15日まで行われたテニスのウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)は、
N・ジョコビッチ(セルビア)の完全復活を印象付ける優勝で幕を閉じた。
1年前のウィンブルドンで元世界ランク1位のジョコビッチは右肘の負傷で途中棄権を余儀なくされ、今年1月に復帰するも同箇所の痛みを抱えながら戦った。
しかし、復帰後はBNPパリバ・オープン(アメリカ/インディアンウェルズ、ハード、ATP1000)やマイアミ・オープン(アメリカ/マイアミ、ハード、ATP1000)などで早期敗退、全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー、グランドスラム)では準々決勝で当時世界ランク72位の
M・チェッキナート(イタリア)からチャンスを取りきれずに敗れた。
かつての力は影を潜め、絶対的な強さを誇ったジョコビッチの時代は終焉を迎えたかと思われた。
そのジョコビッチに勢いを与えたのが、前哨戦のフィーバー・ツリー・チャンピオンシップス(イギリス/ロンドン、芝、ATP500)だった。決勝で
M・チリッチ(クロアチア)に惜敗するも準優勝を飾り自信を得た。
迎えたウィンブルドン、センターコートで行われた
K・エドモンド(イギリス)との3回戦では完全アウェーの中で逆転勝ち。続く4回戦で若手のK・カチャノフに快勝すると、準々決勝では
錦織圭をセットカウント3-1で振り切った。
現在世界ランク1位の
R・ナダル(スペイン)との準決勝は死闘となった。その試合のファイナルセットでジョコビッチは何度もピンチを迎えるも、全盛期を彷彿とさせる戦いで2日がかりの激闘を6-4, 3-6, 7-6 (11-9), 3-6, 10-8のスコアで制した。
決勝戦は、準決勝で大会史上2番目に長い激闘を演じた
K・アンダーソン(南アフリカ)。第1・第2セットをあっさり先取したが、第3セットでは5本のセットポイントを握られた。だが、ジョコビッチは守りに入らず攻撃的なテニスで攻め、ポイントを取った時には陣営へキスをする仕草を見せた。
その後はタイブレークの末に優勝を決め、勝利の瞬間は膝から崩れ落ちた。さらに、ウィンブルドンで優勝した際に行う芝を食べるパフォーマンスも忘れなかった。
試合後の会見でジョコビッチは2015年以来3年ぶり4度目のウィンブルドン制覇に「とても長い道のりだった。どれほど辛抱しなければいけないか学んだ」と苦しみからの復活劇をかみしめていた。
決勝戦での投げキスは「そばにいて信じてくれた人たちへ感謝したい」とコメントするように、追い込まれた時にポイントを取ることができるのはチームなしでは有り得ないという意味も込められていたかもしれない。
大会後に発表された世界ランキングで約8カ月ぶりにトップ10へ返り咲いたジョコビッチは再び男子テニス界を変化させ、8月27日に開幕する全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)で優勝候補の1人になるのは間違いない。
「全米オープンはこれまでも成功をおさめた大会。去年はけがで出場できなかった。あの場所へ戻って最高のテニスをして、どんな結果がでるか楽しみにしている」
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