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マレーが5度目の正直なるか 対戦相手は雨で決まらず◇全米オープン

テニスのグランドスラム、全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード)は大会13日目の8日、男子シングルス準決勝を行い、第3シードのA・マレー(英国)が第6シードのT・ベルディフ(チェコ共和国)を5-7, 6-2, 6-1, 7-6(9-7)で下し、見事、決勝に駒を進めた。

今年のロンドン五輪で金メダルを獲得しているマレーは、決勝戦で初のグランドスラムタイトルを狙う。優勝すればイギリス人選手として76年ぶりの偉業となる。76年前に優勝したのは服のブランドにもなっているフレッド・ペリー。

準決勝は時速32kmという強風の中で行われた。選手がコートチェンジをする際に使う椅子が風に舞い、帽子も飛ばされる始末だった。

しかしマレーは、第1セットを失った上に強風というコンディションにも関わらず冷静さを保ち、第2、3、4セットを連取すると、逆転で決勝進出を決めた。試合時間は3時間58分にも及んだ。

マレーはスライス、スピン、小技などをうまく使い、風にイライラするベルディフを翻弄した。

椅子が舞ったのは第2セットの最後のゲーム。石が坂を転がるかのように椅子が転がり、またラケットバッグや白いタオルも吹き飛ばされた。その際に主審はレットをコールし、ポイントはやり直しに。両選手は思わず微笑みを浮かべた。

試合後、マレーは「過酷な状況だったね。何と表現したらいいのか分からない。ただ1ポイント1ポイント集中するのみだったよ。間違いなくこれまでプレーした中で最も厳しいコンディションの試合の1つだね。」と絶句気味だった。

マレーは2008年の全米、2010、2011年の全豪、2012年のウィンブルドンで決勝に進んでいるものの、いずれも準優勝。四大大会の最初の4度の決勝進出で優勝できていないのは他にI・レンドル(アメリカ)のみで、偶然にもレンドルは現在、マレーのコーチを務めている。

一方、敗れたベルディフは、第1セットを先取したものの、強風もあってミスを連発、全体で64本もの凡ミスを犯し、ダブルフォルトも6本を数えた。マレーの凡ミスは20本にとどまった。

コート状況はひどく、風でレットでもないのにレットのシグナルである「ピー」という音がなり、ベルディフが主審のパスカル・マリア氏に詰め寄る場面もあった。また紙ナプキンやポリ袋などがコートに舞い、ボールキッズたちがそれらを懸命に集める姿も印象に残った。

勝ったマレーは、月曜日へと順延となった決勝戦で第2シードN・ジョコビッチ(セルビア)と第4シードD・フェレール(スペイン)戦の勝者と対戦する。両者の準決勝は、フェレールが第1セットを5-2とリードした時点で雨で延期となっている。

決勝についてマレーは「試合の結果がどうであれ、すばらしいシーズンとなっているよ。でも決勝戦では110%の力を出したいね。このような機会はなかなかないことは分かっているから、全力で戦うつもりさ。」と意気込みを話している。

「2008年に決勝に進んだときよりも成熟している。いろいろな場面で多くの経験を積んできた。2008年は四大大会初の決勝進出だったからね。」

今大会は2004年の全仏以来初めて、R・フェデラー(スイス)R・ナダル(スペイン)のどちらかが準決勝にいない大会となった。フェデラーはベルディフに準々決勝で敗れており、ナダルは左膝の故障で出場を取りやめている。

フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人は、過去の30の四大大会のうち29勝分を独占している。これは2005年の全仏以来の記録で、月曜日の決勝でマレーがここに切り込めるのか、注目が集まる。

(翻訳/森田系太郎)

(2012年9月9日14時05分)

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