女子テニスで世界ランク7位の
M・シャラポワ(ロシア)は7日に記者会見を開き、全豪オープン期間中に受けた検査で禁止薬物の陽性反応が出たことを明らかにした。これに伴い、これまで契約を交わしていた大型スポンサー3社が、今後の契約を停止すると発表した。
スポーツ用品のメジャー企業であるナイキ、世界に誇るスイスの時計メーカーであるタグホイヤー、ドイツの高級車のメーカーであるポルシェの3社は、ロサンゼルスで開かれた会見の発表後に、5度のグランドスラム覇者であるシャラポワと距離を置く決断を下した。
「我々はマリア・シャラポワのニュースを受けて、悲しむと共に驚きを隠せずにいる。調査が行われている間は、マリアとの関係を停止する決断を下した。今後も状況を検証していこうと考えている。」とナイキ。
タグホイヤーに関しては、締結している契約の更新はしないとしている。2015年をもって契約は終了しており、今後はどのように関係を続けるかの話し合いをしている段階だった。
「現在の状況を見る限り、我々スイスの時計ブランドは交渉をとりやめることにした。そして、シャラポワとの契約の更新を見送る決断を下した。」とする声明をタグホイヤーは出している。
8日にポルシェは「シャラポワと予定していたイベントなどは延期する方法を選択する。」とした声明を発表しており、それは「更なる詳細が明らかになるまでで、その後我々で状況を分析する。」としている。
シャラポワは1月に行われた全豪オープン期間中の検査で、あまり知られていないメルドニウムという禁止薬物の陽性反応が出ていた。そのメルドニウムは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が今年から禁止薬物に新たに指定したものだった。
今回のケースは全て自身に責任があると元世界ランク1位のシャラポワは語り、国際テニス連盟(ITF)から長期に渡る出場停止処分が下される可能性があると語っていた。もしそうなると、今シーズンの活動はもちろん、リオ・オリンピックへロシア代表としての出場の可能性も絶たれることになる。
「今回の結果で、処分が下されるのは分かっている。」とシャラポワ。
「こんな形でテニス人生は終わりにしたくはない。また、このテニスというスポーツで試合に出場するチャンスを与えられたらと切に願っている。」と引退への気持ちはないことを明かした。
28歳のシャラポワは、血液循環作用があるメルドニウムを色々な健康面での問題のために10年ほと前から継続的に服用していたことも明かしている。
メルドニウムは酸素吸収を高め、効果を持続される作用があるために禁止薬物に今年から指定された。世界のスポーツ界でも何人かのアスリートが、今年に入ってからこのメルドニウムの陽性反応が出ている。
昨年の12月に、WADAからシャラポワをはじめ、全ての選手に新しい禁止薬物に関する変更事項は知らされていた。シャラポワは単にこの変更に関してリストが掲載されているページをクリックせず、見逃してしまっていたと明かしている。
「自分自身はプロとして責任とプロフェッショナリズムを多大に負っている。私は大きなミスを犯してしまった。ファンを失望させ、4歳から始めてずっと愛し続けてプレーしてきたテニスを失望させてしまった。」とシャラポワ。
シャラポワは同世代の女性アスリートでトップクラスの1人で、これまで35度のシングルス優勝を誇り、生涯獲得賞金は3,600万ドル(40億7,000万円)にのぼる。これほどの活躍をするシャラポワは、商業的な価値も簡単に見出されている。
また、世界で最も収入の高い女性アスリートだと考えられている。それはスポンサー契約や、自身が展開しているキャンディーのシュガポワなどオフコートでのビジネスを含めたもので、フォーブス誌が算出したところによると2015年のシャラポワの年収は2,950ドル(約33億3,000万円)にものぼる。
「彼女(シャラポワ)は、1人だけで十分な価値があるマーケティング・マシン。」と語るのはイギリスに基盤を置いているスポンサーシップ・コンサルタントであるN・クリエ。
「世界では沢山の男性スター・アスリートがいるが、女性ではあまりみられない。」
クリエは同時に、シャラポワが自身の回りには大がかりなサポートチームのネットワークが存在しているにも関わらず、今回のような事態が発生したことを「全く信じられない。」とも語っていた。そして、これほど早くスポンサーが決断を下したことに対しても「驚き」だとしている。
「彼等(スポンサー各社)は自身のイメージに対して、そしてイメージを害することへの多少なりともリスクがあることへ偏執的になりすぎている。」と自身の見解を加えていた。
(STATS - AP)
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