オムニバス編 |
Vol.11 ここが違う! 苦手な人と得意な人 上巻(サーブ) |
スピンが得意か、スライスが得意か ②
スピンが得意な人がスライスを打つ、あるいはその逆を試みるということを考えた場合、単純に手首の角度を変えればいいかというと、そう簡単にはいかない。なぜなら、手首の角度を変えると、その人のスウィング自体にも大きな影響が出てくるからだ。打つたびに手首の角度をころころ変えると、自分のサーブが固まらず、安定しなくなってしまうというリスクが大きくなるので、トッププロのように完璧にスピンとスライスの打ち分けようと欲張らないほうが良いだろう。
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スピン系からスライス気味に ・・・ ボールの横を叩く |
スピンサーブが得意な人(それが持ち球になっている人)の場合、ラケットを垂直に立てて完全なスライスサーブを打つのはむずかしい。また、それは自分のサーブを確立するという意味でもやるべきではないし、相手のサーブのコースや球種を読まれないようにするためにも、極端にスウィングやフォームを変えることはお勧めできない。
だが、そこまでしなくても、イラスト右のようにボールの横を叩くことによって、スライス気味のサーブを打つことができるし、サフィンの連続写真(下)のように外に切れていくコースを狙うことができる。
また意識の持ち方としては、ボールを叩く位置のイメージ図のように「ボールのどこを叩くか」というイメージを変えることが有効と言える
コツ:ボールの横を叩く
●スピン系の人がスライス気味のサーブを打つときのコツは、右図のようにボールの横を叩くことだ。技術的なポイントはラケットの返しを遅らせるということだが、それを意識するよりも、(ボールの上ではなく)「横を叩く」というイメージを持ったほうが自然にうまくいきやすい。 |
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スライス系からスピン気味に ・・・ 左肩を下げる |
スライスサーブが得意な人(持ち球がスライスの人)の場合も、完全なスピンサーブに切り換えることは簡単ではない。理由は先に説明した通りだが、とくにスライス系の人は、手首のコックを深くすることが(腕力の関係もあって)むずかしく感じられるだろう。したがって、スピン気味にするか、あるいは腕力のある人なら思いきって手首の角度を変えてスピン系に転向するか、どちらかにしたほうが良い。
そして、スピン気味のサーブを打つためにもっとも簡単なのは、イラスト右のように、肩の傾きを変えるということだ。そのとき、右肩を上げるのではなく、「左肩を下げる」という意識を持ったほうが、楽に肩の傾きを大きくすることができ、スピン気味に打ちやすくなる。
コツ:構えたときに手首のコックを意識する
●スピンサーブを打つためのコツとして、もうひとつ有効なのが、構えた時点から手首の角度や形を意識的に作り、その形を保ったままスウィングするということだ。これもやりすぎると相手に読まれてしまうが、効果は意外に大きいので、ぜひ試してみてほしい。
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サフィンのスピン系のスライスサーブ
これはスピン系の人がスライス気味に(デュースサイドから外に切れるように)打った場面。インパクト(5)を見ると、ラケットの角度で言えば完全にスピン系だが、ラケットの返しを遅らせてボールの横を叩くことで、横回転の要素を増している。完全なスライスではなくても、このようにコースさえきちんと打ち分けられれば、それで十分だ。
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A.クルニコワのスライス系のスピンサーブ
こちらはスピンサーブと呼ぶには少々苦しい(フラットに近い)が、スライス系の人が少しスピン気味に (デュースサイドからセンターに)打った場面。1~4にかけて、身体を回しながら左肩を下げていくという動きが見られ、それによってボールに縦回転の要素を少し加えている。身体への負担が少なく、女性には参考になる例と言える。
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(テニスジャーナル 2005年10月号) © SKI Journal Publisher Inc.
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