テニスのウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)は7日、男子シングルスで第2シードの
R・ナダル(スペイン)が準決勝の
N・キリオス(オーストラリア)戦を棄権すると発表した。発表に際し行われた記者会見の全文を掲載する。
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T・フリッツ(アメリカ)戦でフルセットを戦った際、第2セット途中でメディカルタイムアウトを取得し治療を行っていた。その後の会見でも準決勝棄権を示唆するなど、出場可否が不透明になっていたが現地時間7日夜に会見を行い棄権を発表した。
以下ナダルの棄権表明会見
Q.「ラファ、何か伝えたいことがある?」
A.「みなさんこんばんは。残念ながら、僕がここにいるだけで想像できるように、僕はトーナメントを棄権しなければならない。昨日見たように、僕は腹部の痛みに悩まされている。昨日も言ったように、何かがおかしいと思っていたんだ。それは確かなこと。腹部の筋肉が切れている。そんな感じで、1日中決断を考えていたから連絡は遅くなった。でも、行く意味がないと思うんだ。これまで何度も非常に厳しい状況でも走り続けようと試みてきたけれど、今度ばかりは、走り続ければけががひどくなるのは目に見えている。それが、今言えること。とても残念なことだけど」
Q.「キリオスとの準決勝に勝てないと思っての決断なのか、それともプレーすることでけががさらに悪化することを心配しての決断なのでしょうか?」
A.「この状況で2試合勝つのは無理だと思うから決断したんだ。サーブができない。正しいスピードでサーブできないだけでなく、サーブを打つための通常の動作ができないんだ。自分が2試合に勝つことを想像して、自分への敬意を表して自分の目標を達成するために必要なレベルでプレーする競争力がなく、さらに事態を悪化させる可能性が高い状態で、試合に臨みたくないと言わざるをえないだろう」
「正直なところ、2週間ほど前までは足のケガのために自分のキャリアは非常に厳しいと見ていた。今、その状況は良くなっている。間違いなく良くなっていると思うことが、ある意味僕のテニスキャリアをストップさせる最も危険なことなんだ。いつも言っているように、僕にとって1番大切なのは、タイトルよりも『幸せなこと』」
「僕がここにいるためにどれだけ努力してきたか、みんなが知っているとしてもね。でも、試合のリスクを冒して2カ月も3カ月も競技から離れるわけにはいかないから。もしそうなったらそうなったで、僕が適切な方法でやっていなかったからではない。それは僕が決めたことであり、僕はそれに耐えなければならないんだ。もう何も言えない。とても悲しいし、とてもタフなことになってしまった」
A.「全豪オープン、全仏オープンと身体的な制約がある不思議な年でしたね。年間グランドスラムへの挑戦がこのような形で終わってしまったことは、あなたにとってどれほど悔しいことでしょうか?」
Q.「いや、年間グランドスラムのことは考えたこともないんだ。日々の幸せと、日々の仕事のことを考えていた。ただ、自分が本当に好きだと思うことのためにプレーする、そうじゃない?正直なところ、オーストラリアは問題ではなかった。大会中、多くの問題はなかった。でも、長い間のけがから復帰したんだ。ローラン・ギャロスは精神的にも肉体的にも非常に厳しいものだった。でも、その後状況は良くなってきている。さっきも言ったように、ローラン・ギャロスがどんなにタフだったとしても僕がここにいるという事実が、僕にとってこの大会がどれだけ重要で、どれだけここでプレーしたかったかを示しているんだ」
「ここでプレーするチャンスを得るために、可能な限りベストな方法をとった。準決勝に進出しているから、ここ2、3日はとてもいいプレーができている。特に昨日は試合の最初のほうでとても高いレベルでプレーしていた。あのレベルでプレーしていればおそらくチャンスはあると思っているから、少し残念だよ」
Q.「今、『プレーを続けると悪くなる』とおっしゃいましたね。テイラー・フリッツ戦の第2セットですでに問題が起きていました。お姉さんもお父さんも、辞めた方がいいんじゃないかと言っていたのに、あなたはプレーを続けました。それは正しい判断だったのでしょうか?」
A.「そうだね、正しい判断だと思う。試合に勝ったんだから。僕はその瞬間瞬間に感じたことをやっただけ。決断を下すときに、振り返って『ああするんじゃなかった、こうするんだった』というような選手ではないし、そういう人間でもない。もちろん、失敗から学ぶことはある。僕は、テニスのキャリアを通じてそうしてきた」
「失敗を繰り返さないように心がけているよ。その一方で、準々決勝の試合中にコートを離れることはしたくなかった。昨日も言ったように、最初の5、6ゲームの後、リタイアの可能性がずっと頭の中にあったとしても、僕は試合を終わらせる方法を見つけたんだ。それが僕のプライド。その上で、けがを確認し、自分の健康や将来のことを考え、決断するんだ」
Q.「けがをしたのはいつ頃でしょうか?回復にどれくらいかかるか、まだ分かっていないのでしょうか?」
A.「そうだね。1週間前から腹筋に問題があったけど、だいたいはコントロールできていた。でも、昨日は最悪の日だった。この1週間の間にどのように事態が進展するかを確認するためのテストを行ったんだ。数年前、いや、数日前にあった小さなことが、昨日の試合の後、より大きなことになったのは明らか。この種のけがでは通常、3から4週間はかかると思う。だから、この数週間でいつもの予定がこなせるようになればいいなと思っている。これがいま僕の頭の中にあるスケジュールなんだ」
「今はまだプレーを続けることはできないけど、1週間後にはベースラインからプレーできるようになる。もちろん、しばらくはサーブはしないけどね。ベースラインからプレーすることは、それほど大きなことではないはずだ。ベースラインからの練習ができるようになることはある意味、ポジティブなこと。そうすることで、自分のやりたいカレンダーを作ることができるんだ」
Q.「昨日、本当にひどかったのは悪化させたところでしょうか?痛みが蓄積してひどくなったのでしょうか?あるポイントに到達したとか、ハードにサービスしたとか、そういうことはありましたか?」
A.「明言するのは難しい。この腹部は最近感じたけど、いくつかの瞬間に悪化し、いくつかの瞬間は少し良い。そんな感じなんだ。しかし、昨日サービスを打っていたゲームで、異変を感じる瞬間と思う場面があった。それから、もし僕が間違っていなければ、その後サーブしたときに事態はより悪くなり始めたんだ。そこで、多少なりともサーブのスピードを落としたり、動きを変えたりする方法を見つけたんだ。そうすることでおそらくそれほどけがを増やすことなく、試合を終わらせることができた。でも、そうだね、僕はいつも1歩1歩考えていくタイプ。昨日は、さっきも言ったように試合を終わらせたかった。勝利で終わったけど、その後やるべきことをすべてやらなければならない。選択肢は常にあるけど、このケースでは、僕はけががあることを自覚しているし、このままいけばけがが悪化するのは目に見えている」
ナダルの棄権によって不戦勝となったキリオスは、四大大会初の決勝に進出。優勝をかけて第1シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)と第9シードの
C・ノリー(イギリス)のどちらかと対戦する。
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