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バックハンド編

Vol.10 上級者への道 両手打ち編

目標とサナギの技術  前提を身につけるとできること

前ページでは、目標でもあり前提でもある両手打ちでもっとも大事な部分について解説したが、それを身につけることでできるようになることは、かなり多い。

早いタイミングに強くなろう

まず、ボールを引きつけてコンパクトなスウィングで打てるということで、速いボールや早いタイミング、つまりライジング打ちやリターンに強くなるためのベースができる。このメリットは、現代テニスの中では非常に大きいので、その部分はつねに意識して、強く打つことよりも、早いタイミングで打つことでスピードアップを図っていこう。

手打ちでも返せるように

また、両手打ちが苦手とする遠いボールなどの厳しい状況では、身体を十分に回すことができず、どうしても手打ちになってしまうが、そこでも引きつけて小さいスウィングで叩く技術が大きな威力を発揮する。さらにパッシングショットでは、低い打点から鋭くスピンをかけて振り抜くためにも、相手にコースを読ませないためにも、コンパクトなスウィングが効果を発揮し、それはトップスピン・ロブ(下の連続写真)などにも応用できる。
【目標】 V.ウィリアムズのライジング・ショット
他のショットよりもボールを引きつけて、コンパクトなスウィングで打てることによって、両手打ちにはライジングやリターンに強いという大きなメリットが生まれる。これは、前ページで解説した技術が身についていれば、あとは速いボール、早いタイミングに慣れれば、自然にできるようになるはずだ。また、低いボールの場合は、このヴィーナスのように腰を落とした状態でどっしりと安定させ、上体をブレさせない技術が必要になる(身体はそれほど大きく回転させる必要はない)。
【目標】 M.サフィンの飛びつきながらの両手打ちリターン
これは、厳しいコースに入ったサーブに対するリターンの例。両手打ちのリターンであれば、このようにほとんど身体の回転を使えず十分に腕を振りきれない状況でも、しっかりブロックすることで、相手の力を利用して強いボールを返すことができる。こうした手打ちになりやすい場面でも、引きつけて叩けるスウィングが欠かせないものになるのだ。また、インパクト後は大きく前に振り抜くのがむずかしいので、このように肘をたたむフォロースルーになる。
【目標】 K.クレイステルスの遠いボールに対する両手打ちバックハンド
遠いボールは、両手打ち最大の弱点であり、身体が回せないので両手の窮屈さが強調される(手打ちになりやすい)場面だ。それでも実戦では、当てるだけでなくしっかりと深く返せるようになりたいので、手打ちでもある程度強く打てる技術を身につけておきたい。また、球際での足の運び方も重要で、このようにオープンスタンスで軸足を飛ばしながら打つ方法の他にも、クローズドスタンスでのランニングショットなども身につけたい(ただし、本当に届くのがやっとならスライスで返す)。
【目標】 J.ビョークマンの両手打ちトップスピン・ロブ(倍速デジタル撮影)
このようなトップスピン・ロブも、引きつけて鋭く振るスウィングの応用で打つことができる。ポイントは小さく鋭く振り上げることで、大きくスウィングして大きく振り抜こうとすると、かえって強いスピンがかかりにくくなるので注意しよう。この連続写真の例でも、3までのテイクバックでは通常のパスを打つ場合と変わらず、インパクトの前後だけで鋭く振り上げている。フォロースルーも短く止めているが、こうしたほうが大きく振るよりもボールのコントロールがしやすくなるのだ。
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「目標とサナギの技術 高い打点からの強打」 >>

(テニスジャーナル 2003年9月号)
© SKI Journal Publisher Inc.

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