テニスで、毎年シーズン最後のグランドスラム大会として行われる全米オープンは、大会会場のメインスタジアムであるアーサー・アッシュ・スタジアムへの移動式屋根の設置に伴い、大掛かりな会場の変革を予定している。
今年はアーサー・アッシュ・スタジアムに移動式屋根の設置が完了するため、昨年の大会で雨の時にどれくらい屋根を使用するか分析しようとしたが、わずか1日しか降らなかったため皮肉な思いをしていたと主催者が明かしていた。
移動式屋根のない大会として最後となった昨年の全米オープンでは、リハーサルでどの程度の雨の時に屋根を使用するかを分析したかった主催者側だったが、普段は喜ばれない雨を願っていた。しかし、そんな時に限って大会期間中に雨が降ったのはわずか1日だけだった。
全米テニス協会のG・スミス会長は「もっと悪天候の日があってくれたら、今年の大会へ向けてより良い準備が出来たはずなのに。」と含み笑いを浮かべながら語っていた。
全米テニス協会からは29日に、会場であるフラッシング・メドーの工事状況の報告が行われた。アーサー・アッシュ・スタジアムの残り半分の屋根と新しいグランドスタンドは8月29日に初日を迎える今年の全米オープンまでには完成するとのことだった。
既に全豪オープンとウィンブルドンのメインスタジアムには移動式屋根が設置されており、全仏オープンも設置する予定が組まれている。
スミス会長は全豪オープンとウィンブルドンの主催者側から屋根を閉じるタイミングについてのアドバイスをもらっていると語った。全豪オープンは気温が上昇し過ぎた時に適応されるヒートポリシーが発令された時も屋根を閉じるが、全米オープンにおいては雨の時だけに屋根を閉じることがすでに決まっている。
「会場にいる気象関係者は、20分から30分以内で雨が降ることを予測できる」と、スミス会長。会長が危惧していることは、雨の予報に敏感になりすぎて、あまり降ることもないのに頻繁に屋根を閉じてしまったりしないかということ。
「もともとこの大会はアウトドアの大会。できる限り屋根は閉じずに試合は行いたい。多少の雨ではリスクはあれど屋根は開けたままにして、アウトドアのまま試合を行い、この大会が誰にとっても同じ状況になるようにしたいと考えている。」とスミス会長は自身の思いを述べていた。
もし屋根が閉じる前にコートが濡れてしまったら、30分の中断を考えていると語るのは会長であるビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターのD・ゾウズナー運営委員長。雨が降る前に屋根を閉じる場合は、屋根の移動に15分程度の中断となる。屋根に設置されている2枚の移動パネルは、閉まるまで約7分かかるとされている。
屋根の構造は、スタジアムにいる多くの観客へ観戦しやすいように影を与える仕組みにもなっている。さらに、観客への影の構造は他にも考えられている。
古くからあるものの反対側に作られる新しいグランドスタンドは6,000人の席を8,000人へ増設し、その観客席上にも張り出した屋根を設置したり、コートの周りの歩道にも日除け用に植樹を行っている。
会場で3番目に大きい古いグランドスタンドは今年は使用されず、大会が終わってから解体される予定となっている。2番目に大きいルイ・アームストロング・スタジアムもその時同時に取り壊す。
10,000万人の客席から14,000人へと増設した新しいルイ・アームストロング・スタジアムは2018年に完成が予定されている。2017年大会では、8,500人収容の臨時スタジアムが古いグランドスタンドに隣接している駐車場に建てられることになっている。
古いグランドスタンドの解体で、観客へより多くのスペースを与えることが出来る。会場の南に新しいグランドスタンドを作ることでもより多くのスペースを提供できる予定となっている。10個のアウトドア・コートも解体され、場所を変えることで歩道が約3メートルから12メートルまで広げられ、同時にそこにフードコートも新設される。
(STATS - AP)
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