錦織圭(日本)の活躍を初期から追い続け、1973年から国内外のテニスの報道に携わるジャーナリスト・塚越亘氏による楽天ジャパン・オープン(日本/東京、ハード)の現地レポート。
>>楽天OP対戦表<<全米でまさかの1回戦敗退。
デ杯コロンビア戦で「良いプレーができて、いい感覚がつかめた。」と復調の感覚を強調したが、期待の大きい日本での試合。果たしてどんな試合になるのか?と心配しながら観戦する。
その心配通りの展開が始まる。
凄い打ち合いになり、錦織は攻めるがミスが重なる。
いきなりオープニングゲームで僅か1ポイントしか取れずに落とすと、第3ゲームも1ポイントキープできただけで、また落とした。
0-4になってしまった時は場内からため息が!
2-6で第1セットを落とす。
対戦相手も悪い、勢いのある18歳だ!
昨年はナダルに勝ち、今年はマレーも破っている。
第2セット
「第1セットは125パーセントのテニスができた。」とチョリッチが言うように錦織の全ての攻撃を拾い返し、逆にウィナーを取る。
「第1セットは焦りが出た。相手のディフェンスも良く、自分のボールも浅かった」と錦織。
普通の選手なら、自分を立て直す事ができずに終わるパターンだが、ここで終わらないところが錦織の強さ。
それではどんなことをしてここを立て直すことができたのだろうか?
「自分のミスで終わらないようにした。」と錦織。簡単明確な答えだが、これが才能豊か、攻撃につぐ攻撃をしかけてくる怖いもの知らずの18歳の対戦相手にもできるのが錦織だ。
レベルの高い正確で緻密な技術がある。ワールドカップラグビーで見せた日本の高い戦略と技術に似ていると思う。
ベースライン内側に入って打つ深いボール。
コートを広く使うためのショートクロスのショット。
正確なファースト・サーブ。
全てのボールを拾い返そうとベースラインから下が気味のチョリッチを高い打点と角度で錦織は揺さぶる。
ハイペースだったチョリッチもほころびがでてきた。
第2、第6ゲームのサーブをブレークし、錦織が第2セットを取り返す。
ラケットをクルクルと回す。西部劇でピストルを回し、消炎を吹き消すヒーローのような姿。
カッコ良~ぃ!
ファイナル・セット
最初のゲームをブレークする。
第2ゲーム、15-40からナイスキープ!
第7ゲームはドロップ・ショットを決めブレーク、5-2。
Tへサービス・エースで40-15とマッチポイント!
「1回戦なので、それほど大げさに喜ぶことでもない・・・・・」
クールな会見で錦織は締めくくった。
それもそうだろ。
楽天ジャパンオープンは通過点。
最終戦のランキング上位8名が出場できるATPツアーファイナル(ロンドン)出場のステップだから。
錦織はこの後、上海マスターズ、パリマスターズと出場する。
塚越亘…ジャーナリスト。1973年から雑誌などに寄稿。90年代には「TENNISJapan」というFAX新聞を発行し、試合結果速報や
松岡修造(日本)、
クルム伊達公子(日本)らの直筆コメントなどを掲載した新聞を発行。テニスの報道における草分け的存在。
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