テニスの全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)は日本時間9日(現地8日)、男子シングルス決勝が行われ、第1シードのJ・シナー(イタリア)が第12シードのT・フリッツ(アメリカ)を6-3, 6-4, 7-5のストレートで破り初優勝を飾るとともに、四大大会2勝目を挙げた。試合後の会見でシナーは「簡単ではなかったのは確かだが、集中力を保つよう努めた」と語った。
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23歳で世界ランク1位のシナーは今年1月の全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード、グランドスラム)で四大大会初優勝。その後も順調に勝ち星を重ねていた。
しかし先月、テニスの不正を監視することを目的とした機関 ITIA(国際テニス インテグリティ・エージェンシー)が今年3月に禁止薬物クロステボルの検査でシナーが2度陽性反応を示していたものの、無実であったことを発表。
シナーは規則通りの手続きを踏み無実を証明したが、この件に関しては賛否両論様々な意見が飛び交う事態となった。
騒動のほとぼりが冷めぬまま今大会を迎えたシナー。影響がないか注目されていたが、1回戦で同140位のM・マクドナルド(アメリカ)、2回戦で同49位のA・ミケルセン(アメリカ)、3回戦で同87位のC・オコネル(オーストラリア)、4回戦で第14シードのT・ポール(アメリカ)、準々決勝で第5シードのD・メドベージェフ、準決勝で第25シードのJ・ドレイパー(イギリス)を下し決勝へと駒を進めた。
世界ランク12位のフリッツとの顔合わせとなった決勝戦、シナーはファーストサービス時に88パーセントの確率でポイントを獲得し相手のブレークを2度に抑えると、自身はこれを上回る6度のブレークに成功。試合を通じて23本のウィナーを決め、ストレート勝ちで全米オープン初制覇を成し遂げるとともに、四大大会では2つ目のタイトルを獲得した。
試合後の会見でシナーは決勝戦を振り返った。
「素晴らしい気分だ。もちろん厳しい試合だった。コートの後ろから良いテニスができたと思う。今日のパフォーマンスには満足している」
また、大会前の騒動からいかに立ち直ったかについても言及した。
「僕が立ち直ることができたのは、いつも僕の近くにいる人たち、とても若い頃から僕を知っている人たち、そして家族、チーム、そして毎日僕をサポートしてくれるすべての人たちのおかげだ」
「僕はいつも彼らと一緒にいるようにしている。特に困難で厳しい瞬間には、彼らが僕を助けてくれる」
「それ(騒動)は今も心の中に少し残っている。なくなったわけではないが、コートにいるときは試合に集中し、状況を可能な限り最善の方法で処理しようとしている。練習コートではチームとコミュニケーションを取る。結局のところ、僕たちは常にプレーヤーとして向上しようとしている。それが練習する理由だ」
「簡単ではなかったのは確かだが、集中力を保つよう努めた。プレーするたびに精神的にうまく集中できたと思う」
さらに、今季の四大大会では2000年代のテニス界を牽引してきたBIG3と呼ばれるR・フェデラー(スイス)(2022年に引退)、R・ナダル(スペイン)、N・ジョコビッチ(セルビア)の3選手が2002年以来22年ぶりに四大大会で無冠となり、23歳のシナーと21歳のC・アルカラス(スペイン)が2勝ずつを挙げ四大大会を独占したことについてもコメントした。
「確かに今までと少し違う。新しいチャンピオンを見るのは楽しい。新しいライバルを見るのも楽しい」
「スポーツに新しいチャンピオンが生まれるのは良いことだと思う」
なお、オープン化以降で四大大会の優勝者が23歳の以下の選手のみとなったのは1993年以来、31年ぶり3度目のこととなった。
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