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先日行われた男子テニスツアーのマスターズ大会であるソニー・オープン男子で、元世界ランク2位のT・ハース(ドイツ)が世界ランク1位のN・ジョコビッチ(セルビア)を下す金星を飾りベスト4へ進出した。そのハースを準決勝で下した31歳のD・フェレール(スペイン)が準優勝するなど、今のテニス界はベテラン勢の活躍が目立つ傾向にある。
4月3日で35歳になったハースは、ソニー・オープン男子本戦出場者の最年長ながら4強入りを果たし、今週発表の世界ランキングではここ5年間で最高位となる14位を記録、再びトップ10入りする勢い。
今年のソニー・オープン男子では、30代の選手が22人。10年前は12人で、20年前はわずか4人だった。
準優勝を飾ったフェレールも、4月2日で31歳になった。フェレールは、準々決勝で31歳のJ・メルツァー(オーストリア)と対戦し、ソニー・オープン男子で30代の準々決勝は2003年以来の事だった。
ソニー・オープン男子で優勝した25歳のA・マレー(英国)もベテランの活躍に注目している。マレーは、最新世界ランキングで、31歳のR・フェデラー(スイス)を抜き2位へ返り咲いた。
「ここ最近、この傾向はとても興味深いね。長年のテニス人生で、ピークを迎えている選手が何人もいる。自分がプロデビューした頃から比べると、トップ100選手の平均年齢が上がっているんだ。」と、マレーは語った。
かつては、20代で引退するトップ選手達が多かった。B・ボルグ(スウェーデン)は25歳、B・ベッカー(ドイツ)は28歳、P・ラフター(オーストラリア)は28歳、M・サフィン(ロシア)やG・クエルテン(ブラジル)は29歳で引退した。
近年のテニスは、プレースタイルに変化がある。以前ほどネットには出なくなり、多くのトップ選手はベースラインからのストローク戦で勝ち進んでいる。
マレーは「かつてサーブ&ボレーをしていた選手達の多くは、腰や膝、臀部の怪我が多かった。そして、20代後半で現役を退いていたんだ。今は選手のトレーニングが強化されている。より良いトレーニング方法が見つかり、疲労からの回復も選手がより学んでもいる。そして、体のケアについて一層学んでいるんだ。」と、コメントした。
トップ選手の平均年齢の上昇は、女子にも見受けられる。かつての世界1位であるM・セレス(アメリカ)、J・エナン(ベルギー)、M・ヒンギス(スイス)、K・クレイステルス(ベルギー)、J・カプリアティ(アメリカ)などは30歳を前に引退している。
ソニー・オープン女子を制したのは31歳のS・ウィリアムズ(アメリカ)で、大会史上最年長チャンピオンとなった。世界ランク5位で31歳のN・リー(中国)も、29歳の時に初めて全仏オープンを制し、今もトップ10で活躍している。2月に30歳になったR・ビンチ(イタリア)も今週発表の世界ランキングで13位と自己最高位を更新している。
この傾向とは裏腹に、10代の活躍は減少している。特に男子には顕著に表れている。ベッカーは、20歳になる前に2度のウィンブルドンを制し、M・ビランデル(スウェーデン)は17歳、ボルグは18歳、P・サンプラス(アメリカ)も19歳でグランドスラム初優勝を飾っていた。
10代でグランドスラムを初優勝した最後の選手は、2005年の全仏オープンを19歳で制したR・ナダル(スペイン)である。
現在のアメリカ人男子ナンバー1のS・クエリー(アメリカ)も、この状況に注目している。
「ハースについて考えているんだ。自分はまだ25歳。彼の年になるまで9年もある。それは、更なるモチベーションにつながるし、そんな選手達のような長くよい月日が送れるんだという希望が膨らむ。」と、クエリー。
加えて「20年前と比べると、今の選手はよりパワフルにボールを打っている。年齢が上の選手達が、パワーで18歳の選手を倒しているんだ。20年前はラケットやプレースタイルから考えると、18歳や19歳の選手を打ち負かす事が出来なかったと思う。今ほどパワーでプレーしていなかったから、ウィナーを取る事が少なかったと思う。だから、若い選手だって自分のプレーで勝ち上がる事が出来たんじゃないかな。今では、それはかなり難しくなっていると感じるよ。18歳や19歳の選手に比べると、しっかりトレーニングを積んだ20代後半や30代の選手とは大きな差があるね。」と、クエリーは分析した。
一方ハースは、30代の選手は体のケアがしっかり出来ていると感じている。
「何が違うかと言うと、年を重ねるごとにより賢くなっていると思う。栄養学だって向上しているし、正しいトレーニングをプロのトレーナーと行っている。それが、精神的にも安心してプレーを続けられる要因になっていると思う。」と、ハース。
また「どんな事が、今の自分に1番必要なのか知る事が出来る。筋力トレーニングも出来るし、有酸素運動だっていくらでも出来る。やりたければ、いつまででも出来るんだ。」とハースは、今のトレーニング環境の良さも語った。
現在男子のトップ50には12名の30代がおり、今年30歳を迎える選手が他に3選手いる。かつては、20代で引退するのが普通だったテニス界だが、選手寿命が長くなる傾向は今後も続き、ベテラン勢の活躍はこれから始まるクレーシーズンも続くだろう。
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(翻訳・記事/弓削忠則)
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