2日の夜に予定されているエキシビションマッチのためにタイのバンコクを訪れている男子世界ランク1位の
N・ジョコビッチ(セルビア)と同ランク7位の
R・ナダル(スペイン)は、普段着用しているテニスウエアからタイの伝統的衣装であるタイシルクのジャケットを身にまとうと、タイを支配している軍事政権の幹部と握手を交わした。
ジョコビッチとナダルが行う「バック・トゥー・タイランド」と称するエキシビションマッチは、チケットが全て完売している人気の高さ。
このエキシビションは、地元当局が8月17日にバンコクで起きた連続爆破テロ事件を受けて、安全性をアピールするために計画されたものである。その事件では、20人の犠牲者と120人を超える怪我人が出たほどの大きなものだった。
この日行われた撮影会の1つは、事件が起きたエラワン寺院を訪れてのもので、激しい雨と厳重な警備の中、花の中に横たわりカメラに向かってポーズを取っていた。
両者をこのイベントへ招くために、1億5,000万バーツ(約410万ドル:約4億9,200万円)を両者に均等に分けて支払ったことを、タイ・テニス協会とイベント主催者が明かしている。その際いくつかの条件を付けていた。
その中の1つの条件は明らかにドレスコードだった。両者はタイの伝統的衣装であるタイシルクのジャケットの着用を義務付けられていた。そのジャケットはタイ王国への尊敬を表す色のものだった。ジョコビッチはタイの国王の色とされる黄色のジャケットを、ナダルはタイの女王への尊敬を意味する青のジャケットを着ていた。
正装した二人は豪華なグランドパレスを訪れ、プラユット・チャンオチャ首相と面会した。プラユット・チャンオチャ氏は、2014年5月にそれまで続いていたタイ貢献党の政権を打倒し首相の職に就いた。
プラユット首相は「世界を代表する二人の選手をここタイランドに招くことが出来て、大変光栄に思っている。」と、首相官邸として知られるオフィスで全米オープン覇者のジョコビッチとその長年のライバルであるナダルに語りかけた。
そして「このことを機に、より多くの人達がタイランドへ訪れてくれることを願っている。」と自身の思いを語り、両者と握手を交わすと同時に二人とプレゼントを交換した。ジョコビッチとナダルはいずれもラケットを首相へ渡すと、プラユット首相はタイ伝統のマスクの金色のレプリカを手渡した。
その後、両者はエキシビションのためにウォーミングアップを行った。3セットマッチで行われるエキシビションで、二人は5,700人収容のフアマーク・インドアスタジアムに詰め掛けたファンへ素晴らしいプレーを披露したいと意気込みを表していた。
前日の1日に行われた記者会見でジョコビッチは「ファンへ笑顔を与えたい」とし、ナダルは「このエキシビションは人々へ楽しみを与えるものにしたい」と語っていた。
これまで両者は、ツアーでは43回対戦しており、ナダルが23勝20敗とリードしてはいるものの、直近ではモンテカルロ・マスターズ、全仏オープンとジョコビッチが2連勝している。
ジョコビッチが最後にタイを訪れたのは2008年で、その年のタイランド・オープンの決勝戦で
JW・ツォンガ(フランス)に敗れていた。一方、ナダルは2010年以来でナダルも同大会に出場し準決勝で敗退していた。
(STATS - AP)
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