女子テニス世界ランク3位の
M・シャラポワ(ロシア)は、元世界ランク1位の
J・コナーズ(アメリカ)をコーチとして招いて先週行なわれたW&Sオープン女子に第3シードで出場するも、その初戦で
S・スティーブンス(アメリカ)に敗退。そしてコナーズとのコーチとしての関係にも終止符を打つ事を明らかにした。
シャラポワにとって、2004年に自身初となるグランドスラム優勝を飾った思い出の大会であるウィンブルドン。しかし今年はその2回戦で予選勝者の
M・ラルシェル・デ・ブリート(ポルトガル)にまさかの敗戦を喫し、その後は左臀部の怪我の治療のため休養を取ってからW&Sオープン女子に臨んでいた。同時にトライアル・ベースながらコナーズをコーチとしてチームに招いた事でも話題になっていた。
シャラポワはウィンブルドン敗退直後に、それまで2年半コーチとして契約していたトーマス・ホグステッド氏との関係に終止符を打っていた。シャラポワは2007年の12月に短期間だけコナーズから指導を受けていた経験があり、その後に出場した2008年の全豪オープンでは見事な優勝を飾っていた。
「自分のテニス人生で、今の時期にはしっくりと来なかった。」とシャラポワはコナーズとの関係を終わらせた事をメールで伝えていた。
シャラポワは全仏オープンの決勝戦で現在世界ランク1位の
S・ウィリアムズ(アメリカ)に敗退して以来、ここまでわずか3試合しか公式戦を行なっておらず、今週行なわれているニューへイブン・オープンに大会側から主催者推薦を与えられていたもののそれを受け取らず、早めにニューヨーク入りして全米オープンへ向けての調整を選択している。
「全米オープンでは多くの試合をするつもりでいるの。だからその直前に体を酷使したくなかったし、最高の試合をするつもりでいるのなら直前の大会への出場は避けたかった。それに今までも、そんな事はしたことがなかったし、どうして今から試合へ臨まなければならないの?」とシャラポワは、今季最後のグランドスラムの全米オープンへ向けて万全の調整をする選択をしていた。
そして先週の敗戦後にコナーズとのコーチとしての関係を継続しない事を決めていた。
「彼(コナーズ)からのサポートを受けられた事は最高の経験だった。彼の経験や彼自身と共に過ごした時間はとてもエンジョイできたし、ある特定の状況の対処の仕方も学ぶ事も出来た。彼は一緒にいてくれたし、良くやってくれたわ。彼と時間を過ごせた事は素晴らしい事だった。」と、コナーズへの感謝の気持ちを語っていた。
しかし「でも一度コートに立って、ファイナルセットで5-5とか6-6とかになると、頭の中は自分と対戦相手の事だけになってしまう。正直、自分の周りやコーチ、観客の事は頭から消えてしまうの。だって試合に集中しているから。コートに立った時には、常にそう言う自分でいたいと願っているし、それを信じて他の事は本当に考えないでいたいの。」と、実戦での自身の正直な気持ちを加えていた。
シャラポワは幼少の頃から実の父親であるユーリ・シャラポワ氏がテニスを指導していた。そしてそのユーリ氏は若かりし頃からコナーズから多大な影響を受けていたと言う。そして今回の決断については、シャラポワはユーリ氏に頼んでコナーズへ電話をするようにお願いしていた。
来週から開幕する全米オープンにシャラポワは、新しいコーチを雇って臨むかはまだはっきりとは明かされていない。先週の敗退後は現在拠点を置いているフロリダへ戻った彼女は、ユーリ氏が付いて練習とトレーニングを行なっていた。しかし2008年の10月に右肩の手術を受けてからユーリ氏はシャラポワのツアーに帯同する事はないため、全米オープンに現れる可能性は少ないとの見方が有力とされる。
他の可能性としては、現在交際を続けている
G・ディミトロフ(ブルガリア)が練習拠点にしているスウェーデンのグッド・トゥ・グレート・テニス・アカデミーからコーチを雇うかもとも憶測も飛んでいる。グッド・トゥ・グレート・テニス・アカデミーは元男子プロのM・ノーマンとM・ティルストロムによって開設されたアカデミーとして知られている。
先週のシャラポワを見た専門家達からは、また肩に問題を抱えているかも知れないと言う声も聞かれているシャラポワ。全米オープンでスランプからの脱出にチャレンジする。
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