テニスのグランドスラムである全豪オープン(オーストラリア/ メルボルン、ハード)は大会13日目の30日、女子シングルス決勝が行われ、世界ランク6位で第7シードの
A・ケルバー(ドイツ)が同1位で第1シードの
S・ウィリアムズ(アメリカ)を6-4, 3-6, 6-4のフルセットで下し、グランドスラム初優勝を飾った。
>>全豪オープン対戦表<<同じドイツ出身でかつての女王である
S・グラフ(ドイツ)のアドバイスを受けていたケルバー。そのアドバイスを活かすプレーを披露で、セリーナがグラフの持つグランドスラム22度の優勝に並ぶ記録を阻止した。
「この大会は、シーズン最初の大舞台。そこで勝ってグランドスラムでの初優勝を手にすることが出来た。まだ信じられないけど、グランドスラムのチャンピオンなんだと今は言える。」と語るケルバーは、セリーナとの2時間8分の接戦を制し、四大大会33度目の出場で、やっとビッグタイトルを手に入れた。
今回の優勝により、2月1日に発表される最新の世界ランキングでは、自己最高位を更新する世界ランク2位へ上昇する。
同時に、1994年のグラフ以来となる全豪オープンでのドイツ人女性の優勝者となり、グランドスラム全体でもグラフが1999年の全仏オープンで優勝して以来のドイツ人チャンピオンとなった。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相もすぐにケルバーへ「この優勝で最高の夢を実現しただけでなく、グラフ以来17年ぶりとなるタイトル獲得は、ドイツのファンがグランドスラム優勝を待ち望んだ希望を叶えてくれた。」と祝福の言葉を送った。
さらに「世界で疑う余地もない最高の選手との決勝で、どれほど勇敢に、そして強い精神力と共に、その対戦相手を上回るプレーをした試合は、まさに魅了されたと言わざるを得ない。この勝利をフルにエンジョイし、そして今後も更なる活躍を願っている。」と続けていた。
今回の全豪オープンが始まった時も、誰がセリーナを倒せるかとの疑問が投げ掛けられていた。セリーナは前年度チャンピオンであり、全豪オープンでは7度目の優勝を狙っていた。セリーナの対抗馬として数名の選手の名前があがるも、その中にケルバーの名前は入っていなかった。
ケルバーはこの4年間トップ10に君臨していた。グランドスラムでこれまでの最高成績は2011年の全米オープンと2012年のウィンブルドンのベスト4だった。
昨年の全豪オープンで初戦敗退を喫していたケルバーは、今年もそれを繰り返すかに思われた。1回戦で
土居美咲(日本)にマッチポイントを握られる崖っぷちに追い込まれるも、逆転勝利を飾っていた。
「1回戦では相手にマッチポイントを握られていて、片足はドイツへ帰る飛行機に乗っていたようだった。でも今はこうしてここでトロフィーを掲げている。」と、ロッド・レーバー・アリーナに詰めかけた1万5,000人のファンへ語った。
試合の序盤は観客の多くがセリーナを応援していたが、試合が進むにつれて徐々にケルバーの応援へと変わっていった。
そんな声援はケルバーにとって、何も失うものはないと感じさせ、全力でセリーナへ向かうプレーを引き出していた。そしてケルバーは自身のテニス人生で最高の試合を演出していた。
セリーナがベストのプレーをしていたとは言えなかったが、それでもケルバーはどんなボールも諦めず相手コートへ返し、リスクを犯すようなショットを何度も見せていた。
子供の頃からのアイドルだったグラフから、大会を通してアドバイスをもらっていたケルバーは昨年、グラフの夫である
A・アガシ(アメリカ)と2人の子供と生活しているラスベガスを訪れ、グラフと練習していた。
グラフはケルバーのプレーを称賛し、正しい方向へ向かっていると伝えていた。そして、自分自身を信じることとアドバイスしていた。それは今大会で彼女が何度も口にする信念となっていたとケルバーは語っていた。そして、その精神的支えはしっかり実を結んだ。
「今はシュテフィ(グラフ)の役に立てたと思っている。」とケルバーは笑いながら語り「彼女はまさしくチャンピオン。22度ものグランドスラム優勝を飾っていた。今回は自分の1つ目。一生懸命な練習の成果が出たと感じている。」と自身の気持ちを話した。
グラフは決勝戦前に、ケルバーへ応援するメールを送っていた。そして30日の夜は、グラフに加え他の多くの人からの電話で彼女の携帯電話は鳴りっぱなしだった。
「今は携帯電話が爆発しそう。どれほどのメッセージをもらったか分からない。」と語るケルバーだが、決勝戦後には携帯電話のバッテリーが切れてしまい、すぐにグラフと話をすることは出来ていなかった。
「ただ両親とおじいちゃんやおばあちゃんに電話をしたのが精一杯だった。だからグラフからの言葉は全く分からなかった。」とケルバーは嬉しい悲鳴をあげていた。
(STATS - AP)
>>WOWOWで全豪オープン実況中!吉崎仁康氏による現地レポート<<
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