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名門 松商学園に新たな風、豪に遠征

松商学園
中島杏子さん
画像提供: tennis365.net
高校テニスの日本一の座を争う大会、大正製薬リポビタン 第48回全国選抜高校テニス大会(福岡県、博多の森テニス競技場、オクゼン不動産テニスコート、砂入り人工芝、以下:選抜)は団体戦が21日から25日、個人戦が22日から26日にかけて行われた。今回は男女ともに団体戦出場を果たした長野県の松商学園高等学校(以下:松商学園)を取材した。

>>第48回全国選抜高校テニス大会 男女団体戦・組合せ<<

松商学園が選抜に出場するのは男子が2年連続32度目、女子は32年連続34度目。今大会では男子がベスト16、女子がベスト8入りを果たした。

松商学園は昨年末から今年の年始にかけて11日間に及ぶオーストラリア遠征を実施。これは松商学園の女子部監督である山田哲生さんが以前指導していた京都両洋高等学校で始めたもので、松商学園では今回が初の試みとなった。

山田さんはオーストラリア遠征を始めたきっかけについて話した。

「海外に行ったことがないという生徒たちに海外のテニスを経験させてあげたいっていうのが初めのきっかけでした。実際に行ってみると、指導方法や考え方が今まで日本でやってきたものと全然違うということを学びました。それがきっかけで、オーストラリアに魅了され、毎年行くようになりました」

「しかし、オーストラリアでやっていたやり方をチームに取り入れても、全くうまくいきませんでした。試行錯誤の末、全部を取り入れるのではなく、日本人に合った融合したやり方を見つけてから、テニスの成績がどんどん上がっていきました」

「松商学園にきて6年目が終わりますが、赴任した当初もオーストラリア遠征を計画はしていました。しかし、コロナで行くことかできず、ようやく今回実現しました」

山田さんは今回のオーストラリア遠征での狙いも説明した。

「オーストラリアでは、いかに自分で考えることができるプレーヤーになれるかが大切、ということを学びました。松商学園においても自分で考える力を育ませたい、生徒が主体的に練習できる環境を作りたいというのがありました。オーストラリア遠征では自炊も行い、生徒が自分のことは自分でできるように指導しました」

現地ではビンス バークレー テニスアカデミーと提携し、生徒は海外の選手と試合を重ねた。アカデミーでは四大大会で単複合わせて16度の優勝を誇り、I・レンドル(アメリカ)、P・ラフター(オーストラリア)、L・ヒューイット(オーストラリア)、R・フェデラー(スイス)のコーチとしても活躍したT・ローチ(オーストラリア)の指導を受ける機会にも恵まれた。

今回の遠征について女子部でキャプテンを務める高校2年生の中島杏子さんと、高校1年生でチーフを務める田中柚葉さんに話を聞いた。

中島さんは海外選手との対戦で学んだことがあるという。

「日本人と試合するのとはやっぱり違って、いろいろなボールとか、戦略を持ってくる人たちに対して普段やっているプレーだけじゃなくて、工夫したプレーとか、それに合わせたプレーを考えるようになったので、とてもいい経験になりました」

また、今回のオーストラリア遠征に向けて、日本での練習からコート上での会話は全て英語にするという取り組みも行った。

田中さんは「普段は英語を使うことはないんですけど、この遠征をきっかけに勉強を始めました。話していく中で正しい発音を覚えたりできたので、英語の面でも勉強になりました」と語った。

中島さんも英語がわかれば世界が広がることを学んだ。

「試合が終わった後とか、オーストラリアの方はコミュニケーションを取りに来てくれます。会話している中でわからない言葉があっても、自分から積極的に話そうとすることで、相手ももっと話しかけてくれるようになりました。もっと英語を知っていれば、もっと会話できたなと思いました」

オーストラリア遠征を経てチーム力が上がったと2人は口にした。

田中さん「人それぞれ考え方は違うので、自分に合った考えはどれかをしっかり考えて、自分が思っていることをどんどんみんなに伝えていくようになり、チーム力が上がったなと思います」

中島さん「初めての海外の人も多くて、自分たちにとっていつもと違う環境でやる中で困難なこととかがあったときに、1人1人が協力して、こうしたらいいとか、もっとこうした方がいい経験できるとか考えられるようになりました。そういう部分でチーム力が上がったと思います」

今回の選抜で団体戦と個人戦両方に出場した中島さんは試合中にも「現地の指導者の方から教わったポジティブな考え方とかは、試合中に自分がうまくいかないときに思い出すようにしています。今回の大会ではそういう日本で教わることとはまた違った考え方を出せました」と変化を感じていた。

山田さんも松商学園での初のオーストラリア遠征を経て、生徒の成長を実感している。

「団体戦に向けて、1人1人の考える力のレベルが上がって、チームが1つになりました。考える力が育ち、誰かに言われなくても動く、チームに何が貢献できるか自分で考えて動く。そういう動きができたというのも、今回成績を残せた要因の1つだと思っています」

山田さんはこの取り組みを知ってもらうことで、松商学園の生徒のみならず、他校の生徒も含め海外にも選択肢があることを知ってもらいたいという。

「海外に行くことをハードルが高いと思っている人はやっぱり多いと思います。でも意外と今の時代できる、というのをみんなに知ってもらいたいです。もっと海外にも進出していいと思います。高校テニスの進路先も、日本の大学が定番になっていますが、日本に限らず海外に行くのもありです。自分なんてっていう思い込みを持たないでほしいなと感じています」

山田さんのもとオーストラリア遠征を経て成長を遂げた松商学園。キャプテンの中島さんはチームの目標に「2年生にとっては最後の団体戦となる次のインターハイで日本一になること」を掲げる。

山田さんも生徒の成長に期待を寄せる。

「部活を通して人間性を高めていく。その結果テニスのレベルも上がって、笑顔で最後の試合を迎えてもらいたいと思っています。中島キャプテン中心にさらに考える力を育んで、団結して優勝を狙ってもらいたいです」

何度も全国の場に立ってきた名門の松商学園に今、新たな風が吹いている。


(左から)山田哲生さん、田中柚葉さん、中島杏子さん


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