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(イギリス、ウィンブルドン)
ウィンブルドン最終日、男子シングルス決勝はR・フェデラー(スイス)とR・ナダル(スペイン)の二人がB・ボルグ(スウェーデン)の記録に並ぼうとしていた。フェデラーが勝てばボルグ以来となるウィンブルドン5連覇、ナダルが勝てば同じくボルグ以来となる全仏・全英の同一年制覇を実現することになっていた。
昨年の決勝と同じカードとなったこの対戦は、芝での実力をめきめきとつけてきたナダルが時として優勢となる緊迫した試合展開となったが、フェデラーが7-6 (9-7), 4-6, 7-6 (7-3), 2-6, 6-2の4時間に及ぶ熱戦を制し、見事優勝を遂げた。第4セットでは珍しく集中を失い、第5セットでも先にブレークチャンスを与えるなど、特に後半にかけて難しい局面を切り抜けて勝ち抜いた王者の目には涙が輝いていた。
「今日はとても接戦で、ナダルが勝っていてもおかしくない試合だった。僕が少しだけ運が良かっただけだ。」と、フェデラーもナダルの善戦ぶりを讃えた。
「雨にたたられてとても辛い毎日だったが、2週間試合を続けられて嬉しい。また来年もやって来る。」と、敗れたナダルは準優勝の喜びを語るが、その表情には悔しい思いを隠しきれなかった。
第1セットは互いに1度ずつブレークを決め、タイブレークの末にフェデラーが取った。しかし、特にベースラインからの攻めが冴えるナダルが第2セットの第10ゲームの大事なところでフェデラーをブレークして1セットオールに持ち込むと、試合は次第に長期戦の様相を示してきた。
第3セットの第1ゲームでフェデラーはブレークチャンスを握るが、それを逃すと、ポーカーフェースとも言われる王者の顔にも苛立ちが見え始めた。結局このセットは両者全てサービスキープでまたもタイブレークに。そうなるとサービスエースでは大きく勝るフェデラーが優勢に進めてセットを取った。
しかし、ナダルはそれくらいではひるまない。第4セットではいきなりフェデラーをブレークし、一気に4-0のリード。2度目のブレークでは、ホークアイの判定に納得がいかないフェデラーが、「ホークアイのおかげで今日はめちゃくちゃだ。機械を止めてくれ!」と、極度の苛立ちを露わにする場面も見られた。集中力を失ったフェデラーには反撃にでるだけの余裕はなく、試合はファイナルセットへと持ち込まれた。
第5セットはフェデラーのサーブで始まったが、ナダルの優勢に変わりはなく、先にブレークチャンスを奪った。しかし、ナダルが4度のブレークチャンスをふいにすると、すかさずフェデラーがナダルをブレークして形勢を変え、その後はようやくリズムを取り戻して、王者たる貫禄を示した。
これにより、フェデラーはナダルとは5勝8敗、ウィンブルドンでは2003年から実に5年連続の優勝、グランドスラムは11度目のタイトルとなった。芝での連勝記録も54勝へと伸ばした。
「これからどれだけ記録を続けられるか分からないけど、精神的・肉体的にもまだまだ大丈夫だ。まずは僕のヒーローでもあるP・サンプラス(アメリカ)の持つグランドスラム14タイトルに並びたい。」と、フェデラーは自らの記録をさらに伸ばしたいと抱負を語った。
この日はボルグ始め多くのウィンブルドン・チャンピオンたちが、客席や解説席から新たなテニスの歴史が刻まれるのを見守っていた。
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