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テニスのグランドスラムであるUSオープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード)は大会14日目の13日、女子シングルス決勝が行なわれ、主催者推薦で出場のK・クレイステルス(ベルギー)が、第9シードのC・ウォズニアキ(デンマーク)を7-5, 6-3のストレートで下し、見事タイトルを獲得した。
2007年にツアーから引退し、今年の夏に2年ぶりとなる復帰を果たしていたクレイステルスは、今大会で初めてとなるノーシードからの優勝を達成しただけでなく、1980年以来となる母親としてのグランドスラムタイトル獲得となった。
チャンピオンシップ・ポイントでグラウンドスマッシュを決めた瞬間、クレイステルスはその場に崩れ落ち、優勝の喜びをかみ締めていた。その顔には喜びの涙と、少しばかりの衝撃が映し出されていた。彼女の生後18ヶ月になる長女ジェイダちゃんは、おしゃぶりとともに試合を見守っており、試合後のフォトセッションの最中にはコートに降り立ち、母親と一緒にトロフィーを掲げた。
チャンピオンスピーチでクレイステルスは「本当にこれは計画にありませんでした。私はただ3大会に出場して、テニスをプレーする生活リズムに戻り、その環境に慣れたかっただけです。」と、驚きと共に喜びを述べた。
優勝までの道のりで、V・ウィリアムズ(アメリカ)とS・ウィリアムズ(アメリカ)の両方を破り、10代のシード選手2名を破っているクレイステルスは、ウィリアムズ姉妹が得意とするパワーテニスと、ウォズニアキが得意とする我慢比べのような試合の両方に適応し、いずれも打ち破った。
第1セットでウォズニアキに先にブレークを許したクレイステルスは、ゲームカウント2-4と劣勢に立たされるも、すぐさまブレークバックに成功すると、その後もウォズニアキに先行されては追いつくという展開となる。ゲームカウント5-5で迎えた第11ゲーム、クレイステルスがこのセット4度目のブレークに成功し、この試合始めてのリードを奪うと、続く自らのサービスゲームをキープして第1セットを56分で先取する。
第1セットを先取して勢いに乗るクレイステルスは、第2セットだけで20本のウィナーを決めるなど、ウォズニアキに1本のブレークチャンスすら与えず、2005年以来2度目のグランドスラム優勝を成し遂げた。
ツアー復帰後、今大会出場前までに2大会しか出場していないクレイステルスは、ランキングリストに載るために十分な大会数をこなしておらず、今大会には異例の「ランキングなし」の状態で出場していた。しかし、今回の優勝で最新のランキングでは20位台になることが決定的になった。
いきなりトップ選手としてツアーに復帰したクレイステルスだが、しばらくはランキングについて忘れることができそうだ。「母親になることは、世界で最も素晴らしい感覚です。今後数週間、彼女と家で過ごす時間が待ち遠しいです。」
一方、現在女子ツアー最多勝を挙げているウォズニアキは、デンマーク人女子選手として初めてのグランドスラム決勝進出を果たしたが、この2週間は彼女にとって大きな経験となり、決勝では敗れたものの、その表情には満足そうな笑みがあった。
2年以上もブランクがあり母親でもあるクレイステルスが、今大会で5人ものトップ20選手を破りタイトルを獲得したことにより、現在の女子テニスツアーのレベルについて議論が巻き起こるかもしれない。また最近では、2008年に現役女王のまま引退したJ・エナン(ベルギー)が復帰する話まで浮上している。
しかし、クレイステルスが今大会で初優勝を飾り、ファミリーボックスへ駆け上ったのはわずかに4年前のこと。
優勝スピーチで愛娘の方に目をやり「今日は彼女の就寝時間を少し遅くしました。だから彼女もここにいることが出来ます。」と語ったクレイステルス。その表情は、すでにテニスプレイヤーから母親へと変わっていた。
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