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今年からセンターコートに移動式屋根が取り付けられて開幕したウィンブルドンだが、第2週目の初日がその新しい設備を初めて利用する日となった。センターコート第2試合に行われた女子シングルス4回戦のD・サフィーナ(ロシア)対A・モレスモ(フランス)戦の第2セット途中、その歴史的瞬間が訪れた。
世界ランク1位で第1シードのサフィーナと2006年チャンピオンで第17シードのモレスモの一戦は、サフィーナが第1セットを4-6で失ったが、第2セットでは4-1と挽回し始めたところで雨が降り始めた。
最初はこれまで通りに緑のシートがコートにかぶせられたが、その直後に屋根が動き始めた。詰め掛けたファンからは拍手と共に「ルーフ、ルーフ、ルーフ(屋根、屋根、屋根)」との歓声も起こり、長い歴史のウィンブルドンに初めてインドアとして試合が再開された。
試合はサフィーナが4-6, 6-3, 6-4の逆転で勝利しベスト8入りを決めた。試合後の記者会見で、両者はもちろん途中からインドアとなった試合について質問が集中した。
「観客も屋根が閉まることを望んでいたし、実際に閉じられたの。そしたら全く想像していなかった感覚になったわ。試合には勝てたし、とにかく全てはパーフェクトね。」とサフィーナは、印象を語っていた。
敗れたモレスモは「こうして試合が続けられることは、正しく大会にはプラス。今年はこれまで天気が悪くならなかったけど、過去にはこうして屋根があったらって思った年も記憶にあるもの。だからとても良い事だと思うわ。」
「ボールが今までより飛んで行くように感じたの。お互い慣れるのにちょっと時間がかかったわ。ボールが空中にある時、スマッシュやサーブを打つ時は、とてもボールが明るく見えたの。」と、感触の違いも付け加えていた。
屋根に取り付けられた照明が点灯したことによる、ボールの見え方の違いに加え、ラケットでヒットする時に響くボールの音や、観客の拍手やライン・パーソンのジャッジの声もエコーがかかったように場内に響いていた。
実は第1週の一番暑かった日に、ロイヤル・ボックスに照りつける日差しに影を作るために、この屋根を少しだけ閉じたことがあった。それが今大会が始まって、初めて屋根を移動させた時だったが、本来の目的である悪天候による試合の妨げにならないために屋根が全て閉じられたのは、この日が初めてとなった。
ウィンブルドンが開催されているオール・イングランド・クラブの会長であるイアン・リッチー氏は、この歴史的瞬間に感動を覚えていた。
「この瞬間を長い間待ち望んでいた。ウィンブルドンの歴史で、初めて誰もが雨を望んだ大会となった。もちろん、晴天の中での試合が一番だが。色んな意味で、歴史的な瞬間となった。選手も観客もこの瞬間を共有できたことに喜びを感じているはずさ。次に望むことは、また日差しが戻って来てくれることだね。」
ウィンブルドンは、全豪オープンに次いで2つ目となる移動式屋根を設置したグランドスラム大会となった。先に行われた全仏オープンも2011年をめどにセンターコートに屋根を設置する計画が立てられている。USオープンも同じ設備を採用するか検討中である。
屋根が移動している約6分間は、カメラのフラッシュが会場全体から起こり、完全に閉じられた午後4時46分には、観客から歓声と共にスタンディング・オベーションが沸き起こるほどだった。
芝を乾燥させるために空気が流れ、スコアーボードには屋根が作られたドキュメンタリーが流されていた。そして「良いお知らせです。センターコートでは約2分後に試合が再開されます。」とのアナウンスが流れ、その通り2分後にサフィーナとモレスモが会場へ現れ、ウィンブルドンとして初めてインドアで試合が行われた。
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