男子テニスツアーの上海マスターズ(中国/上海、ハード、賞金総額約652万ドル/優勝賞金約80万ドル)は12日、シングルス決勝が行われ、第3シードの
R・フェデラー(スイス)が
G・シモン(フランス)を7-6 (8-6), 7-6 (7-2)のストレートで下し、今季4度目のトロフィーを手にした。
今大会、上位シード勢は1回戦免除、2回戦からの登場だったため、第3シードのフェデラーは2回戦が全米オープン直後に行われたデビスカップ以来の公式戦だった。その2回戦でフェデラーは、らしかさぬミスを連発し、
L・マイェール(アルゼンチン)に5本のマッチポイントを握られる崖っぷちから辛うじて勝利を飾っていた。
しかしその4日後には決勝戦の舞台に立ち、勝利を物にしトロフィーを掲げていた。
「本当に本当にラッキーだった。今日この場にいられるのがどれほど光栄な事か身にしみている。」とフェデラーも今回の優勝が特別な物だと感じていた。
今季のフェデラーは、昨年の不調を払拭するようなプレーを見せている。グランドスラムでの優勝さえないものの、得意とするウィンブルドンでは準優勝を飾り、今季ここまでの勝利数も61勝を記録し、トップ10選手からの勝利も13回、決勝進出も9回と、いずれもツアー・ベストを記録する活躍を見せている。そして週明けに発表される世界ランクでは、
R・ナダル(スペイン)を抜いて2013年5月以来となる2位へ浮上した。
世界ランク1位の
N・ジョコビッチ(セルビア)とはまだポイント差があるものの、準決勝ではそのジョコビッチに対して完璧と言わしめたプレーでストレート勝利を飾り決勝へ進んだ。昨年は腰の怪我などもあり、約11年半ぶりに8位にまでランキングを落とす不調ぶりだった。
「今季、一番気を付けているのは健康の事。そしてここまではそれが良い状態でいてくれている。去年の苦労が実を結んでいるのが分かる。そればかりか、気分も良く、目覚めも普通に迎えられているんだ。去年はなかば壊れかけていたからね。コートでも楽しんでプレー出来ている。またこんなプレーがしたいと願っていたプレーが今は出来ているんだ。」とフェデラーは自身の好調ぶりを実感していた。
日曜日の決勝戦は、強風のために屋根が閉じられて行われ、フェデラーはシモンを相手に苦戦を強いられた。その試合では36度のエラーを犯し、21度のウィナーを記録したフェデラーだが、終止ネットへ詰める攻撃的なプレーを見せ、シモンからは何度もパッシング・ショットを決められながらもそのプレーを貫いた。
シモンは「彼(フェデラー)はまだ前と同じような強さを持っている。今日のような素晴らしいサービスとパワフルなフォアハンドはまだまだ健在さ。今はこうして彼の力を実感出来たから、次に対戦する時にはもう恐れる事はない。もちろんそれでも彼を倒すのは至難の技だけどね。」と、フェデラーとの対戦の印象を語っていた。
この日の試合でフェデラーは、立ち上がりからフォアハンドのミスが出て、第1ゲームでブレークを奪われる苦しい展開を強いられた。その後は両者サービスキープを続け、ゲームカウント5ー4からサービング・フォー・セットを迎えたシモンは、プレッシャーからかこの試合唯一のダブルフォルトを犯しミスも続け、ブレークバックを許してしまった。
シモンは「彼はチャンスを握った時、本当にそれを上手く手に入れるんだ。彼は接戦に持ち込まれた時に、何とかそれを切り抜ける感覚を持っているんじゃないかな。」とフェデラーについての印象をコメントしていた。
今年の2月にはトップ20落ちをし、6月には44位にまでランキングを落としていたシモンだが、ここ最近は再び好調さを取り戻し、今大会でも世界ランク4位の
S・ワウリンカ(スイス)、同ランク7位の
T・ベルディヒ(チェコ共和国)を破る活躍を見せ、13日発表の世界ランクでは18位と再びトップ20への返り咲きを果たしている。
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