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フォアハンド編

Vol.5 自分だけの武器を作ろう! フォアハンド編

総論 自分の得意分野を生かしながら、武器を育てていこう

どんなレベルの人でも、自分なりの武器があるということは、大きなアドバンテージとなる。

たとえ現時点で、これが自分の武器だと言えるものがない人でも、何かしら得意な部分はあるはずだ。

今回の特集では、そうした得意分野を生かして、いかに自分なりの武器を作っていけば良いのか、じっくり考えていこう。
アマチュアにとっての「武器」とは、プロのような豪快なハードヒットである必要はない。いくら速いボールが打てたとしても、ミスが多ければ試合では使えないし、無理矢理使ったとしても自滅を招くだけで、とても武器とは呼べないからだ。それよりも、単純に「動きが速い」とか、「粘りがある」といった特徴のほうが、よほど武器となる。

だから、アマチュアの試合(とくにシングルス)では、ミスの少ない人が優位になる。それも武器のひとつではあるが、それだけでは物足りないのも事実。やはり、攻撃の武器を身につけて、自分から試合を組み立てていく戦い方ができるようになるのが理想だ。

単純に速いボールが打てるというだけでは、それを「武器」と呼ぶことはできない。まず、それが高い確率で入らなければ意味はないし、その前後での速いボールを生かす組み立ても欠かすことができない。そうした条件が揃ってこそ、初めて「自分の武器」が完成したと言えるのだ。

現時点で何ができるかを冷静に把握しよう

ただし、理想を目指す場合でも、その過程では現実主義が大切になる。初めから理想ばかり追求するのではなく、現実に今の自分に何ができるのかを把握して、そこから少しずつ着実に積み上げていくことが大切だ。自分にはどんな長所があり、自分のテニスにはどんな特徴があるのか、それを正確に把握することによって、将来的にどんな武器を身につけることができるかもわかりやすくなる。

今回の特集では、まずそこから出発して、その後、自分の得意分野をどう発展させて武器を作っていけば良いかという部分について詳しく解説していきたい。

仕上げのパターンが欠かせない

自分の武器を作るためにもうひとつ重要なのは、武器を生かすための前後の技術を身につけなければいけないということだ。たとえば、いくらボレーが得意だとしても、ネットに出る形に持ちこめなければ意味がない。

また、フォアの強打が得意で、相手の返球を浅くさせることができたとしても、そこから前に出て決める形を持っていなければ、攻めきることはできない。攻撃的な武器を生かすためには、ポイントを決める仕上げのパターンを作ることが欠かせないのだ。
A.ロディックの高い打点からのハードヒット
近年のプロの世界での「武器」として代表的なのが、この高い打点でのハードヒットだ。ただし、アマチュアの場合、ここまで高い打点でフラット気味に叩けなくても十分に通用するので、もっと安全志向でかまわない。また、そこからさらに威力を増すことに力を注ぐよりも、その後の仕上げのショットを磨いたほうが実戦では有効だ。

スマッシュは武器ではない

その仕上げのパターンとして、最終的にかならず必要になるのがスマッシュだ。たとえば、得意なショットで相手を追いこむ→ネットに出る→相手はロブで逃げる-という場面でスマッシュをミスしてしまったら、それまでの努力が水の泡だ。また、スマッシュが苦手だからといってベースラインに戻ったら、そこで振り出しに戻ってしまう。

したがってプロの場合、スマッシュは当然打てるものであって、スマッシュが武器という人はいない。その前の段階で自分の武器を使い、スマッシュは仕上げのショットとして高い成功率で打たなければいけないのだ。だから、スマッシュの練習は、アマチュアよりもずっと数多く行なっている。
鈴木貴男のイージー・スマッシュ(倍速デジタル撮影)
このようにチャンスボールを確実に決められるスマッシュの技術を持っていなければ、せっかくの武器を生かしきることはできない。つまりスマッシュは、攻撃的なテニスをするためには、身につけておかなければいけない必修科目であり、リスクを負って勝負する(一か八かで打つ)ようなショットではないのだ。

「ハードヒッターを目指そう①」>>

(テニスジャーナル 2003年11月号)
© SKI Journal Publisher Inc.

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