テニスのグランドスラムである全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード)は3日、男子シングルス準々決勝が行われ、第10シードの
錦織圭(日本)が第3シードの
S・ワウリンカ(スイス)を3-6, 7-5, 7-6 (9-7), 6-7 (5-7), 6-4のフルセットで下し、自身初となるグランドスラムでのベスト4進出を決めた。
錦織は4回戦の
M・ラオニチ(カナダ)戦に続くフルセットでの勝利を飾り、この日の試合と合わせると8時間半も戦った事になる。
ラオニチ戦が終わったのは現地2日午前2時26分で、それから約36時間後にはワウリンカとの準々決勝を迎えていた。そのため、疲労が残ってる事が懸念されたが、錦織は出だしこそ動きに精彩を欠き第1セットをワウリンカに奪われたが徐々に調子を上げて行った。
錦織は試合後「日本で大きなニュースになっている事を願います。」と自身が成し得た事の大きさを実感しているようだった。そして「出だしはちょっと固かったのですが、それでも体は大丈夫でした。どうやって試合を終わらせたのか覚えていませんが、とりあえずとても嬉しいです。」と喜びを加えていた。
決勝進出を懸けた準決勝は6日に予定されているため、次の試合までは少なからず休養を取れる。「次の試合では100パーセントのプレーが出来るようにしたい。」と準決勝への抱負を語っていた。
1989年の全仏オープン覇者で元世界ランク2位の
M・チャン(アメリカ)をコーチに付けている錦織はこれまで、グランドスラムなどの大舞台でトップ10選手を続けて倒したことはなかった。4回戦で世界ランク6位のラオニチを下した事で2012年の全豪オープン以来自身2度目のグランドスラムで8強入りを決め、同ランク4位のワウリンカを倒し、自身初の4強入りを果たした。
今年の全豪オープンでは、28歳にして初めてグランドスラムのタイトルを獲得したワウリンカは、今大会ここまでは大きな疲労が蓄積される事はなかった。3回戦では対戦相手が怪我のために試合前に棄権を申し入れており、労せず4回戦へ駒を進める幸運にも恵まれていた。そんな好条件にも関わらず、この日最後には錦織の前に敗れ去る結果となった。
錦織の2度目のマッチポイントでワウリンカのフォアハンドがネットにかかると、錦織は勝利を喜ぶ代わりに大きく天を仰ぎながらネットへと歩み寄って行った。
錦織はコーチのチャンが精神面で大きに助けになっている事を明かすと共に、チャンも錦織の準決勝進出を喜んでいたとコメントしていた。加えて「でも彼(チャン)も、まだ大会は終わっていないと言っていました。」と、錦織同様、すでに次の試合へ目を向けているようだった。
6日に行われる準決勝で錦織は、第8シードの
A・マレー(英国)を7-6 (7-1), 6-7 (1-7), 6-2, 6-4で下した第1シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。
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