テニスのウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)は20日、男子プロテニス協会のATPと女子テニス協会のWTAが同日に公式発表した「2022年大会のウィンブルドンでのランキングポイントの廃止」という方針について失望していることを明かした。
>>大坂 なおみら 全仏OP女子組合せ<<>>大坂 なおみvsアニシモワ 1ポイント速報<<ウィンブルドンは先月20日に公式な声明として「このような不当かつ前例のない軍事的侵略の状況下で、ロシア政権がロシアやベラルーシの選手の参加によって、何らかの利益を得ることは容認できない。したがって、私たちは遺憾の意を表明し、ロシアとベラルーシの選手が2022年の同大会にエントリーすることを拒否する」ことを発表していた。
そして今回、ATPは更なる声明を発表し公式サイトに声明を掲載した。
「どのような国籍の選手であっても、実力に基づき、差別なく大会に参加できることは、我々のツアーの基本。ウィンブルドンがこの夏、ロシアとベラルーシの選手の出場を禁止したことは、この原則とATPランキングシステムの整合性を損なうものである。また、我々のランキング協定とも矛盾している。状況の変化がない限り、非常に残念かつ不本意ではあるが、2022年のウィンブルドンからATPランキングポイントを削除する以外の選択肢はないと考えている」
「私たちの規則は選手全体の権利を保護するために存在している。このような性質の一方的な決定は、もし対処されなければ、他のツアーに有害な前例を作ることになる。個々の大会への差別は30カ国以上で運営されているツアーでは、単純に実行不可能だ」
「ロシアのウクライナへの侵攻に対する我々の非難は、依然として明確。モスクワでのATPツアー大会を中止し、ロシアとベラルーシの選手が中立の旗の下でツアーに参加するよう、直ちに措置を講じた。これと並行して、私たちは他のテニス統括団体とともにウクライナへの人道的支援を継続し、被害を受けた多くの選手たちに直接資金援助を行っている」
また女子テニス協会のWTAも同様に声明を発表している。
「ロシアの侵略により、ウクライナの何百万人もの罪のない人々に起きている残虐行為は、恐ろしくてたまらないもの。WTAはロシアが続けている攻撃を強く非難する。何よりもまず、私たちは平和とウクライナの戦争が終わることだけを願っている」
「約50年前、WTAは“すべての選手には実力に基づき、差別なく、平等にプレーする機会がある”という基本原則のもとに設立された。 WTAはスポーツに参加する個々の選手が、国籍やその国の政府が下した決定だけを理由に、ペナルティを受けたり、競技を妨げられたりしてはならないと考えている」
「オールイングランド・ローン・テニス・クラブ(AELTC)とローンテニス協会(LTA)が最近行った、ウィンブルドンへの選手の出場を禁止する決定はWTA規則、グランドスラム規則、この2つの基本原則に違反するものだ。そして、WTAは今年のウィンブルドン選手権にWTAランキングポイントを与えないという難しい決定を下した」
「私たちがとっているスタンスはWTAの選手が個人として競争するために持つべき平等な機会を守るためのもの。もし私たちがこのスタンスを取らないのであれば、基本原則を放棄し、WTAが国籍に基づく差別を支持することを容認することになる。WTAは、そのような差別を拒否するために、このルールを適用し続ける」
「私たちは、すべての関係者の合意が得られ、選手が統一された環境で競技する機会を与えられるような解決策が見つかれば、ポイントの発行を見直すことを希望し、その意向を持ち続けている。私たちは、“Tennis Plays for Peace”を通じてウクライナを支援する人道的救済活動を続けており、これまでに110万ドル以上を集め、有意義な支援を提供し続けている」
この声明に対してウィンブルドンは「今年の大会へのロシアとベラルーシの選手のエントリーをお断りしたことに関して、様々な意見があることを理解しており、この決定が影響を受けた方々に深くお詫びする」とした一方で次のように声明を掲載。
「ロシアの世界的な影響力を制限するために英国政府がとった立場、すなわちランキングによる自動的な選手のエントリーを撤廃したこと。政府、産業界、スポーツ界などの幅広い反応を考慮すると、世界的に有名なスポーツイベントであり英国の機関であるウィンブルドンにとって唯一実行可能な決定を下したという考え方は変わっておらず、我々はこの決定を支持している」
「私たちは選手やその家族の安全を脅かすような行動をとることはない。ウィンブルドンという注目度の高い大会において、個々の選手から書面による申告を求めることは大きな精査とリスクを伴うと考える。さらに、ウィンブルドンでの成功や参加が、ロシア政権のプロパガンダに利用されることを受け入れることはできない」
「したがって、私たちは、ATP、WTA、ITFが選手権大会のランキングポイントを削除する決定を下したことに深く失望していることを表明したいと思う。これらの決定は、今回の例外的で極端な状況や私たちが置かれた立場からすると不釣り合いであり、ツアーで戦うすべてのプレーヤーに損害を与えるものだと考えている」
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