先週開催されていた男女共同開催のBNLイタリア国際は、男子は
N・ジョコビッチ(セルビア)、女子は
M・シャラポワ(ロシア)の優勝で幕を閉じたが、大会主催者は大会会場となっている歴史のあるフォロ・イタリコからローマの主要空港近くの別の場所へ会場を変更したい意向がある事を公にした。
会場の施設に余裕がなくなって来たのと同時に、観戦希望者の増加に伴いチケットの需要も増した事が主な理由となっている。
イタリア・テニス協会のアンジェロ・ビナギー会長は「もうこの場所は小さ過ぎる。テニスへの強い思いが、この大会がイタリアでの最大のスポーツ・イベントへと成長させている。」と日曜日に大会会場で行われた会見で語っていた。
メイン・スタジアムで2010年に建設されたフォロ・イタリコ・スタジアムは10,500人収容可能だが、今となってはそれでは足りないとビナギー氏は加えていた。
今年の総集客数は、最終日の日曜日で20万人を越えると見込まれており、これは昨年の17万5000人を越え、チケットの売り上げでも1000万ユーロ(約1100万ドル、約13億5000万円)となり、これは2014年から23パーセントも増額した。
もしローマが、2024年のオリンピックに立候補するとしたら、全く新しい試合会場とナショナル・トレーニング・センターの建設をビナギー氏は提案しており、それはオリンピックでも使用されるであろうレオナルド・ダ・ビンチ空港の近くに建設する事を望んでいる。
「そう夢見ているのは素晴らしい事でもあり、それが2024年のオリンピック招致へ繋がってくれて、この大会もそれに見合うような場所になってくれたらと願っている。」とイタリア・オリンピック委員会のカルロ・モルナティ事務局長もコメントしていた。
大会はイタリア・テニス協会と、イタリア・オリンピック委員会とによって運営されている。
メイン・スタジアムはイタリア・オリンピック委員会によって建設されたが、当初は更に2000から3000席が加えられる予定であり、そうなれば今のニーズもまかなえる物になっていたかも知れない。そしてスタジアムに屋根を付ける約束も交わされていた。
「毎年、何らかの打開策を練ってきたが、その限度を越えてきてしまった。」とビナギー氏は、イタリア・オリンピック委員会のジオバンニ・マロゴ会長とも話し合いを持ってきた事を明かした。
ビナギー氏は「我々はイタリア・オリンピック委員会との関係を解消するべきか、続けるべきか考える必要がある。」と、率直な気持ちも語っていた。
男子シングルス決勝でジョコビッチに敗れ準優勝に終わった
R・フェデラー(スイス)も、近年観客などの増加で会場の狭さが問題になっている全仏オープンなどの歴史のある大会の状況と形容させていた。
「大きな会場へ移動する事が常に賢い選択かどうかは自分でも分からない。」と、フェデラー。
「ただ、テニスと言う競技が良い方向へ向かっているのは素晴らしい事だと思う。毎週訪れる大会で、観客動員数の新記録を見ているし、それを見られるのは気持ちの良いもの。ただ心配なのは、あまりにも大きくなりすぎてしまうと、大会自体の質がどのようになるのか不安になってしまう。」
「この大会や全仏オープン、それにマイアミ大会のような親密でアットホームな大会だからこそ、喜びを感じるものなのかも知れない。誤解しないでもらいたいが、発展にも賛成してはいるが、歴史もここにあるんだ。」と、自身の思いも加えていた。
ビナギー氏の発言は、近年続いている市議会との確執の一部とされる政治的な動きではないかと見られてもいる。
「時にはプレッシャーを払拭したいと願う事がプレッシャーにもなりえるし、政治家に対して“場合によっては移動する準備も出来ているんだ”と言う意思表示なのかも知れない。まだスペースはあるように思えるから、この場所で何か出来るのではないか。」と、フェデラーはコメントを続けていた。
「この大会は大好きです。特別な大会。なぜなら、歴史を感じられるからです。」と語るのは女子シングルスで3度目の優勝を果たしたシャラポワで、新古典派の彫像で囲まれた魅力的なピエトハンジェリ・コートについてコメントしていた。
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