男子テニスで世界ランク5位の
R・ナダル(スペイン)は25日、ドーピングの疑いをかける発言をしたフランスの健康・スポーツ省の元大臣へ訴訟を起こし、国際テニス連盟(ITF)の会長にこれまでナダルが受けた検査の結果全てを公にしてほしいと要望を出した。
グランドスラム14度の優勝を誇るナダルは「このテニス界で、もはや証拠を持って発言したり批難したりすることは、自由に出来なくなってしまった。」とメディアに対して手紙を送った。
ナダルの手紙は25日にITFのD・ハガーティ会長に送られており、その日はナダルがかつてドーピング検査で陽性反応が出ていたと発言をしたフランスの元大臣を訴えた日でもあった。
「大会中でもプライベートでも、何度検査を受けたかは自分自身が1番分かっている。自分の全ての結果、自分の生体パスポートや、反ドーピングの指導やテストの過去の履歴全てを公にしてほしい。」とナダルはその手紙で綴っていた。
ITFはナダルからの手紙を受け取ったことを確認し、それにはテニス反ドーピング・プログラム(TADP)の管轄の元で受けた検査結果公表のリクエストも含まれている。
「TADPの元で行われた検査で、ナダル氏に陽性反応が出たことは1度もなく、ドーピング違反やTADPが定めるいかなる理由で出場停止処分になったことはないと確認している。」とITFは声明を出した。
他の選手達と同じように、ITFはナダルも世界反ドーピング機構のデータベースにアクセスし「いつでも入手することが出来る。」とも語っていた。
「そこから得られた情報の正確性は、ITFによって立証されているはずである。」とITFは加えた。
今回ナダルが手紙を書いたのは、フランスの健康・スポーツ省のR・バシェロ元大臣からの侮辱的な発言があったからだとしている。元大臣は先月出演したフランスのテレビ番組で、2012年にナダルが怪我によって約7カ月のツアー離脱したのは「恐らくドーピング陽性反応が出たからだ。」と語っていた。
24日に行われたバルセロナ・オープン決勝戦で49度目のクレーコート大会での優勝を飾り、来月の全仏オープンでは前人未到の大会10度目のタイトル獲得を狙うナダルは25日、バシェロ元大臣を名誉毀損としてパリの裁判所へ提訴していた。
「何の証拠や根拠もなしに、スポーツにある程度の知識がある人物が公の場であのような発言をすることは全くアンフェアで受け入れがたいこと。」とナダルの手紙の中に書かれている。
ナダルは、あるメディアやファン、そしてスポンサーがテニスの反ドーピング・プログラムを信用していないとも述べていた。
「彼等はスポーツを信用していない。スポーツ関連機関が事実を隠し、何もしないと思っている。スポーツと、その関連機関が世界と良いコミュニケーションをとるためのステップアップが必要。」
そしてナダルは、反ドーピングに対する想いを共有することを避けようとしたことは1度もないと語った。
「我々はドーピングに対して戦い続ける必要があるし、その戦いも出来ればより強く、より良くする必要があると信じている。選手としては、アマチュアからプロに至るまで、このスポーツがクリーンなものであるということを確かにしなければならない。」とナダルの手紙に書かれている。
このナダルの手紙は、
M・シャラポワ(ロシア)が告白し世界に衝撃を与えたドーピング違反にテニスが直面しているのと時を同じくして公になった。
シャラポワは1月に行われた全豪オープン期間中に受けたドーピング検査で、今年から新たに禁止薬物に指定されたメルドニウムの陽性反応が出たために、現在は一時的に公式戦への出場を禁止となった。シャラポワの正式な処分は、ITFが開く次の懲戒委員会によって決まる。
(STATS - AP)
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