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バックハンド編

Vol.7 上級者への道 バックハンド編 上巻

前提の技術 テイクバックとスウィング

次はテイクバックとスウィングについて。フォアハンドではテイクバック時の面の向きに関して厳密な約束事があったが、バックハンドではきちんと左手を添えてさえいれば、それほど引き方を気にする必要はない。ただし、最終的に「どの位置に引くか」という部分は重要だ。それによってスウィング軌道も変わってくるからだ。そこで、どこにテイクバックするかという話も、スウィングから逆算して考えていく必要がある。

スウィング平面を意識しよう

バックハンドでは、トップスピンでもスライスでもひとつの平面上でスウィングを行なうことが大切になる。つまり下のイラストのように、肩を中心にして観覧車のようにラケットが回っていくスウィングのことだ。

このスウィング平面の傾きを変えることで、球種を変えることもできるわけだ。また、スウィング平面を意識することで、スピンにしてもスライスにしても、スウィングの形をシンプルに理解することができるはずだ。

当然、それによりテイクバックの位置も決まってくる。とくに意識する必要があるのは、「身体に巻きつけない」ということ。腕を身体から離して引かないと、理想的なスウィング平面を描くことはできないのだ。もちろん、それはスライスでも同様だ。

トップスピンのスウィング平面は、観覧車のような縦回転が基本になる。観覧車で言えば、ラケットがゴンドラで、腕が支柱、右肩が中心軸というイメージだ。ボールの回転量を調整するには、この円周上のどこでボールをとらえるか(打点の位置)を変えれば良い。コースを打ち分ける際にも、スウィング平面の方向を変えることを意識すれば簡単になる。また高い打点で打つときは、このスウィング平面の傾きが変わってくる。

スライスでも、このように回転する平面としてスウィングを理解することができる。トップスピンとの違いは、平面がかなり横に傾き(横振り)、さらに「前に傾いている」点だ。この前に傾いている部分が、ボールにアンダースピンをかけるために重要で、この傾きを変えることで回転量を調節することができる。

バックハンドのテイクバックでもっとも意識する必要があるのは、「腕と身体を離す」ことだ。腕を大きく引こうとすると、どうしても身体に巻きつけるような形になりやすいが、それをぐっと我慢し、「身体はひねるが、腕はあまり引かない」という意識でテイクバックすることを心がけよう。

鈴木貴男の正面から見たトップスピンのスウィング(倍速デジタル撮影)
上のイラストで説明した観覧車のようなスウィング平面がよくわかる連続写真。右肩を中心に腕がきれいに回転運動しているが、身体に巻きつけるようなテイクバックをしてしまうと、こうしたスウィングはできない。また、上のイラストと比べると平面が斜めに傾いているが、それは選手の個性や打点の高さで変わってくる部分だ。
鈴木貴男の正面から見たスライスのスウィング(倍速デジタル撮影)
スライスでも、上のイラストで示したスウィング平面に沿って腕とラケットが回転している様子がよくわかる。スライスのスウィングは一般的に複雑に考えられがちだが、観覧車的な動きとしてとらえればシンプルに理解することができる。ラケットが上下動する動きも、前側に傾いたスウィング平面によって起こるものだ。
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「前提の技術 打点のとり方」 >>

(テニスジャーナル 2003年6月号)
© SKI Journal Publisher Inc.

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