今回ご紹介するのは、
ポン・シュアイ(彭帥)選手です。笑顔がキュートな19歳は、両手打ちから繰り出されるハードヒットを武器に大躍進中で、今年の年末ランキングでも
杉山愛、
S・ミルザに次いで、アジア3位に位置し、今季急成長を遂げた注目株の一人です。現在、中国は2008年の北京オリンピックに向けて国家プロジェクトを組んでテニスを強化しており、そのメンバーの一員として成長を遂げてきたポンの今年の活躍を中心にご紹介します。
警官である父親のポン・ジジュン、母親のピン・チャンのもと中国・湖南省で生まれたポンは、親族で唯一テニスをしていた叔父にテニスコートに連れて行かれたことがキッカケで、8歳からテニスを始めました。現在はアメリカ・フロリダ州にあるインターナショナル・テニス・アカデミーを拠点にトレーニングを積んでいます。
ジュニア時代の最高ランキングは35位で、グレード1大会でのベスト8が最高成績の選手でした。ITFツアーデビューは2000年の南京で、翌年の上海でWTAツアーにデビューを飾りました。ツアー初制覇は包頭(パオトウ)のサーキット大会で、同年、天津の大会で2度目の優勝。2002年にはランキングを512位から358位まで上昇させ、2003年にはサーキット大会で2タイトルをものにしました。2004年はシンシナティと広州のWTAツアー2大会でベスト8入りを果たし、年間ランキングも73位となり、初めてトップ100以内で1年を終えました。
今季、最高で31位までランキングを上げたポンの快進撃は、1月のシドニーから始まります。ティア2のメディバンク国際で予選を勝ち抜き本選に出場、2回戦で第2シードの
A・ミスキナを破り、準々決勝では第5シードの
N・ペトロワが棄権し、初のツアー準決勝進出。惜しくも
A・モリックに敗れ、決勝進出こそなりませんでしたが、ランキングを30位近くもアップさせ、自己ベストの48位としました。続く全豪オープンでは初出場ながら2回戦に進んでいます。今年はウィンブルドンこそ中国の国体と重なったために欠場しましたが、その他の四大大会でもデビューを飾り、全仏オープンでは2回戦で、
L・ダベンポートを相手に後2ポイントで勝利というところまで追い詰めています。
自慢の強打が爆発したのが8月のアキュラ・クラシックで、トップ10選手2人を含むシード選手3人を撃破、ベスト4進出を成し遂げました。そのうち準々決勝では26連勝中だった
K・クレイステルスをストレートで破る殊勲をあげ、「私が対戦してきた中で最高の選手の一人。将来トップ3に入る可能性がある。」と言わしめました。そして、この翌週のランキングで32位となり、それまでN・リーが持っていた33位という記録を抜いて、歴代の中国女子選手の中で最高ランキングとなったのでした。初出場のUSオープンでは初戦敗退に終わりますが、その後の北京、広州では2大会連続でベスト8まで勝ち上がり、獲得賞金も24万3,004ドルと自己最高を更新しています。
そんな伸び盛りのポンが尊敬する選手は
S・グラーフと
J・マッケンロー。また、自分自身を大人しい性格だと思っている彼女ですが、試合中は強気そのもので、「例えグランドスラムで上位進出していようとも、コートに入ればそんなこと関係なく戦うだけ。」と頼もしいコメントをしています。来年は、中国女子勢初のトップ20、そしてトップ10入りに期待がかかります。