|
ひときわ嬉しい四大大会優勝となったフェデラー |
画像提供:Getty/AFLO |
(オーストラリア、メルボルン)
R・フェデラー(スイス)がまたその圧倒的な強さを世界に見せ付けた。
全豪オープン最終日、男子シングルス決勝で、世界No.1でトップシードのフェデラーは、今大会最大の台風の目となったM・バグダティス(キプロス)の挑戦を受け、かなりの苦戦を強いられたが、5-7, 7-5, 6-0, 6-2で勝利し、全豪オープンでは2004年に次ぐ2度目、通算7つ目となるグランドスラム・タイトルを獲得した。これまでフェデラーはグランドスラムの決勝では敗れたことがない。また、昨年のウィンブルドン、USオープンに続くグランドスラム3連覇となり、これは93年のP・サンプラス(アメリカ)以来の快挙。
第1セットは両者全く譲らない展開となり、ところどころエラーが見られるフェデラーに対し、観衆の大声援を受けるバグダティスが勢いで凌駕。5-5で迎えた第11ゲームでバグダティスはフェデラーを2度目のブレークに成功し、続く自分のサービスゲームを見事にキープし、1セット先取した。
第2セットも、その勢いは止まりそうになかった。バグダティスは第1ゲームをブレークし、第2ゲームをキープして2-0とリード。第3ゲームでもブレークポイントを握った。なんとか粘るフェデラーは3ゲーム連取し3-2と逆転するが、試合の支配権を握るまでには至らず、第1セット同様に5-5でフェデラーのサービスゲームを迎え、あたかも第1セットの再現となるかに見えた。しかし要所を押さえたフェデラーがそのセットを奪った。
ここが転機となった。
それまでは、動きが早く、かつボールも深いバグダティスを思うように扱いきれなかったフェデラーが、急にこつを得たかのようにボールを支配し始め、第3セットは6-0で圧倒。
第4セットでもフェデラーが勢いを保ち、2-0とリード。そこでバグダティスは足の痙攣を覚え、急に動きが鈍くなった。その苦境を耐えバグダティスはその後も必死の攻防を続けたが、最後はバックハンドがネットにかかり、熱戦に決着がついた。
二人とも勝者といわんばかりに、熱狂的な拍手が鳴り止まなかった。
試合後、誰一人として予想しなかった旋風を巻き起こし、会場を興奮のるつぼと化したバグダティスがまず表彰台に立った。「この2週間は本当に夢のようだった。今やっと目が覚めた。皆さん、本当にありがとう。」と自分でも信じられないような表情で、一緒に歩んできたコーチやサポーターたちに感謝を表した。
そして優勝のフェデラー。トロフィーを受け取ると、今大会ではこれまでにない苦戦を乗り越えてきたからか、あるいは自分の達成した偉業を感じてか、涙で言葉につまる王者。「なんと言っていいかわからない.. まずはここまでがんばったマルコスにおめでとうと言いたい。」とまで言うと、感極まって泣き崩れるチャンピオンの姿が印象に残った。
(2006年1月29日)