テニスのグランドスラムである全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード)は19日、男子シングルス4回戦が行われ、オープン化以降史上初となる4連覇狙う第2シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)が順当にベスト8進出を決めた。試合後ジョコビッチは、コーチである
Bo・ベッカー(ドイツ)のモノマネを披露した。
M・シャラポワ(ロシア)のサービスのモノマネなど、モノマネ好きで知られる世界ランク2位のジョコビッチ。そのジョコビッチが今回新たなレパートリーに元世界王者を付け加えた。ジョコビッチの新コーチとなったベッカーである。
ジョコビッチはトップ選手の仲間入りをする前から「道化師」や「ジョーカー(悪ふざけをする人)」というニックネームを得ていた。シャラポワに加え、
R・ナダル(スペイン)がサービス前にアンダーウェアを直す仕草や、
J・マッケンロー(アメリカ)の癇癪のモノマネなどもしており、時には度が過ぎる事もあった。
全豪オープンで3連覇中のジョコビッチは、4連覇を達成するために全豪オープン前にベッカーをコーチとして招いた。日曜日の4回戦ではジュニア時代からの友人である第15シードの
F・フォニュイーニ(イタリア)を6-3, 6-0, 6-2で下し、ベスト8入りを決めた。四大大会で6度の優勝を誇る46歳のベッカーは、ジョコビッチの関係者席に入って声援をなげかけていた。
試合後、ジョコビッチは元世界王者の
J・クーリア(アメリカ)から勝利インタビューを受けた。クーリアは1990年代にベッカーのライバルであった選手。クーリアはジョコビッチに次のように質問した。
「小さい頃、選手のモノマネをしていたと思うんだけれど、ベッカーのモノマネもしていた?」
ベッカーは笑いながら指で「その質問はダメダメ」という仕草をしたが、ジョコビッチは気にも留めずに「ベッカーのモノマネはしていた。でも彼(ベッカー)にはまだ見せていない。」と言い、ベースラインまで行って実際にモノマネを開始。
ベッカー独特の体全体を揺らしながらのサービス・モーションを観客に披露した。サービスは失敗に終わったが、ベッカーは大笑いする一方で、顔は恥ずかしさで赤く染まってもいた。
続けてジョコビッチは「これはボリス(ベッカー)が全盛期の頃の状態。今はこんな感じだね。」といって笑いながら、足を引きずった猫背の老人を演じてみせた。ベッカーは最近、足首の手術を受けており、コーチに就任して以降、まだジョコビッチと一緒にボールを打つ事が出来ていない。
観客が静まった後、ジョコビッチはベッカーのサービスを受ける日が待ち遠しいと話した。
「ボールを打てるようになれるよう努力している事は僕がよくわかっている。毎日、復帰に向けて色々やってくれているんだ。」
また、その後の記者会見でジョコビッチは、今回のモノマネが完璧ではなかったと話した。
「完璧にベッカーのモノマネをするには、もう数キロ太って髪も染めなければならない。」
ジョコビッチは4回戦の勝利で28連勝目を決めた。昨年の全米オープン決勝でR・ナダルに敗れて以来、無敗が続いている。しかし一方で、2013年にはナダルに世界王者の座を明け渡している。
順当に勝ち進めば、第1シードのナダルと第2シードのジョコビッチは決勝戦で激突する。両者は2012年の決勝戦でも激突しており、その時はフルセットの大激戦の末、ジョコビッチがトロフィーを手にしていた。
ジョコビッチは準々決勝で第8シード
S・ワウリンカ(スイス)と顔を合わせる。ジョコビッチは昨年の全豪オープン4回戦でワウリンカと対戦しており、その際には5時間以上の大接戦の末に勝利を収めていた。
ワウリンカについて、ジョコビッチは「誰にでも勝てる能力を持った選手。彼(ワウリンカ)との対戦となれば、前回のような5時間の試合は避けたいね。」と、話している。
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