヒ(チェコ共和国)に快勝し、危なげなく16強入りを果たした。
その後も全盛期を彷彿とさせるプレーで第5シードの
錦織圭、マレーを破った
M・ズベレフ(ドイツ)、第4シードの
S・ワウリンカ(スイス)に勝利し、7年ぶりに決勝進出を果たした。
2010年以来7年ぶりの優勝を狙うフェデラーに立ちはだかったのは、永遠のライバルであるナダルだった。
通算35度目の頂上決戦は、序盤から激しいラリー戦の応酬が繰り広げられた。フェデラーは第1セットを先取したが、ナダルにバックハンド側へ深いボールを打たれると主導権を握られ、セットカウント1-1とする。
鍵になったのは第3セットの第1ゲームだった。フェデラーは自身のサービスゲームで40-0としたがデュースに追いつかれ、3本のブレークポイントを握られてしまう。このピンチの場面でワイドへのサービスエースを決めて、何とかサービスキープに成功。
これで流れを引き寄せたフェデラーは、ファーストサービスが入った時のポイント獲得率が第2セットの56パーセントから第3セットでは82パーセントまで上げてリズムを掴み、セットカウント2-1と優勝に王手をかけた。
しかし、第4セットを落とし、ファイナルセットの第1ゲームでブレークを許したが「ボールだけに集中して、相手のことは考えない。頭を空っぽにして、ただ思いきってショットを打つだけ」と試合中に考えながらプレーしていたフェデラーが、第3ゲームをラブゲームでサービスキープすると徐々に再び息を吹き返す。
そして、第6ゲームでブレークバック、第8ゲームでは26本続いた圧巻のラリーを制して勢いに乗ると2度目のブレークに成功。第10ゲームのマッチポイントでフォアハンドのウィナーを決めて、3時間38分の激闘に終止符を打った。
試合後の会見で「ラファ(ナダル)は、確実に自分のテニス人生で特別な存在。彼がいたから、自分はここまでの選手になれた」とフェデラーは述べた。
また、全豪オープンの思い出について、以下のように語った。
「全てが、この大会から始まった。1999年の予選に出場し、2000年に初めて本戦で勝利したのが
M・チャン(アメリカ)だった。それからは、いつもここへ戻って来るのが大好き」
タイトルを獲得したフェデラーは、全豪オープンで2010年以来7年ぶり5度目の優勝、四大大会で2012年のウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)以来 約5年で歴代最多更新の18勝、さらに世界ランキングでトップ10返り咲きを果たした。
男子シングルスで35歳のフェデラーと30歳のナダル、女子シングルスで35歳の
S・ウィリアムズ(アメリカ)と36歳の
V・ウィリアムズ(アメリカ)の30代男女シングルス4選手が四大大会の決勝へ進出するのは、1968年のオープン化以降で初だった。
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