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オムニバス編

Vol.11 ここが違う! 苦手な人と得意な人 上巻(サーブ)

回転をかけるサーブ

まず最初はサーブに回転をかけるという技術について考えていこう。ただし、回転がかかりさえすれば良いわけではなく、質の良い回転をかけることが本来の目的なので、ここでは、回転はかかるがキレが悪いというケースを中心に考えていこう。

回転のかけ方のイメージが間違っている

質の良い回転をかけるには、まず薄いグリップでサーブが打てることが大前提になる。とくに、スピンサーブは薄いグリップでないと打てないので、それができない人は、他のサーブ特集なども参考にして、先に薄いグリップを身につけてほしい。

次に、薄いグリップで打てるし、回転もかかるが、どうもキレが悪いという人の場合、原因としては、正しいスウィングができていないというケースが多い。代表的なのが下の2パターンで、これらは「回転のかけ方」について間違ったイメージを持ってしまうことによって生じてくる。
また、こうした問題があると、キレがないだけでなく、肘や肩を痛めることにもつながりやすいので、ぜひ修正してほしい。

バイバイのイメージ

皮むきのイメージ

これは、回転をかけるために「バイバイ」をするようなイメージでスウィングしているケースで、初中級者には非常に多く見られる悪い例だ。これでは、いちおう回転はかかるが、スピードが大きく低下してしまい、回転だけのキレのないサーブになってしまう。

こちらは「皮をむく」ようなイメージのスウィングで回転をかけているケースで、左の例以上に弱々しいサーブになりやすい。回転をかけるだけならこれでもOKだが、それでは相手のリターンをむずかしくすることはできない。

正しいスウィングができている

簡単に言えば、得意な人は「正しい回転のかけ方」ができているということになる。正しい回転のかけ方は、イメージをつかむのが少しむずかしいかもしれないが、ビリヤードで回転をかける場合を想像すればわかりやすいだろう(下図参照)。

ビリヤードでは、キューをまっすぐに突くことしかできない(こねるような打ち方はできない)が、それでもボールに回転をかけることができる。つまり、左図のようにボールの斜め後ろを突けば、それだけで回転はかかるということだ。サーブの回転のかけ方も、じつはこの感覚に似ているのである。

ラケットの動き方◎と×

この図は、上から見たラケットの動きを示したもので、左が正しい例で、右が間違った例(皮むきのイメージ)。

こう見ると、正しいほうはビリヤードの回転のかけた方に近いことがわかるだろう。

また、どちらのほうがスピードと回転が両立したサーブが打てるかというものも一目瞭然だ。

苦手な人はどうすればいい?

まずは、イメージを修正することが大切だ。それができないと、悪いイメージ例のような間違いを犯しやすいので、ここの解説をよく読んで、正しくイメージを理解してほしい。そのうえで、下図のような練習でスライスサーブから覚えていこう。スピンサーブは、その応用で打てるようになるからだ。

これは正しいスライスサーブを簡単に覚えるための練習法で、まず通常よりもかなり右に向いて構え、その方向にまっすぐスウィングし、面の向きだけ変えてボールを正面に飛ばす。こうすれば、何も意識しなくても自然に回転がかかるので、まずはその感覚を覚えることから始めよう。

J.C.フェレーロの上から見たスライスサーブ
これはデュースサイドからのスライスサーブを斜め上から見た場面。スウィングの軌道や面の角度、そしてスウィングとは違う方向にボールが飛んでいくことなどは、上図の○の動きと一致していることがわかるだろう。「スライス」という言い方をするが、実際にはスライスしているのではなく、ボールの斜め横をまっすぐに強く叩いているのだ。
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「スピンが得意か、スライスが得意か①」 >>

(テニスジャーナル 2005年10月号)
© SKI Journal Publisher Inc.

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