HOME → ニュースTOP → 今日のニュース(一覧) → 今日のニュース(詳細) |
|
戦う力はもう残っていなかった。「サヨナラを言うのはつらい。でも、みなさんとともに終えられた。素晴らしい気持ちだ」。午後の強い日差しの中、何度も観客を熱狂させてきた全米のセンターコートで、アガシが最後の試合を終えた。
4大大会すべてを制し、通算優勝8度。1987年の最初のタイトルからツアー60勝。20年近くテニス界を支えたスーパースターも36歳になった。この日でプロ通算1144試合目だった。長年痛みを感じてきた腰には、大会中も注射を打っていた。全豪オープン準優勝のバグダティスをフルセットで下した2回戦の激闘で、体は限界に来ていた。「勝つか、負けるかではない。自分ができる限りのすべてを出し切るかどうかだった」
快進撃で波に乗る世界112位のベッカーに、鋭いサーブとフォアハンドで攻められた。カウンターショットで反撃するが、走らされると苦しそうな声がコートに響いた。大事な1本に集中力を研ぎ澄ませ、第2セットをタイブレークで奪ったのがファンへの最後のプレゼント。引き際と悟ったのだろう。試合が進むにつれ、厳しいボールは追わなくなった。最後もサーブを見送った。
アガシの涙が止まらない。約2万4000人で埋まったスタンドを見上げながら、マイクを手に取った。声は震えていた。「あなたたちがいなくては、わたしは夢に手が届かなかった。残りの人生も、あなたたちとの思い出とともに生きていく」。拍手はいつまでも鳴りやまなかった。(共同)(了)
その他のニュース
|
© 2011 Fubic Corporation. All Rights Reserved.