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ロシア勢を次々破っている中国のポン |
画像提供:Getty/AFLO |
(アメリカ、カリフォルニア州カールスバッド)
ロシア勢の台頭に続くのは、中国勢か。
USオープン前哨戦のアキュラ・クラシック(賞金総額130万ドル、ティアI、ハードコート)は火曜日2回戦が行われ、世界ランキング46位S・ポン(中国)(彭帥)が第3シードのE・デメンティエワ(ロシア)を7-5, 6-4のストレートで下す大金星を挙げ3回戦に進出した。ポンは左右両手打ちから繰り出す力強いストロークで、2004年の全仏・全米準優勝のデメンティエワを圧倒し、今季の戦績を17勝10敗とした。
試合後ポンは、「デメンティエワは世界ランク6位で、2度もグランドスラムで決勝に進んでいるけれど、一旦コートに立ったらそんなことは一切考えないわ。ただ1ポイント1ポイントに集中し、攻撃していくことだけを心がけたの。今日は勝ててうれしいけど、まだまだ改良点もたくさんあるわ。」と語った。
19歳のポンは、年初に行われたシドニーの大会では元全仏オープン覇者のA・ミスキナ(ロシア)を倒し、全仏オープンでは女王L・ダベンポート(アメリカ)相手に、あと2ポイントで勝利というところまで追い詰めるなど今季急成長を遂げている。
まさかの敗退を喫したデメンティエワは、「負けてしまって残念だわ。でもとてもいい経験になったわ。これがテニスっていうものね。いつも100%の力を出し切らないと、初戦であろうと今日のように負けてしまうの。最近は本当に選手層が厚くなって、レベルが高くなってきていると思うわ。」と肩を落とした。
またポンについては、「本当にすばらしい選手だと思うわ。若手の有望株で、安定したゲーム展開をしている。特にベースラインからのストロークが強力で、プレースタイルは非常に攻撃的。コートカバリングもいいし、とにかくレベルが高いわ。」と褒め称えた。また、ポンの他にも李娜(40位)、鄭潔(中国)(78位)、李婷(160位)など有望選手を抱える中国についてこう語った。「2008年の北京オリンピックを目指して、政府がしっかりと選手育成のサポートをしてきている。きっと多くの中国人選手が、これから世界のトップに台頭してくると思うわ。」
他方でデメンティエワはポンについてこう語っている。「今の彼女は板ばさみの状況にあると思う。国(中国政府)がどの大会でプレーすべきかを決めているみたいだから。私の場合は出場する大会も自由に選べるし、オリンピックには出ても出なくてもいい。政府の言うことに耳を貸さなくて良いわけ。そう考えると私は自由な分幸せね。」
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苦しみながらも勝利を収めたクズネツォワ |
画像提供:Getty/AFLO |
またこの日のナイトマッチで、昨年の全米オープン覇者S・クズネツォワ(ロシア)がウィンブルドン以来となる試合でK・クーカロバ(チェコ共和国)と対戦し、7-5, 6-3で復帰の狼煙を上げた。現在世界ランク4位のクズネツォワだが、試合後には厳しい戦いだったことを洩らしている。「今日の試合はきつかった。私のプレーがまるで出来ていなかったし、彼女(クーカロバ)の攻めに対して完全に受身になってしまった。何とか勝ったという感じね。」
クズネツォワは今大会第2シードだが、第1シードのL・ダベンポート(アメリカ)が腰痛で不参加となったため、実質的な第1シードとなっている。
ウィンブルドン以来となるツアー出場となったクズネツォワは、1ヶ月の休養が逆に裏目に出たようで、この日はクーカロバの攻めに終始苦しんだ。何とか逃げ切ったものの、相手のミスに助けられた面は否めない。「1ヶ月も試合から離れていれば、誰でも試合勘が鈍るわ。試合中は終始集中してはいたけれど、プレーに波があったわね。」と語ったクズネツォワは、3回戦で杉山 愛(日本)とD・ハンチュコバ(スロバキア)の勝者と対戦することになった。
その他1回戦の結果は次の通り。第10シードのN・デシー(フランス)は、K・ブランディ(プエルトリコ)に6-2, 6-2で圧勝。F・スキアボーネ(イタリア)はA・スピアズ(アメリカ)に6-3, 6-2のストレート勝ち。J・ヤンコビッチ(セルビア・モンテネグロ)はベテランA・フレイジャー(アメリカ)に7-5, 6-0でストレート勝ち。杉山愛は第1セット3-0とリードした場面で、対戦相手のM・ショーネシー(アメリカ)が棄権したため勝利。また新鋭S・ミルザ(インド)はT・ガルビン(イタリア)を6-2, 6-2で圧倒している。