女子テニスでドーピング違反により2年間の出場停止処分という厳しい処分が
M・シャラポワ(ロシア)に下された翌日の9日、ラケット契約をしているヘッドとミネラルウォーター会社のエヴィアンが、大手スポーツ用品のナイキに続き、29歳のシャラポワとスポンサー契約を続行する意向を示した。
シャラポワは処分を不服とし、スポーツ調停裁判所へ控訴するつもりであると語っていた。
大手化粧品会社のエイボンは、契約が満了になるためその延長はしないと発表。しかし、この決断はシャラポワへの処分とは関係がないと述べた。
ヘッドのJ・エリアシュ会長は、ITF(国際テニス連盟)の反ドーピング裁判所から出されたこの処分を「欠陥のある決断」とした。そして、シャラポワに陽性反応が出たメルドニウムを、WADA(世界反ドーピング機構)が1月1日から禁止薬物へ指定するべきではない物質だとする自身の見解を繰り返し主張した。
オーストリアに本社を構えるヘッドによると、メルドニウムがパフォーマンス向上効果があるということに対しては科学的証拠に欠け、アスリートの健康にどの程度服用したら影響があるかを示す研究もないとしている。
「ITFはWADAによって行われた欠陥のある検査を基盤にこの決断を下したと考えられる。そのことはWADAがメルドニウムを禁止薬物に指定するかどうかを決めるために、どのように自身のルールを破ったかも示す結果となっている」とエリアシュ会長は語った。
エリアシュ会長は、WADAが「科学的証拠によってではなく、メルドニウムを使用したアスリートの数を基盤に」その決断を下したと主張。
メルドニウムが禁止薬物に指定されてからの3カ月間で、東ヨーロッパを中心に170人を超えるアスリートにメルドニウムの陽性反応が出ている。メルドニウムは血液の循環を良くする薬で、かつてはソビエト連邦の兵士の持久力を高めるために使用されたと言われている。
4月にWADAは、採取されたサンプルから少量のメルドニウムしか検出されなかったアスリートは、禁止薬物に指定される以前にメルドニウムを服用したと認められれば、処分は免れる可能性があるとコメントしていた。しかし、シャラポワの事案はそれには匹敵しなかった。
ヘッドは、3カ月前にシャラポワ自身が開いた会見で1月の全豪オープン期間中に受けたドーピング検査で陽性反応が出たことを公にし、暫定的に出場停止処分に入った時にも支持する意向を示していた。また、新しいラケットの契約も発表した。シャラポワはヘッドのラケットを2011年から使用している。
エリアシュ会長は「わが社はミス・シャラポワを応援し続けるつもりである」と会社の意向を明かし「故意のものではない」ためにサポートを続けているとも加えていた。
タグホイヤーやポルシェなど他のスポンサーは、世界で最も収入の高い女性アスリートだったシャラポワとの契約を、3月の時点で打ちきる決断を下した。
シャラポワはスポーツ調停裁判所に、今回の処分を不服として控訴すると発表している。
「アンフェアで厳しい2年間の出場停止処分という決断を受け入れることは出来ない」とシャラポワは自身の公式フェイスブックにコメントを掲載した。
シャラポワはメルドニウムを10年以上にわたり、数々の健康上の問題から服用していたと主張していた。そして昨年1月1日から新たに禁止薬物へ指定されるリストにメルドニウムがあったことを確認していなかったことも明かしている。
(STATS - AP)
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