テニスの全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー、グランドスラム)は大会14日目の4日、女子シングルス決勝戦が行われ、第4シードの
G・ムグルサ(スペイン)が前年度チャンピオンで第1シードの
S・ウィリアムズ(アメリカ)を7-5, 6-4のストレートで下し、グランドスラム初優勝を飾った。
>>全仏オープン 女子対戦表<<国籍はスペインだがベネズエラで生まれたムグルサは「スペインの国旗の元でプレーしてはいるけど、ベネズエラはいつも心の中にある。ベネズエラからも多くの応援をもらっている。」と、ベネズエラへの想いを語り「スペインだけではなく、2つの国のために戦っている。」と加えていた。
22歳のムグルサは、ベネズエラ出身の母とスペイン出身の父の元、ベネズエラのカラカスで生まれた。家族は彼女が小さい頃にスペインへ移住していた。
ムグルサはこの日のS・ウィリアムズからの勝利を「ベネズエラにとっても最高の勝利」と表し「テニスはもちろん、スポーツ全般がもっともっとベネズエラでも行われるべきだと思っている。もっも多くの子供達がテニスをしてほしい。」と、自身の想いを述べていた。
現在ムグルサを指導しているコーチのS・スミクは、以前
V・アザレンカ(ベラルーシ)を指導し、2012年と2013年の全豪オープンの優勝と世界ランク1位へと導いた名コーチ。彼はムグルサの優勝を祝うために赤のボルドー・ワインを2年ぶりに口にすると語った。
「彼女(ムグルサ)は、本当に信じていた。この24時間、我々は優勝出来ると信じ続けていた。ここまでの2週間、ミスも少なく安定したプレーをしてきていた。それが自信に繋がった。どの試合に対しても、ちゃんとした準備をして臨んでいた。そして今日は、大きな大きな勝利を手にした。しっかり言うことを聞いてくれた彼女は、勝利に値する。」とムグルサとの良好な関係を示していた。
そして「彼女は心の中でちょっとパニックになっていたと思う。メラメラと炎が燃えたぎっていたに違いない。でもその感情も、そんな感情が沸いてくる場面も上手く対処していた。それをコーチとして見ていて、本当に素晴らしいと思えた。」とムグルサを称賛していた。
この日の勝利は、実はムグルサが全仏オープンで記録したセリーナからの2度目の勝利だった。2014年の同大会2回戦でも対戦していた両者。その時もムグルサは、前年度チャンピオンだったセリーナを6-2, 6-2のストレートで下す金星を飾っていた。
これでグランドスラム3大会連続で、女子シングルスで新しいチャンピオンが誕生したことになった。昨年の全米オープンでは
F・ペネッタ(イタリア)が、今年の全豪オープンは
A・ケルバー(ドイツ)が優勝を飾り、そしてこの全仏オープンではムグルサが初優勝を飾った。
ムグルサはこの決勝戦前に、長年セリーナが女子テニス界を支配していたが、テニスファンは新しい女王の誕生への準備は出来ていると語っていた。
ムグルサは握った5度目のマッチポイントで放ったロブが、セリーナの頭上を抜くとベースライン上に落ちた瞬間に勝利が決まった。ムグルサは両手で顔を覆うと赤土に倒れ込み、スタンドで観戦していたコーチのスミクは両手を突き上げ喜びを表した。
ムグルサはそのロブを生涯忘れることはないだろう。
試合直後に現れた
M・バルトリ(フランス)のオンコート・インタビューに答えたムグルサは「この日がどんな意味があるかを表す言葉が見つからない。スペインにとっても自分自身にとっても、ただただ驚きでしかない。」と喜びを表していた。
セリーナを下したことに対しては「本当に興奮している。必死で戦おうとしただけ。完璧な決勝戦だった。」と試合を振り返っていた。
グランドスラムの決勝戦で両者が対戦するのは今回が2度目だった。昨年のウィンブルドンの決勝戦でも対戦していた両者だったが、その時はセリーナが勝利を飾っていたが、今回はそのリベンジを果たしたムグルサが、グランドスラムで初めてタイトルを獲得した。
(STATS - AP)
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