女子テニスのW&Sオープン(アメリカ/シンシナティ、ハード、WTAプレミア5)は21日、シングルス決勝戦が行われ、世界ランク2位で第2シードの
A・ケルバー(ドイツ)が第15シードの
Ka・プリスコバ(チェコ共和国)に3-6, 1-6のストレートで敗れ、優勝と同時に自身初となる世界ランク1位の座に上り詰めるチャンスを逃した。
現在世界ランク1位にいる
S・ウィリアムズ(アメリカ)は、今大会を肩の炎症を理由に欠場しており、ケルバーは優勝するとセリーナと入れ替わり世界ランク1位になることになっていた。しかしこの日はいつものケルバーの安定したショットが影を潜め、プリスコバの前に1時間02分で敗退した。
セリーナはこれで、184週連続で世界ランク1位に在位することとなり、これは
S・グラフ(ドイツ)が1997年まで持っていた連続1位在位最長記録にあと2週と迫った。ケルバーは今大会の準優勝でそのセリーナへあと一歩と迫った。
「誰もがそのことばかり話している。もしいつかその日が来たら、そうなるだろうけど、そのことにあまりプレッシャーを掛けすぎないようにしたい。今シーズンはここまで素晴らしいシーズンを送っているし、まだ終わってはいない。」とケルバーは今の思いを語っていた。
ケルバーは今大会直前にはリオデジャネイロ・オリンピックに出場し、銀メダルを獲得するなど試合が続いており、決勝戦ではその疲れが見えた戦いとなってしまった。
「正直、本当に疲れてしまった。」と語るケルバーは、オリンピック前に出場したロジャース・カップ(カナダ/モントリオール、ハード、プレミア5)でもベスト4入りしていた。「プレッシャーも大きかったし、この3週間で戦った試合も多かった。加えて、実際北米から南米へと移動も多かった。」
24歳のプリスコバは、プレミア5での初めての優勝となり、この優勝はキャリア最大のタイトルとなった。この日の試合では、出だしからケルバーのサービスをブレークしリードする展開のプリスコバ。試合を通してプリスコバはわずか6本のイージーミスしか犯さない安定したプレーでケルバーを退けた。
プリスコバは「良いプレーをしようと思ってはいたけど、こんなに簡単に勝てるとは思っていなかった。きっと彼女(ケルバー)はちょっと疲れていたか、プレッシャーを感じ過ぎていたんだと思う。」と試合を振り返っていた。
風が強い中で行われたこの試合、ケルバーは自身のショットが長くなると手で輪を描き風が舞っているジェスチャーをするなど、ケルバーらしからぬ15本のイージーミスを犯していた。
最後はケルバーが一歩も動くことが出来ない、185キロのセンターへのサービスエースを打ち込み勝利を決めたプリスコバ。両手の拳を握りしめてネットへ近づいたプリスコバは、両目を閉じて勝利を噛み締めているようだった。
ケルバーはグラフ以来となるドイツ人女子選手の世界ランク1位になると同時に、28歳でのキャリア初の世界ランク1位は最年長記録に当たる。
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