男子プロテニス協会のATPは29日に公式サイトで2022年シーズンのベストマッチ、最大の番狂わせ、劇的な逆転劇など注目の5試合を振り返った。今回はグランドスラムに焦点を当てている。
全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー、グランドスラム)準々決勝M・チリッチ(クロアチア) vs.
A・ルブレフ/ 5-7, 6-3, 6-4, 3-6, 7-6 (10-2)
強烈なフォアハンドを持つ2選手となったこの試合。33本のサービスエースを放ったチリッチは88本のウィナーを決め、4時間10分で勝利。ファイナルセットはスーパータイブレークにもつれ込むも、1-2から9ポイントを連取して激闘を制している。
試合後、チリッチは「僕らしくプレーできたと思う。特にファイナルセットは、信じられないような戦いだった。今日は僕の日だったけど、彼(ルブレフ)も信じられないようなプレーをしたよ」とコメント。
また、この勝利により、33歳のチリッチは
R・フェデラー(スイス)、
R・ナダル(スペイン)、
N・ジョコビッチ(セルビア)、
A・マレー(イギリス)のビック4と並び、全ての四大大会で準決勝に進出した現役の5番目の選手となった。(当時、フェデラーは現役)
全仏オープン準決勝ナダル vs.
A・ズベレフ(ドイツ)/ 7-6 (10-8), 6-6(途中棄権)
負傷で中断し、第2セット途中で続行不可能となったこの試合でナダルとズベレフは質の高いテニスを披露した。
準決勝の第1セット、ナダルは第1ゲームでいきなりブレークを許すも第8ゲームでブレークバックに成功。第10・第11ゲームでは両者ブレークチャンスを掴むも活かせず、タイブレークへ突入。4度のセットポイントを凌いだナダルが1時間34分の激闘の末に先行する。
続く第2セットでは互いにブレーク合戦に。4度ずつブレークを奪い合うと第12ゲームでズベレフが転倒。足首を痛めると車いすに乗って退場しメディカルタイムアウトを取る。その後、コートには松葉杖をついて戻る事態となり、プレー続行はできず、3時間13分で試合は終了した。
試合後、ナダルは「彼にとってはとても悲しいことだ。正直言って、彼は信じられないようなプレーをしていた。彼はツアーではとてもいい仲間で、グランドスラムを勝ち取るためにどれだけ戦ってきたかは知っている。だけど、今回はとても不運だった」とコメント。
ズベレフは、その後の検査で靭帯を断裂していることが判明し、手術を実施。9月の国別対抗戦 デビスカップで復帰を予定していたが骨髄浮腫(骨の内部の骨髄部分に炎症が起きて、腫れている状態)という怪我を負い、今シーズンでの復帰は実現しなかった。
全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード、グランドスラム)3回戦M・ベレッティーニ(イタリア) vs. アルカラス/ 6-2, 7-6 (7-3), 4-6, 2-6, 7-6 (10-5)
この試合、ベレッティーニは先に2セットを連取するも第3・第4セットをアルカラスにものにされ、ファイナルセットに突入。ファイナルセットの第2ゲームではベレッティーニが転倒し、一時治療を受けるもプレーを続行。タイブレークにもつれ込むと4度のミニブレークに成功し、4時間10分の激闘を制した。
ベレッティーニは試合後に「第3セットは自信があったし、勢いもあったんだけど、その後ブレークされてしまった。第4セットはエネルギーが足りなかった。だから、ファイナルセットでは全てのポイントで戦うことを考えた。どの試合でも、足首の故障のようなことは起こるけど、僕はそれを乗り越えて戦ったんだ」と語った。
一方のアルカラスは「今日のプレーをとても誇りに思うよ。初めて2セットダウンから、あのように巻き返すことができた。コート上ですべてを出し切ったよ」と述べている。
全豪オープン決勝ナダル vs. メドベージェフ/ 2-6, 6-7 (5-7), 6-4, 6-4, 7-5
この試合、メドベージェフが2セットを連取するも、ナダルがここから3セットを連取。5時間24分に及ぶ大逆転で2009年以来13年ぶり2度目の優勝を果たすとともに、当時史上最多となる四大大会21勝目を飾った。
ナダルは試合後、「間違いなく、僕のテニスキャリアで最大の逆転劇だっただろう。今夜、このトロフィーを手にしたことは忘れられないし、僕のテニスキャリアの中でも、間違いなく最も感動的な試合のひとつだよ」と明かしている。
一方、メドベージェフは「5時間半も戦って、負けたあとに話すのは難しいけど、ラファを祝福したい。僕のパフォーマンスにはそれほどがっかりはしていない。確かに小さなポイントや細かい点で、もっとうまくやれたかもしれないね。ビッグマッチだったけど、これがテニスで、これが人生さ」とコメントした。
全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)準々決勝アルカラス vs. シナー/ 6-3, 6-7 (7-9), 6-7 (0-7), 7-5, 6-3
19歳と21歳の若手対決となった準々決勝。試合終了時、現地は深夜2時50分を回っており、全米オープン史上最も遅い試合終了時刻を記録した。
この試合、第1セットを先取したアルカラスだったが、第2・第3セットをタイブレークの末にものにされ、セットカウント1-2とリードを許す。第4セット、シナーがサービング・フォー・ザ・マッチを迎えるも、アルカラスがこの土壇場でブレークに成功。3ゲーム連取で2セットオールとする。
迎えたファイナルセット、シナーが第5ゲームでブレークを奪うも直後の第6ゲームでアルカラスがブレークバックに成功。第8ゲームで2度目のブレークを奪い、サービング・フォー・ザ・マッチを決めきって5時間15分の熱戦を制した。
アルカラスは激闘を振り返り「正直なところ、どうやって勝ったのかまだ分かっていないよ。僕は自分のプレーを信じたよ。試合を終わらせるのは本当に難しかった。冷静になろうとしたけど、その瞬間は難しいね」とコメントを残している。
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