5日に行われた全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー、グランドスラム)の男子シングルス決勝戦で、
A・マレー(英国)を下して生涯グランドスラム達成を果たした
N・ジョコビッチ(セルビア)には、更なる偉業となる年間グランドスラムへと早くも注目が寄せられている。
ジョコビッチには約半世紀ぶりとなる年間グランドスラムへの可能性が出てきた。これは、ここまでの間それを達成出来そうになることも少なかった。全豪オープンと全仏オープンを続けて制したのも、1988年の
M・ビランデル(スウェーデン)と1992年の
J・クーリア(アメリカ)しかいなかった。
R・フェデラー(スイス)も全豪オープンを4度制したが、全仏オープンで唯一優勝した2009年には全豪オープンで優勝を飾れなかった。
そして、全仏オープン史上最多優勝記録9度を持つ
R・ナダル(スペイン)も、唯一全豪オープンを制した2009年には、全仏オープンでの優勝を成し得なかった。
ビランデルは、全仏オープンに次ぐウィンブルドンの準々決勝で、クーリアは3回戦で敗退し、その夢は叶うことがなかった。両者は結局、ウィンブルドンでの優勝を飾ることが出来なかった。
しかし、ジョコビッチは既にウィンブルドンで3度の優勝を飾っている。全米オープンも過去に2度優勝しており、今年はウィンブルドンで3連覇、全米オープンでは2連覇がかかっている。昨年はグランドスラム3大会を含む11度の優勝を飾ったジョコビッチは、世間で言われている「絶頂期」にいる。
決勝戦で対戦したマレーは「この1年半から2年の彼(ジョコビッチ)のテニスは、他を圧倒するもの。」とその凄さを言い表していた。
今季は6大会で優勝しているジョコビッチのここまでの成績は44勝3敗。もちろん世界ランクも1位に君臨し、6日に発表された最新世界ランクのポイントは、2位のマレーと3位のフェデラーを足してもまだ足りない。
Bo・ベッカー(ドイツ)と共にジョコビッチのコーチをしているM・ヴァイダは「どんな将来になるか期待したい。彼(ジョコビッチ)は今、世界最高の選手。今回の全仏オープンでの優勝は、それに拍車をかけることになるだろう。」とジョコビッチへの印象を語った。
昨年は女子世界ランク1位の
S・ウィリアムズ(アメリカ)が、1988年の
S・グラフ(ドイツ)以来となる年間グランドスラム達成目前に迫っていた。しかし、その注目の高さとプレッシャーの強さからか、全米オープンの準決勝でまさかの敗戦を喫してしまい、年間グランドスラム達成には至らなかった。
最後に男子で年間グランドスラムを達成したレーバーは、2010年に受けたインタビューで「1年間のどこでも1つの悪い試合が台無しにしてしまう。そして健康でいなければならない。怪我や病気にはなれないし、時にはドロー運にも恵まれる必要もある。」と、その快挙達成の難しさを語っていた。
これまでのグランドスラムで、ハードコート、芝、レッドクレーと全てで勝利を飾り28連勝中のジョコビッチ。今季残る2つのグランドスラムで優勝するには、あと14連勝が必要となる。
その快挙達成について語り合うのはもちろん楽しいが、それを見届けることは更なる楽しみにもなるはずだ。
(STATS - AP)
■関連ニュース■
・ジョコ「人生で最高の瞬間」・ジョコビッチ あわや失格処分・ジョコ 錦織は「過去最高」