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錦織圭は「主人公」【錦織圭引退特集・内山靖崇】

内山靖崇、錦織圭
(左から)内山靖崇、錦織圭
画像提供: tennis365.net/ゲッティイメージズ
男子テニスで今季限りでの現役引退を表明している元世界ランク4位の錦織圭。tennis365.netは錦織の引退に伴い、関係者に取材を実施した。今回は男子で自己最高世界ランク78位の内山靖崇に話を聞いた。

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内山は錦織よりも3つ年下。錦織の背中を追い、力をつけてきた。両者はツアーでの対戦はこれまでないが、ダブルスでは2013年と2014年の楽天ジャパン・オープン(日本/東京、ハード、ATP500)、2014年の国別対抗戦デビスカップのカナダ戦(日本/東京、ハード)でペアを組んだ経験がある。

今回、長年にわたり錦織を間近で見てきた内山にインタビューを行った。

Q. 錦織選手の引退を聞いた時、率直にどんな気持ちでしたか?

ちょっと信じられない気持ちでした。僕がアメリカに行った時からジュニアの世界でトップを走っていて、その数年後にはもうツアーで優勝して、常に自分にとって高い目標としていた方なので、怪我とかで苦しんでいるところもたくさん間近で見たりしましたけど、どこかこの時間は永遠に続くものなんじゃないかみたいな感じがして、終わるところが全く想像できていませんでした。

錦織選手のテニスが見られなくなる未来というのが全く想像できていなかったので、そういう意味で信じられなくて、受け入れるまでに時間がかかりました。

Q. 発表後、錦織選手にはどんな言葉を伝えられましたか?

感謝を伝えました。練習してもらったり、ダブルスを組んでもらったり、アドバイスをもらったりというコート上での感謝ももちろんですし、テニス界における存在の大きさということへの感謝もありました。

男子テニスで錦織選手以降、世界ランクトップ100を切る選手がたくさん現れたのは、間違いなく錦織選手の存在にみんなが引っ張られたり、影響を受けたというのが紛れもない事実だと思います。そこに対しての感謝という意味合いも込めて感謝を伝えました。

Q. 錦織選手と最初に出会った時のことは覚えていますか?

僕が小学6年生の時にIMGアカデミーで会ったのが初めてです。

もちろん結果を出していることも知っていたので、錦織君だみたいな(笑)でも錦織君もそんなにおしゃべりなキャラクターでもなくて、僕もそういうタイプだったので、若い時は言葉を交わしたりはそこまで多くなかったです。

でも、僕は常に背中を追っていて、練習してるって聞いたらちょっと覗きに行ったりとか、そういった意味ですごく参考にさせてもらったり、勉強させてもらったりというのは、小中学生の時からさせてもらっていました。

Q. 内山選手から見て、錦織選手のプレーは何がすごいですか?

ゲームみたいなんですよね。僕らもテニスをやっている人間なので、こういうプレーするのは難しいとか、難易度が高いとかっていうのはわかるじゃないですか。その難しいプレーを当たり前のようにできる。漫画とかゲームの世界でしかやれないようなプレーをリアルにやってくる人です。現実にそのテンポでラリーするの難しくない?みたいなことをやってきたりとか、その軌道からボール落ちるの?みたいな。

フォアハンドなんてすごい回転量で急激にボールが落ちて跳ねて、テニスの王子様の(必殺技の)ドライブBみたいなのがいつも飛んできます。あんなショットは日本人選手ではまず誰も打てません。もちろんそれが故に世界4位まで行けたというのもあると思います。

だからこそ、フィジカル的な怪我との闘いというのが僕も悔しいです。錦織君がもしもう少し怪我の少ない選手だったらどこまで行けたんだろうなっていうのは思います。

Q. 錦織選手とはジャパンオープンで2度、デビスカップで1度ペアを組みましたが、どのような気持ちでしたか?

本当に思いきりよくプレーさせてもらいました。組ませて頂いた時は、僕がデュースサイドでリターンしていたんですけど、自分が取られても次アドサイドで取ってくれるし、自分が取ったらブレークできるみたいな感覚でした。サービスゲームも自分がサーブを打ったら前で決めてくれますし、僕はネットプレーに自信があったので、錦織君のサービスゲームも僕は自信を持ってできました。自分が少し自信のないリターンゲームとか、自分のサーブの時に全て心地よくプレーさせてもらいました。

特にデビスカップの時は自信がそこまでなかった中、錦織君と出るって決まり、試合前に「とにかく思いきりよく自分らしさだけ出してくれたらいいから、あとは何とかする」という話をしてもらって、その言葉を頼りにプレーさせてもらった結果勝てました。それが自分のプロテニス選手人生においての1つの大きな分岐点になった試合だったので、それが一緒に組ませてもらった中では一番の思い出です。

Q. オフコートの錦織選手はどんな方ですか?

本当にただのおちゃめな人ですよ(笑)あれだけ実績積んで色々ともてはやされることもあるでしょうし、日本では大スターなのに、人間性が本当に初めて会った錦織君が中学生の頃と今も何も変わらないんですよ。

そういうのって言葉で言うのは簡単ですけど、実際にそれをするのってめちゃくちゃ難しいと思うので、やっぱりそれが本当にすごいなと思います。そういったことも錦織君がすごく人を惹きつける魅力なのかなと思います。

Q. オンコート、オフコートで印象的なエピソードはありますか?

プレーの凄さは誰もが知っているところだと思うんですけど、プレーを見る目というところも本当にすごくて、例えば僕がテニスのことで悩んでいると、技術的なことも、メンタル的なことも、フィジカル的なことも、本当にアドバイスが的確なんです。

僕もそれなりに経験を積んできて色々なアドバイスを受けてきましたが、それでもいまだに錦織君にもらったアドバイスを実践するとガラッと変わるんです。ショットが良くなったりとか、気持ち的なところも試合ですごくいい方向に働いたりします。

良い意味で天然な感じがメディアとかでも出ていると思うんですけど、やっぱり人を見る目がないと的確にアドバイスできないと思うので、そういったところはさすがだなと思います。

オフコートで言うと、錦織君は日本では運転していないんですけど、正直僕、あれだけのスターが日本で練習する時は普通にタクシーか誰かに送迎してもらったりとか当然していると思っていたら、電車で通っているんですよ。それがもう衝撃で(笑)

去年の年末に慶応チャレンジャーに出ていた時は、練習日に普通に東横線に乗って慶応大学のある日吉までバッグにラケット2本くらいさして行ったって聞いて(笑)それ聞いた次の日「僕が迎えに行くのでやめてください。あなた有名なんだから(笑)」って言って、その後から迎えに行きました(笑)でも本人は本当に昔からの人間性そのままなので「いい、いい」とか言ってめちゃくちゃ恐縮していたんですけど、僕がテニス界のスター選手が電車に乗っている姿を想像したくなくて(笑)お願いなんで車で送らせてくださいって言って送ったりなんてこともありました。

それくらい言葉が合っているかわからないですけど庶民的な感覚です。そういった一面もあって、それが結構ギャップで面白いなっていうのは思います。

Q. 最後に、内山選手にとって錦織選手を一言で表すと?

日本テニス界の主人公です。

みんなが一挙手一投足に注目してしまいますし、みんなが錦織くんに影響を受ける。

錦織くんの結果でテニス好きな人も一喜一憂したりとか、やっぱり影響力の大きさが主人公だったなっていう感じがします。

みんなに寄り添うときもあれば、試合に入った時の集中力とか、試合前の雰囲気とかは人を寄せ付けないものがあったりとか、そういう一面もある。

みんなに慕われる本当にすごい主人公だったなと思います。


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