車いすテニスで男子世界ランク1位の
小田凱人と女子世界ランク2位の
上地結衣は8日開幕の全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)に出場する。小田と上地は開幕前に同大会を全日程生中継するWOWOWのインタビューに答えた。
>>小田 凱人vsクーパー 1ポイント速報<<>>【賞金】小田凱人、上地結衣ら 全米OP1回戦でいくら獲得?<<今大会で小田は2年連続2度目の優勝と男子車いすテニス史上初となる年間グランドスラム(同年に四大大会全制覇)達成を目指す。一方、上地は2年連続4度目の大会制覇を狙う。
【小田凱人 インタビュー】
Q. 今の気持ちは?
いろいろなものをまとってきた感じがあります。背負っているわけではないんですけど、タイトルを獲ったり、記録を作ったりする中で、いろんなものが付いてきてくれている感覚があります。自分が持っているものに自信があるので、自然体というか、素でいられますね。
去年までも、自分の中で芯みたいなものは持っていたつもりでしたけど、全然足りなかった。今はちゃんと心から思えます、「俺なら大丈夫だ」と。
Q. 昨年の全米オープンで達成した生涯ゴールデンスラム(四大大会とパラリンピック全制覇)は、大きな経験になった?
大きかったです。ただ、逆に、あのような勝ち方はもうしたくないと思いました。昨年は相手の時間が多い試合でした。勝てたからそれでいいと思ってしまった部分もありましたが、今はそう思えません。
1試合を通して、もっと自分の時間を増やして勝ちたい。常に自分のペースで試合をしたいという思いが強くなっています。ウィンブルドンでは、それができたと思います。今回もそれを追求していきたいです。
Q. どのようなテニスを目指している?
普通の枠からはみ出したプロを目指してきました。「自分はそういう選手になってやる」という気持ちでやってきて、今はそのスタイルが固まってきた感覚があります。
以前は、テニスもプレースタイルも常識外れだと思われていたかもしれません。でも今は、それが自分のスタンダードになってきた。自分でもそう感じますし、周りの選手からもそう見られているのではないかと思います。ようやく自分のスタイルに根っこが生えてきた感覚です。
自分が常識外れのことをして、それが1つの形になれば、次の世代にとって新しい選択肢になります。そういう選択肢が増えてほしいと思っています。
Q. 実績を積み重ねている一方で、車いすテニスをより多くの方々に知ってもらわなければならないという課題もあります。そのギャップを感じることはある?
もっと上を目指したいと思っています。今ここにいる人たちの中で、「トキト・オダ」という選手をどれだけの人が知っているかといえば、まだ限られていると思います。実際に車いすテニスの試合を生で見たことがある人も、まだ少ないと思う。
試合を見てもらうためには、これまでとは違うベクトルからのアプローチも必要だと思います。どれだけ勝っていても、自分からアクションを起こさなければ、誰かが自然に盛り上げてくれることはないと思います。現役選手だからこそ、自分たちからもっと多くの人を巻き込みたいです。
日本では、僕の名前を知ってくれている人も少しはいるかもしれない。けど、試合を見たことがあるという人は限られていると思います。でも海外に行くと、状況はもっと厳しいです。会場でたくさんの試合が行われている中で、車いすテニスを選んで見てもらうのは、現状では難しいと感じます。僕が逆の立場でも選ばないかもしれない。どうすれば足を止めて見てもらえるのか。次は、そこにチャレンジしたいです。
Q. 年間グランドスラムという偉業達成に向けて、本大会で大切にしたいことは?
今はあまり意識していません(笑)。まずは強い姿を見せたい。結果として、後から年間グランドスラムがついてきてくれたらいいと思っています。
Q. 新たに練習してきたことはある?
フォアハンドは、過去一です!何か特別な発見があったというよりも、ずっと感覚が良い状態が続いています。
ウィンブルドンが終わった時に、「負け方が分からないのは危ない」と思いました。練習で負けないと、負ける経験をする場がない。なので、コーチの知り合いなど、強い人たちに本気でプレーしてもらいました。毎日のように負けましたが、うまく調整できたと思います。
Q. 最後に意気込みをお願いします。
もちろん、強い姿を見せたいです。そして、日本でもっと車いすテニスを根付かせたいです。車いすテニスが盛り上がってくれたら嬉しい。それに尽きます。頑張ります!
【上地結衣 インタビュー】
Q. 生涯ゴールデンスラム達成、おめでとうございます。ウィンブルドンでタイトルを獲得した今の気持ちは?
ありがとうございます。ウィンブルドンから1ヵ月以上が経ちましたが、思い出すと今でも込み上げてくるものがあります。たくさんの方と一緒に戦い、ようやく獲得できたタイトルだったので、本当に嬉しかったです。
現地で応援してくださった方はもちろん、日本に帰ってきてからも、たくさんの方から「おめでとう」というメッセージをいただきました。皆さんと一緒に喜べる時間を過ごせたことが、とてもありがたかったです。
Q. ウィンブルドン後、ハードコートではどのような練習をしてきた?
ウィンブルドンでの戦い方を、芝以外のサーフェスでもどう生かしていくかを考えてきました。スライスなどのショットを含め、ウィンブルドンのために取り組んだことが、他のサーフェスでは使えないというわけではないと思います。ハードコートやクレーコートで、どのように自分のテニスに落とし込んでいくかを意識して練習してきました。
Q. 打てないショットはもうない、という境地に近づいているようにも感じます。
いえ、まだまだたくさんあります(笑)。だからこそ、100パーセントに近づけたいというモチベーションがあります。どの選手にも得意なショットがあると思いますが、私にとってはサーブも課題の1つです。これから取り組みたいことはまだたくさんあります。モチベーションは続いています。
Q. 生涯グランドスラム達成後、テニス以外の部分でもより多くのメッセージを伝えていく立場になったのではないでしょうか。
ちょうどニューヨークに向かう飛行機の中でも、そのことを考えていました。もちろん、自分のテニスやパフォーマンスをもっと高めたいという気持ちはあります。一方で、これまで学生生活を終えてから、テニスだけに集中できる環境を与えてもらってきました。
いろいろなタイトルを取った今、逆にテニスだけをしている自分に少し違和感を覚える部分があります。現役だからこそ伝えられることや、自分がプレーしているからこそ表現できることも、たくさんあると思います。これまでは、現役の間は試合で結果を残し、より多くの人に見てもらう機会を作りたいと考えていました。
自分が次にやりたいことは、現役を終えてからだと思っていましたが、少し考え方が変わってきました。車いすテニスを知ってもらうことはもちろん、自分にしかできないことを、現役の間からやっていきたいという気持ちが大きくなっています。
ただ、そのためにも、まずは自分が結果を残し続けることが大切です。パフォーマンスを高めることにも、しっかり時間を使っていきたいです。
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