昨年の全豪オープン女子シングルス覇者で、9月に突然の引退を表明した
N・リー(中国)は、今年の同大会初日にロッド・レーバー・アリーナに姿を見せると、第1子を妊娠中であることを公にしていた。そんな彼女だが、将来子供に自分がプロテニス選手だった事を伝えるつもりはないと語っていた。
もちろんそれは、自身のテニス人生を後悔している訳ではないし、もし昔に戻れても何も変えるつもりはないと言う。ここまでの自身の人生を“完璧”と言い表していた。
現在32歳のリーは、引退を決意するのはかなりの難しい決断だったと振り返っていた。それでも実は引退についてはそれまでも長い間考えていた事で、今ではその決断を心地よくも思っていると語る。
「もし次の人生があるとするなら、またテニス選手を選ぶでしょう。引退を決断し、テニスから去ることは本当に辛い事でした。でも今は、現在している事を続けて、家族のための生活をしなければと感じているのです。」とリーは、20日に詰め掛けたレポーター達に語った。
大会初日の19日に、センターコートであるロッド・レーバー・アリーナへ再び姿を見せたリーだったが、それは大会での連覇をするためではなく、彼女と彼女のご主人であるジアン・シャン氏がこの夏にも第1子を授かる事を報告するためであった。
その後に彼女は自身の公式フェースブックにメッセージをアップしていた。それには、オーストラリアのファンと特別な繋がりがあると感じているそのアリーナで、妊娠の報告をしたかったと自身の気持ちを綴っていた。
彼女が最初にブレークしたのも2011年のそのアリーナだった。アジア人選手として初めてグランドスラムの決勝の舞台に立ったのだ。そして試合後のインタビューでは、主人であり当時のコーチであるジアン・シャン氏と自身のやりとりを皮肉めいた漫才のように語った事から更に人気を高めた場所でもあった。
4度目の膝の手術の直後に引退を決断したリーは、そんなユーモア溢れるキャラクターから、レポーターに引退した事で良い面もあると加えていた。
「少なくとも今は、今年の目標を答えずに済むようになりました。よりリラックスしているし、もうストレスを感じなくても良くなったのです。今の自分は以前より数倍幸せだと感じています。」
リーは引退した後はずっと忙しい日々を送っていた。シャン氏と一緒に中国国内を飛び回り、自身のテニスアカデミーを設立する計画を立てていた。彼女は誰の力も借りずに、テニスと言うスポーツの人気を中国全土で爆発させたのだった。
女子プロテニスツアーを運営するWTAはリーの事を、アジアそしてテニスにおいての先駆者と表している。リーは中国人として初めてWTAツアー優勝を飾り、世界ランクでも初めてトップ20入りを果たし、アジア出身の選手として初めてグランドスラム優勝を果たしたのだ。彼女は昨年引退する前に自己最高位となる世界ランク2位を記録していた。
だが今のリーに取って、一番に考える事は家族の事となるだろう。
「私達の新しい生活は数ヵ月前に始まったばかりなのです。まだつわりもあります。」と今の気持ちを語っていた。そして赤ちゃんが男の子か女の子かまだ分からないとしながらも「女の子が良いですね。」と思いを伝えていた。
そしてテニスを教えるかとの問いには、もし教えて欲しいと言われたらそうすると返答していた。「自分がテニス選手だったとは言わないようにするつもりです。それはとても簡単な事。ただただ子供の健康と幸せを望んでいるからだけなのです。」と中国語訛りの英語で答えていた。
「テニスは仕事でした。子供の仕事ではないのです。誰にだって人格がありますから。」と自分の子供にテニスを強いる事はないと明言していた。そしてご主人がオムツを替えてくれる事はないだろうとしながらも、それは全く構わないとも加えていた。
続けて彼女は「夢は主婦になることでした。」と語り、それは妊娠する前から言っていた事だと説明していた。そして妊娠した今、指を鳴らしながら「そう、今のようにね。」と幸せそうに語っていた。
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